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紙の本
バカでエネルギッシュで不器用で面白い
2004/10/21 01:32
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せどり三等兵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は台湾。スノッブな男の恋愛模様を、主に男友達との会話をもって展開していく。
各章が短編としても受け取れる構成で、各章冒頭で前章の出来事を少しだけ説明してくれる。だから、どこからでも読めるし、一部を読み飛ばすこともできる。
親切な脚注と相乗し、ストレス無く読めるので長編が苦手な人でも大丈夫だろう。
原著は台湾、上海、北京でベストセラー、テレビドラマ化され、あの王家衛(ウォン・カーウァイ)が映画化権を所得したらしい。
訳者あとがきによると「トレンディな小物を作品中に散りばめ、洗練された雰囲気を醸し出し、韻を踏み、小気味よい文章であった」から、中国語圏で人気を博したと分析している。
これは的確であろう。この作品は台湾や中国では流行の最先端を憑する小説であろうことが容易に想像できる。
訳者はまた、翻訳するにあたり、韻を踏む文章をある程度犠牲にしたと言っている。それでも韻は完全には消えておらず、台詞を使うことと共にテンポの良さに一役買っている。
冒頭で主人公を「スノッブな男」と表記したが、これは日本人からの視点である。
台湾ではそのようには取らないだろうし、アッパーミドルのちょっとお洒落な人物像なのかもしれない。
また、訳者曰くの「トレンディな小物」も日本人から見るとまた違って見える。ダサい。けっこうダサい。妙ちくりんな思想も台詞も行動もカッコよくは無い。
そう、実は日本人が読んだら、訳者の言う「売れた理由」のほとんどが当てはまらなくなってしまうのだ。
自分を投影できない、感情移入できない主人公が、日本にはいないであろう相手に奮闘したり悩んだりする小説。
そういう側面ではアメリカ産のドラマに似ている。
舞台も小物も台詞も行動もなんだか現実感が無く、ファンタジーでも読んでいるのかと思ってしまう。
だけど、そういう小説も皆は好きなはず。
現地ではハイソで先端の小説として、日本では台湾というスパイスを使った“ある意味”新鮮な小説として。それぞれ要因は異なるけど、どちらでも価値ある面白い小説、それが蛋白質ガール。
原作者は女性の視点から恋愛模様を描いた続編を書いているらしい。「台湾舞台の恋する惑星」と共に、興味をひかれる。ぜひとも、翻訳していただきたいものだ。
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