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ファルージャ2004年4月 みんなのレビュー
- ラフール・マハジャン (ほか著), 益岡 賢 (編訳), いけだ よしこ (編訳)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:現代企画室
- 発行年月:2004.6
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紙の本
ファッルージャの惨劇
2004/07/18 03:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:妹之山商店街 - この投稿者のレビュー一覧を見る
執筆陣は米英の学者、ジャーナリスト、NGO活動家の4人です。
・3月31日:民間傭兵会社ブラックウォーター社員4人襲撃
イラクの人々にはこれら「民間軍事会社の社員」と「米軍兵士」とを区別する
ことは不可能であると思います。「民間人」を意図的に狙ったわけではないと
思います。
「バグダッド・シュアラ地区から米軍が撤退させられたのは、スンニ派とシーア
派の人々が団結して闘ったからであり、サドル師のマハディ軍ではなく、地元
の組織化されていない人々の力であった」
「ファッルージャを救え!」という合言葉がイラク全土で巻き起こりました。
ファッルージャへ向かう筆者達の車にも、沿道の人々が次々と食糧などを投げ
込んでいました。
ファッルージャでの停戦、しかし、実は、『停戦』とは、500ポンド爆弾を
投下していないという意味ではあっても、狙撃兵は狙撃を行っていました。
ファッルージャでの被害の多くは、狙撃兵による狙撃です。
しかも、家の前で狙撃された家族の遺体を、更なる狙撃を恐れて葬ることがで
きず、放置したままの状態が長く続く…まさに修羅場です…
現地の診療所でボランティア活動を行っていたアメリカ人NGOの証言:
「米軍の攻撃の犠牲者がひとりまたひとりと診療所に運び込まれていたが、
そのほとんど全員が女性と子どもだった」
「私がファルージャから報告できるのは、停戦など現在されていないし、おそら
くはこれまでにも一度もなかったということである。イラク人の女性や子どた
ちが米軍の狙撃兵に撃たれている。」(4/13)
電気が通っていないファッルージャの真っ暗な夜、サイレンを鳴らし、ランプ
を点滅させている赤新月社の救急車が何度も銃撃を受けています。
救急車を他の何かと間違えたなどとは考えられません。
救急車が狙撃兵に撃たれ、女性と子供達が撃たれている光景に、
「私は47年間、バカだった。ヨーロッパの文明とかアメリカの文明といった
ものを信じていたんだ」という悲痛な言葉には衝撃を受けました。
パレスチナでイスラエル軍が赤新月社の救急車を何度も銃撃していることを想起
せざるを得ませんでした。アラブの人達も同じようにアナロジーしたのではない
でしょうか? ここもパレスチナと同じになったと。
ファッルージャの医師達は、米軍がクラスター爆弾と国際法違反と言われる
ダムダム弾を使用していると訴えています。
スンニ・トライアングルはフセイン政権を支えていたとよく言われます。
ファッルージャもまた多くの軍将校等を輩出していたのですが、1995年、
ファッルージャのドゥレイミ族が反乱を起こし、鎮圧され、処刑者を150人も
出しました。
そのため、ファッルージャの人々は、イラク戦争終結時点では、決してフセイ
ン支持ではなかったのです。むしろフセイン政権への怨念が深かったと言えるか
もしれません。また、フセインにとっても信頼できない地域だったのではないで
しょうか。
少なくとも、フセイン政権の復活を願う勢力が多数を占めるとは思えません。
つまり、米軍はそんなファッルージャの人々をむしろ味方にできたとも言える
と思います。
世論は日々刻々変化していくものだと思います。
<米軍への評価>、<イスラム原理主義各派への評価>等々…
しかし、ファッルージャでの件の時点では、イラクの世論は、
「『サドル師の信奉者はならず者だ』と言っていたのと同じ人が、今では『彼ら
は我々のならず者で、残忍な占領者の手から我々を守っている』というような
言い方をするようになっている」
というように変化していたと思われます。
米軍への評価は最悪となり、イスラム原理主義への否定的評価が相対的に弱ま
ったのではないかと思われます。少なくとも、この時点では。
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