紙の本
発想の転換を促し、幸福な人生を追求。
2006/02/13 20:54
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生の目的とは何か?
その答えは人によって異なるだろうが、究極的には、「幸福になること」に集約されるのではないか。では、どうすれば幸福になれるのか?本書では、「ポジティブ心理学」というひとつの解答を提示している。
アメリカ心理学会会長である著者が提唱する「ポジティブ心理学」とは、自らの弱点を補うよりも、個人の持つ“強み”や“美徳”を生かすことで、今よりももっと幸福になる、というもの。それは、「なんとかなるだろう」という根拠のない自信とは異なる、強い意志に立脚した“楽観主義の生き方”とも言い換えられるだろう。
人はともすれば、短所や悩みに目を向けがちになり、苦しみ、落ち込んでしまう。これまでの心理学は、その苦しみをどうすれば和らげられるか、ということに重点が置かれていた。しかし私は、この対処法では一時的に気は楽になるものの、根本的な解決にならない、と感じていた。だから、
〈人はどん底にあっても、美徳や誠実さ、さらには生きる目的や価値を、必死になって求めている。何か問題が起きたときに本当に必要なのは、苦しみを理解して和らげることではなく、幸せを理解し築きあげることである〉
との著者の論は、単なる気休めに留まらず、幸福を人生の土台から作りあげようとする発想で共感できた。
本書は、①過去・現在・未来に対してポジティブな感情を高める方法、② “美徳”の本質と自分の“強み”の測定、③仕事、愛情、子育てにおける“強み”の展開方法、の3つのパートからなる。さまざまな調査結果や著者自身の経験を織り交ぜ、分かりやすく書かれた言葉は、素直に心に響く。それは、著者の視線が高みから見下ろすようなものではなく、人間への慈愛に溢れているからだろう。
特に、素晴らしいと感じるのは、著者がポジティブな発想で「どうすれば幸福になれるか」を追求する一方、「充実した人生とは何か」と人生の意味と目的を探ろうと試みている点だ。この目的観を確立しなければ、“幸福の追求”が単なる“快楽の追求”になりかねない。この二つをきっちり分けて論じている真摯な態度に好感が持てる。
ただ、タイトルを『ひとつだけの幸せ』と訳したことに不満が残る。幸せの形は人それぞれなのに、果たして限定する必要があるのか。本書で読み取れる著者の真意とズレているように思う。ちなみに原題は、『Authentic Happiness(本物の幸せ)』である。
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軽い自己啓発本のよーなタイトルだけど、れっきとしたポジティブ心理学の学術書です。著者自身、もっと論理的な根拠がないと軽い自己啓発ブームのひとつに終わってしまうと危惧して、最後の章はなんだか難しい話になってしまってますが基本的には読みやすく、著者自身がネガティブな人間であることを告白しつつも几帳面な文章に説得力があります。自分の「強み」を発見するテストはなんだか希望の光のようでオススメ。「加害者を許さないことで直接傷つけることはできないが、許すことで自分を解放できる」など、「どちらが楽か」を考えた結果ポジティブであろうとする言葉の数々に救われる気持ちになりますが、間違ってもあいだみつをの言葉を読むような気持ちで臨む種類の本ではないです。
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“ポジティブになろう!”というのは、精神論として語られることが常でしたが、
心理学者が『科学的に』“ポジティブになろう!”と勧めています。
ポジティブ心理学の成り立ちについて、書かれている部分も個人的には面白かった部分です。
一番印象に残ったポイントは、「充足感」と「快楽」を区別する、ということ。
「幸せになりたい」と嘆く私たちは、幸せになるために「充足感」を求めているのでしょうか?それとも、「快楽」を求めているのでしょうか?
お金を払えば今すぐに手に入れることが出来る「一瞬の快楽」=「幸せ」と混同してしまいがちですが、
実は、本当に求めるべきものは「充足感」だということに気がつかせてくれます。
では、「充足感」はどうやったら得られるのでしょうか?
この本には、自分が「充足感」を得られるための源を探るヒントが満載です☆
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人間はどうすれば幸せでいられるのか。もっとお金があれば、もっと才能があれば、もっと美しければ、幸せになれると人は考えがちだ。しかし著者はそうではないという。人間の幸福の鍵は、個人の強みや美徳を発揮することによって生まれる充足感にある。つまり自分の能力や才能、あるいは勇気や優しさを活かし自分一人よりも大きな何か、例えば家族や会社や社会のために何事かをなすことが幸福感につながるというのである。また著者の実験で、身動きできない状態で電気ショックを与え続け、抵抗できないことを悟った動物は、体を自由にしても逃げなくなる学習性無気力状態に陥ることが明らかになっている。それに対し、同じショックを受けても、それが制御できる、つまり自分が行動すればショックをくい止められるような場合には動物は健康でいられる。結局、自分が行動することで世界をよい方向に動かせるという確信こそが、幸福の源泉だと言えそうだ。受動的に得られる一時的な快楽は、人生を楽しむ上で不可欠であるが、それだけでは人は幸せではいられない。むしろそうした受動的快楽ばかりに浸ることは、充足感を減退させ、無気力を助長する恐れがある。第12章「子どもをたちをポジティブに育てる」には、ともに心理学者である著者夫婦が、子どもたちの能動性を育てるために実践した様々なアイデアが紹介されており、興味深かった。(菅)
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ポジティブ心理学のマーティン・セリグマンの本。
タイトルがなんだか○MAPの曲みたいで、ちょっと苦笑ものだが、内容は唸らされる。
幸福を感じる際に二つの動機がある。ひとつは快楽、もう一つは充足感。快楽は感情的、一時的なものだが、充足感は全存在的、恒久的なもの。いずれの幸せを求めるかは個人の自由だが、仕事や人生において、後者を求める人生はきっと豊かなものになるだろう。
書中にある個人に備わった6つの美徳と24の強みはセリグマン博士のWebサイトでもチェックできる。
http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/Default.aspx
(英語、要登録。データは学術研究に使われる)
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アメリカ心理学会会長でポジティブ心理学の提唱者・マーティン・セリグマン「世界でひとつだけの幸せ」読了。それにしても怪しげな自己啓発本と見紛うと本の帯と邦題、なんとかならないか(原題はAuthentic Happiness) 。
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ポジティブ心理学って名前からして胡散臭いなぁ。けど一応アメリカ心理学会の会長でU-Pennの教授らしいし、少しは信頼していいのかなと思いながら読んだ。
快楽と充足感を区別する、というところに納得。
ただ本のデザインが。。。各ページが独立した区切りかのようなデザインで、なんとなく読みにくい。
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普通のサラリーマンです。
自分の価値観、今後の人生で方向転換のひとつの
きっかけやヒントを与えてくれました。
著名な心理学者であるとの事ですが、読みやすく理解もしやすかったです。
興味を持たれた方は読んでみては如何でしょうか。
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「心理学はネガティブな事だけを研究する学問ではない」旨の主張に共感。
どうにも自己啓発本を読んでいるような気分になる。
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最も価値があると思われる健康と幸福との相関関係はわずかなものである。
過去に対する辛い感情を、充足や満足の領域に導く方法は2つある。それは、過去の良い出来事を味わい享受する力を増幅させる「感謝」の心と、過去を書換悪い思い出を良い思い出に転化させる「容認」の心だ。
感謝の方法>感謝状を書く、感謝の会を開く>感謝する事柄を5つ、箇条書きで毎日書く
もし幸せになりたいなら、1時間なら、昼寝をしなさい。1日なら、釣りにいきなさい。1ヶ月間なら、結婚しなさい。1年間なら、遺産を相続しなさい。1生涯なら、人を許し助けなさい。
人生を採点>回顧録>自分を客観的に観測
自分の失敗を普遍的にとらえる人は、ある1局面でほころびが生じるとすべてを諦めてしまう。一方、特定的にとらえる人は、ある一局面では無力になっても、他の分野に勇敢に立ち向かっていく。
他人から根拠なしに非難されたとき、その叱責から距離を置くのは、さほど難しいことではない。ところが毎日の様に自分で自身を非難するとなるとそうはいかない。
こうした反省的な考え方はたいてい屈折したもので、こどもの頃の葛藤や厳しい両親、欠点ばかりを指摘する少年野球コーチ、姉の嫉妬など、過去の不愉快な経験から生まれた悪しき思考習慣にすぎないのだ。>だが、それは単なる思い込みにすぎない。
快楽は、強力なやる気の源泉となる。しかし、快楽は変化を生まない。快楽は、今必要なものを満足させて心地よさとくつろぎを得たいという気持ちに私たちをさせる。保守的な力なんだ。一方、充足感は、必ずしも快適ではない。時にはひどいストレスがかかることもある。
人間の行動は、トカゲの行動よりずっと込み入っていて柔軟性があるが、これを無視するととんでもない代償を払うことになる。近道を通って充足感にいたることができるとか、自分の力や価値を発揮せずにすむというのは、愚かな考えだ。
本当に勤勉な人は、柔軟性があり、現実的で、完璧主義者ではない。
フローを増やすコツ>とっておきの強みを自覚する。日々その強みを活用できる仕事を選ぶ。とっておきの強みをもっと発揮し、現在の仕事への取り組み方を見直し改善する。
子供が示すポジティブな特性とネガティブな特性は、どちらも「真実であり本物」である。
善意からでたものであっても無条件のポジティブ評価は、失敗と成功から学ぶことを不可能にしてしまうことがある。
フローとはおそらく、心理的成長のある状態のことなのだ。>未来のために心理的資産を蓄積
「ウィン・ウィン・ゲームの原理はどこに向かうのだろうという質問に戻るが、行く手に待ち構えているのは、超自然的な神ではなくウィン・ウィン・ゲームのプロセスの中で全知全能な善良さを獲得する神なのだろうと思う。神はたぶん最後にあらわれるのではないだろうか」
強み>学習意欲、感謝、愛情、ユーモア、慎重さ
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弱っている、落ち込んでいる部分より、自分の強みを見つけていく、そんな本である。考え方はすばらしく、家族であれ恋人であれ、理解者としてのパートナーがいる人にとっては、非常に実感をともなって良さを感じられる本だと思う。
ただし、少し考え方が内向きになっているときには、なかなか文章が心に入りにくい。訳者あと書きにある「許さないという行為で加害者を直接傷つけることはできないが、許すという行為で自分を解放することはできる」という名文章が記憶に残らなかったのは、自分にとって今がこの本を読む時ではなかったようだ。人との出会いも、本との出会いもタイミングがある。また、いつか再読したい。
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快楽と充足感の違いを心に刻む。強み、美徳を生かして幸せな人生を送ろう。以降は本からの引用です//よい気分になるための近道は無数に発明されている。ホンモノのポジティブな感覚とは、安易な近道に頼らず、強みと美徳を生かして獲得するもの。娘の欠点は娘が治せる。強みと美徳に気づき、それを育てること。H=S+C+V。感情と思考。過去…思考と解釈に支配されている。感謝と容認。怒りを抑えると血圧が下がり、感情をぶちまけると上がった。普遍的、特定的、悲観的、楽観的。快楽への慣れ…渇望。現在の領域は極端に狭まった。味わい。注意深さ。充足感…高貴な目的と一致する行動から得られる。快楽とは生物学的飽食の達成であり、充足感とは心理的成長の達成。フローとは、心理的資本を築く状態。うつ病…自己没入。充足感…感情の欠如、自意識の消滅、全面的なかかわり。莫大な富に囲まれてふさぎこみ、魂の死を迎える。六つの美徳。知恵と知識。勇気。愛情と人間性。正義。節度。精神性と超越性。強みは道徳的な特質…才能は道徳とは無関係。天職とは自分自身の為に情熱を傾けて献身する仕事。あなたの仕事が自分に適していることに気づくこと。達成したことに見合うようほめ方を変える。良い人生とは、毎日の生活の主要な領域で、自分の強みを使うことによって引き出される幸せの中にある。
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前々から読もうと思っていて読めていなかった本書をようやく読みました。
ポジティブ心理学、とても興味がありますし、重要なテーマだと思いますし、この本は真面目な良書だと思うのですが、難点は読んでいてあまり面白い本ではないというところでしょうか…あ、内容ではなく、書かれ方が、という意味で、です。
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幸せを多くする秘訣
いいことは恒常的に起きると考える。
悪いことは一時的に起きたと考える。
あらゆる仕事で自分の強みを実践できる。
部分的な仕事をやめて、全体的な仕事をやるよう心がける。
学力教育を受けてきた人は、懐疑心が発達する。懐疑心が高いと、ポジティブシンキングは、なんかうそ臭いと思えてくる。しかし著者は、懐疑心こそ不安や恐怖に対する反論に役立つという。
自分が直面している状況は本当にそれほど酷い状況なのか、学習で強化した懐疑心を使って、検証し、反論し、改善策を見つけることができる。
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幸福の公式
H = S + C + V
幸福のレベル その人にあらかじめ 生活環境 自発的に
設定されている 制御する
幸せの範囲 要因
例:感謝(過去の良い出来事を味わい、享受する力を増幅する)、容認(過去の書き換えにより、悪い思い出を良い思い出に転換させる)
ー「自尊心と幸せの感情が世の中を生き抜く副作用として役立つ」 by 『つよい子を育てるこころのワクチン』
ー幸せなひとは、自分が過去に経験してきた本物のポジティブなインプットをもとに、物事を都合よく解釈することができる→人生の多くの課題は、独創的で寛容で柔軟な思考が必要
ーポジティブな感情は、人々の知性を磨き、身体能力を培い、危機に直面したときには勇気をふるい起こさせる→ポジティブな感情は知性を磨く