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人間魚雷「回天」にまつわる小説だが実際の戦闘場面はわずかで、ほとんどのページは回天に搭乗することになった青年、並木の「死ぬ理由」を探し求めて揺れ動く心をの描写に費やされている。同様に海洋兵器を題材にした福井氏の「終戦のローレライ」があるが、そちらは戦闘シーンを臨場感たっぷりに描きエンターテインメント性を全面に押し出すとともに今の日本の現状に対してやや政治的メッセージを投げかけているのに対し、横山氏のこの作品は並木の心理描写や(最後の)沖田との会話を通して、反戦・平和に対するメッセージを淡々と伝えている感じがする。
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内容(「BOOK」データベースより)
甲子園の優勝投手・並木浩二は大学入学後、ヒジを故障。新しい変化球の完成に復活をかけていたが、日米開戦を機に、並木の夢は時代にのみ込まれていく。死ぬための訓練。出撃。回天搭乗。―しかし彼は「魔球」を諦めなかった。組織と個人を描く横山秀夫の原点。
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横山秀夫の本は読みだしたら本当に止まらない。
特にこれは,特攻隊海版で,読んでいてつらくて仕方がなかった。
死に向かっていく直前の心境,きっとあれがリアルな感情に違いない。そして機械の不良でそこまで覚悟したのに,死ななかった時の心境も。どうしてあれがわかるのだろう?
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〈内容〉警察小説の旗手が描く人間魚雷・回天の真実肩の故障に苦しむ甲子園の優勝投手・並木は、元チームメイトを庇うあまり、「特殊兵器」の搭乗員募集に応じてしまう。だがそれは脱出口すらない特攻兵器だった。
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戦時中、魔球を求めた一人の男が人間魚雷となった。
胸が熱くなるシーンが多く、感動的な話。
横山秀夫らしさは少し欠けてる気がするけども、
十分に楽しめる作品。
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最近はまっている横山秀夫のミステリーでない小説。
太平洋戦争で人間魚雷の特攻隊員となった大学野球投手・並木と同窓生たちの運命。
若者達の死に様(特に並木)はなんともかっこわるく、むなしく、より戦争の悲惨さを引き立たせる。
タイトルを聞いたことがあると思ったが、映画化されていた。だいぶ原作とイメージが違うらしい。主役は市川海老蔵。「鶴のような痩躯」の原作に比べてガタイが良すぎる気がした。
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戦争小説としては若干物足りなさを感じなくもないけど、このくらいの方が身近に感じられていいかも。
ちゃんと忘れずにいなきゃね。
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太平洋戦争に駆り出され、夢を諦めざるを得なかった若者たちが、人間魚雷に乗って玉砕するまでの話。
最後まで読んで、タイトルの深さに気付いた。
徴兵された若者たちが、どうなっていくのが続きが気になってやめられんくなる。
戦争は嫌だお。
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出口のない海
人間魚雷「回天特攻隊」の話である、
昭和19年11月から終戦までの出撃回数31回、
出撃隊員、事故による殉職者、搭乗整備委員ら
145名が回天と運命をともにした。
一人がようやく搭乗することが出来る、
冷たく狭い空間。
自爆を目的とした片道切符の兵器だ。
その孤独と恐怖は想像を絶する。
元甲子園投手の並木は
鳴り物入りで大学リーグに入るが、
肩を壊し低迷する。
しかし、並木は諦めない。
「魔球」の完成を目指し
復活を夢見る。
回天隊員となっても
ボールを握り続ける。
出撃の日が近づき
死は目前の現実である。
並木の気持ちを支えてきたのは
「魔球」の夢、野球へのあこがれ。
野球に対する強烈な愛情、
「夢」が彼にエネルギーを
与え続けたのだろうか・・・
戦争のために消えていった無数の若い命、
彼ら1人1人に夢、物語、人生があった。
私達は時々そういう事を考え。
生きている喜びを感じなければいけない。
自分の人生を力強く元気に目標を持って生きなければいけない。
そうしなければ、
彼らに笑われてしまう。
「負けてたまるか!さあ、今日も頑張るぞイ」
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普通に青春を謳歌できた若者が、時代の流れで特攻隊となっても、自身の有り様を必死に考えるところに感銘を受けた。
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第二次大戦の末期、人間魚雷の特攻隊・回天で散った学徒の物語。泣きました。生きること、死ぬこと、いろいろ感じずにはいられません。
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良い。
他の作品と感じが違ったけど、とても良かった。
感動。
映画も気になるけど、えびぞう・・・どうなんだろー
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特攻兵器、回天。日本人は、特に日本人の男たちは、時々立ち止まって、先の大戦における特攻という事実に向き合わないといけないと思う。この小説は、それをする手がかりになりうる作品。死の重さ。特攻兵器の非人間性。あの時代を必死に生きた者たちの戦い。それはまさに己との戦いだった。空を飛ぶ神風特攻隊に対して、海に潜り往く神潮特攻隊。想う毎に息が詰まる。これは決して、大昔の出来事ではない。読めてよかった。
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野球を愛した男、並木は太平洋戦争で回天(特攻魚雷)の戦士となる。死と向き合いながらも最期まで野球に夢を繋いだ。戦争はあまりにも過酷で、悲しすぎる。回天に乗る前、自分だったら何を思うのだろう。想像もつかない。
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戦争の話。特攻というと神風が浮かぶけど、空からではなく海からの特攻兵器。神潮特攻隊”回天”と呼ばれる人間魚雷兵器。脱出装置もなく、ただ敵に自らの命を犠牲に突っ込む。
こんな兵器を考えだすだなんて・・・
海軍の隠密裏に行われた回天作戦。決して明かされなかった回天は操縦が難しく、故障も多かったこともあり、戦果は決して多くはなかったようです。
死ぬための訓練をする毎日。死を覚悟したのに、回天の故障のため、本人の意志に反して生きて帰ってしまう。仲間の突撃を目の当たりにしたのに、自分は死ねなかったことで生まれる葛藤。些細なことで生死という大きな運命が変わるかもしれない。
そういった自分の死を覚悟した人間の心理描写が胸にささります。
回天を後世に伝えたいという主人公。この本がまさに伝えていくものになっています。
文字数も少なく、ボリュームがないので1日で読めます。それなのに、中身は重いです。暗くて読むのが辛くなりがちな戦争ものだけど、読ませる力のある本だと思います。
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2008年06月17日 01:42
常々、本ってすごいなあと思う。
いろんなことに慣れきった私たちに、文章だけで怒りや喜び、悲しみ、その他さまざまな感情を呼び覚ますことって至難の業、すごいことじゃないかな。
だから”戦争もの”はずるい。
戦争ではいっぱい人が死ぬ。敵(とされる人物)に殺害される人、兵器の犠牲になる人、拷問にかけられる人、自決する人。
そんな人は星の数ほどいて、そして星の数ほどのそれぞれの人生がある。それを細かく取り上げて、彼らのかなわなかった夢を、彼らを愛する家族や恋人の心象を、死に至るまでの感情の動きを精密に描写したならば、それを読んで心を動かされない人ってなかなかいない。
だから戦争ものはずるい。
本作もそんな感じ。
体を壊してもなお大学に残り野球に情熱を燃やしていた主人公も、戦火が広がり海軍に入隊させられる。地元に残した恋人を想い、魔球を完成させたいと、誰にも言えない生への執着を消せないまま、自ら特攻兵器「回天」に乗り命を国にささげることに決めます。
私とそんなに年も変わらない、家族にも友人にも恋人にも恵まれた少年が「死」にしかたどり着かないとわかっている道を自分で選択する。文章自体は軽いし、タイトルは陳腐だし、展開や設定もありきたりなものであることは否めないけれど、それでも少しは頭に残る作品だったな・・・と
思 っ て い た の に
なんだこのラスト。
やっぱりあなたは横山秀夫なんだなあと、つくづく実感した。