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全体的にまとまっていて面白い。テーマの選び方も牧野修らしくてよいなと思う。
読み進めていくうちに、どこまでが物語の中の現実で、どこからが虚構の部分なのか徐々にわからなくなってくるところが怖くてよい。適度な気持ち悪さ・気味の悪さがストーリーの底辺をずっと流れている。独特のスピード感のある文体もかっこよく、長編ではあるものの一気に読めてしまう。
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古事記の最初の方(国造りの話のあたり)の知識があると、より楽しめます。そして一番怖いのはあとがきと解説です。ここは最後に読む事をオススメします。
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読んでいて頭にはっきりと画が想像できる成程ホラーな小説。グログロしさの中に古事記を下敷きにしているなどの文学的面白さもある。是非、映像化して欲しい小説。ただ劇中劇的なモノは頭が混乱するなぁと云々。
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軽妙な文章が特徴の人気エッセイストだった草薙良介は、愛娘が惨殺されて生きる気力をなくし、妻とも別れてどん底の暮らしをしていた。
そこへ昔からの付き合いの編集者から小説を書いて欲しいという仕事が入る。
草薙は即座に架空の男の自叙伝という形のプロットを固め、死んだ娘を登場させることにして異常な熱意で執筆を始めた。
ホラー物って夏が多いなー。
じっとりとした暑さで思考能力が奪われ、次第に狂気に陥ったり、殺した死体が熱気のこもる室内で腐乱して蛆がわき屍臭が漂ったり。
かと思うと恐怖でぞっと冷や汗をかいて夏なのに
ガタガタ震えるほど寒くなったり。
真夏ホラー味たっぷり、腐臭ただよう死の世界からの招待状。
帯には「綾辻行人氏、絶賛!」の文字。
そんな一冊。
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これは良かったな。背筋がゾクってくるのはホラーでもあんまり無いからのう。
このときはハードカバーで読んだので手が疲れたけど最後まで一気に読んだ思い出がある。
ああ。10年前。文庫で買うよ。
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愛娘を惨殺され失意の日々を送るエッセイストの草薙。彼は夜の街でかつての担当編集者であった泉と再会する。以前書いていたライトエッセイではなく小説を書くことを勧める泉。娘の供養になればと自伝を模して書き始めた小説を「屍の王」と命名する。取り憑かれたように書き進める草薙の元には、まだ自分しか知らない内容について批評し示唆する謎の電話がかかる。さらにかつて同名の作品が存在し、著者は妻と娘を惨殺して自ら命を絶っていたことが判明する。―誰かが、いや何かがこの作品を自分に書かせようとしている。そして執筆を続けるうちに、草薙はこの世から自分が生きた痕跡が少しずつ消え始めていることを知る。泉のセッティングで“故郷”へと取材に向った彼は、恐ろしい真実を知る……。
作中の章タイトルからも伺えるが、この作品も記紀神話の「イザナギ・イザナミ」の話がストーリーに絡んでいる。亡き妻イザナミを追って冥界へ降ったイザナギは結局現界へと戻るが、同様に冥界へと踏み込んだ草薙を待っていたのは……。
この作品を完成させることで、この作家は何を為し―何を犯してしまったのか。
ちなみに「付記(あとがきに代えて)」と銘打たれた一文まで気を抜いてはいけない。(了)の文字がこの小説のエンドマークではないのだ。
……なんちゃって。
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前評判程は、という感触。ホラーファンのためのホラーという感じで、お膳立ては上々、腐臭香る、といったところで、これといって背筋をぞくっとさせる雰囲気もなく。黄泉平坂の話なので、メタものではあるが、結末は、まあ、わかってしまうが、わかっちゃいても面白い、という冴えはない。1時間のヒマつぶし。
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幻想ホラーというがそこまで怖くなかった。単に虫などの描写が気色悪いだけで、ストーリーからジワジワとやってくる怖さが無くて拍子抜け。
物語の構成は最初はよくわからなかったものの途中から面白くなってきた。なのにあのオチはないだろうと納得がいかないラストで残念。
幻想ホラーと銘打っている以上、合理的な根拠や説明は求めてはいけないのかもしれないが、個人的には、愛娘をころされた父親が犯人探し当てて復讐する現代サスペンスにしてくれた方が断然面白かったらだろうな、と思った。
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偽の自伝「屍の王」を書き始めたことをきっかけに、その架空の世界に入り込んでしまう作家草薙と、周囲の編集者などの不思議な世界。
パラレルワールド的な着想は非常に良いと思う。存在するはずなのに、自分のいない世界、それをまた俯瞰する世界、はたまた自分は死んでしまっている世界など、そのあたりは面白く読める。
しかし、肝心のホラー・怪談要素が無理矢理で、最終的に必要のない口裂け女やら謎の電話の男、呪いのビデオなど、あれもこれも盛り込みましたという割に、ほとんど生かされていない。しまいにゃあ、せっかくの登場人物を次々と謎の殺害方法で殺してしまう。
さらには「面白い、大ヒットまちがいなしだ」という作中作が、まーつまんない。
厚さの割に読むのに時間がかかるのは、文章の下手さに原因があるんで、もうちょっとなんとかしてください。
そういうマイナス面はおいておいて、やはり着想はいいわけですよね。ディックやクライヴ・バーカーを髣髴とさせる、現実とファンタジーの境目をふらふらとさまようあたりは非常によろしい。だから☆3。
と思ったところで、最後のあとがきがひどい。途中でメタメタ視点になったところで気はついていましたが、それをわざわざ「これは草薙から預かった原稿だ」って、冷めました。星一つ減点。
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2017年、29冊目は久々の長編ホラー。単独作、初読みの、牧野修。
あらすじ:「小説を書かないか」かつてエッセイストであった、草薙良輔。現在は風俗ライターで生計を立てている。草薙は娘の死を境に、書けなくなっていた。そんな時、偶然に出会った、かつての編集者、泉は草薙に小説の執筆をすすめる。やがて、草薙は『屍の王』と題した、偽の自伝にとりかかるのであった。
このレビューを見て、「読んでみよう」と思う方もほぼいないと思うので、以下、『ネタバレ』要素を含みます。あえて『ネタバレ』指定はしませんが……。
着想
★★★★☆
有名な日本神話をベースにしている。その点は、個人的にも好き。
表現・描写
★★★☆☆
文章自体はソレ程、読み難くもなく、テンポ感、リズム感も悪くない。ただし、ホラー場面はいささか、映像喚起に難あり、と感じた。さらに、第二章は詰め込み過ぎの感も。もう少しソリッドな方がイイかな(❔)。
展開・オチ
★★☆☆☆
どう着地させるのか、気になったが、上位概念オチとは……。まぁ、ソレだけじゃないにしても。
以上の点を踏まえて、全体としては
★★★☆☆