紙の本
感覚だけの未完成ノート
2004/11/13 10:39
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投稿者:melt_with_you - この投稿者のレビュー一覧を見る
それが魅力だ、と言ってしまえばそれまでだけど、感覚中心で決して完璧に完成されない作品、これが春樹ワールドの魅力でもあるけど、この作品は未完成ノートだ。
この本は1枚の紙が厚くて、文字も大きい。カバーは和田誠。複雑な心境だ。
相変わらずの登場人物の言い回し、時計表示という仕掛け…。
言いようのない不安感とそれに隣接する安らぎをかろうじて感じられたのが救いだ。
でも、これが第三期春樹ワールドだとしたら、20年来のファンを考えないといけないなあ…。この本の厚さで2年以内に続編が出たら怒るよ、私は。
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まだ読んでないから評価は1にしておく。新聞の広報を見てめっちゃ読みたくなった。Iけだに貸して貰おう。
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明らかに彼は変わろうとしている。それがいいのかどうかはわからない。でも彼の(作品の)変化に、違和感と物足りなさを感じている自分がいる。
クールだといわれた初期作品のような空虚感・透明感から、少しずつ地に足が着き始めてる感じ。彼の作品で日本的な固有名詞(セブンイレブンとかスガシカオとか)が出てくるとは。
重ねて言うけど、それがいいのかどうかはわたしにはわからない。でも物足りなさを感じる自分は確かに存在する。
でもだからこそ、これからも彼を追いつづけたい。最後に彼のたどり着くところを見届けたい。
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村上春樹ファンを自称する夏川ですが、ちょっとこの作品には戸惑いを覚えてしまいました。とても長い作品の序章みたいな気がしました。
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そりゃあ村上春樹が頑張って書いた作品であろうからこの中には色々なテーマが詰まってるのであろうし、いくつかは僕も読み取る事が出来た。その中からは恐ろしいと感じるというものもあった。
でも、なんの解決にもなってならないかもしれないけれど、僕は思う。最後には夜明けが来る。それって素晴らしいことなんじゃあないかと。
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一晩に起こる、ちょっと不思議な出来事を、淡々と書き記しただけのような作品。しかし、読書中に感じる寂寥感と、読後に感じる満足感はただ事ではない。名作。
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いま読み中ですが、村上春樹はどんどん進化してますよねー。本人も運動が好きなように、どんどんシェイプアップされてるっていうか、比喩とかもシンプルになってきてる。視点も内面から、俯瞰へ。いづれにせよ、どっぶり世界観にはまれるので、よしです★
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春樹読んでりゃ本好き気取り。ちょっと意味不明だって「そのえもいわれぬ浮遊感が・・・」なんて言ってりゃ本好き気取り。印象に残らなくたって余裕で初版30万部。どこがおもろいのこんなん。全てが未解決で曖昧なグレーゾーンのアフターダーク。
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この作品は「海辺のカフカ」から作者が試みている変化をさらに推し進めた作品になっている。その変化は作者の持ち味に関わるようなもので、賛否両論あるようだ。一読した限り、本質的な部分は変わっていないようだし、むしろ本来の持ち味を生かすために変化したように見受けられた
そういうわけで、この作品は過去の作品と異なった点が幾つかある。例を挙げると、3人称での描写をしていること、若い女性を主人公にしていること、風俗描写を現実に即した視点から描いていること、恣意的な寓話性を排除していることなど。そして、様々な切り口で何度も描き続けてきた、異なった価値観と理屈で動く2つの世界といったテーマもこの作品では見当たらない。それについては作品中でその理由と呼べそうな台詞を高橋という登場人物に語らせている
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「反抗期のないいい娘だったよ」
「わがまま言わねぇなぁ」
親や恋人からずっとずっと言われ続けたこの「素直ないい子」。
いい子をずっと演じていかなければならなかった私と、登場人物のエリが重なって、激しく感情移入。
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脚本のト書きのような現在形を多用した文章、
映画のカメラワークのように移動する視点。
各章の見出しに時計の文字盤が掲げられ
深夜12時頃にはじまった物語は朝の7時近くに終る。
その間の約7時間を19歳の少女マリが関わる出来事を読者は
リアルタイムで見ているかのように追うことになる。
読み終わってみると一つの長編小説というよりも
三つのエピソードが絡まりあって進行するオムニバスのような印象を受ける。
「回転木馬のデッドヒート」がもっとも好きな村上春樹作品なんだけど
「アフターダーク」後半の「インタビュー小説」に近い部分は
ちょっと似た感じで読んでいて安らぎをおぼえた。
長編小説としては文体が特異だしはっきりした着地点がないので物足りないか。
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読み終えた率直な感想。
「あっ。この本はきっと読むたびに感じることが
変わる本だな。」
過去の村上春樹の本よりも、ストーリー性を落として、
哲学的要素を多く取り入れいる感じがした。
300P弱で文字も大きいのですぐに読み終えると
思ったが、すこし読んでは引っかかり自分を見つめなおし、
更にすこし読んではひっかかり自分を見つめなおす。
その繰り返しで思ったより読み終える時間はかかった。
そうこの本は小説というより、自分の現在の心を
如実にあらわしてくれる本だと思う。だから読むたびに
感じることが変わる。だって、自分が変わらないこと
なんてありえないから。別にこの本に限らず読むたびに
感じることは変わると思うが特にこの本はその要素が
強い感じがした。
そして5年後ぐらいにまたこの本を読んでみたくなった。
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3分の2を読んだ時点で、この本はちゃんと完結するんだろうか?と不安に思ったが、読み終わって、ちょっと物足りない感じがする
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読者の視点をとりこんだ三人称的な記述、真夜中から明け方にかけての限定された時間という状況設定、ドラマ的にいえば「結」のない開いた構成等一見実験的な習作といった印象を醸し出しているが、基本的には「ねじまき鳥...」から「海辺の...」へつながる方向性が維持されており、その世界観がよりリアルな社会へ投影された作品。コンビニの陳列棚で鳴る携帯電話をとると「逃げきれないよ」という声が聞こえる場面。一見、不条理に思える状況設定であるが、本書ではそこに至る因果関係が限定的ではあるが読者の前に明示されている。これは、今までの村上作品になかったわりと重要な点であると思う。全編に一種独特の緊張感がみなぎっており、良質の映画をみているような気分にさせられる。
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現代の殺伐とした世相・風俗を背景に、まっとうだが少しナイーブな少年少女がめぐり合い、お互いの喪失体験を確認し、再生への希望をいだく村上ワールド。
まっとうでない大人と、喪われた人たちをもう少し描いて欲しかった。なんだか匂いだけで料理を味わったような読後感。