紙の本
差別とは何かを考えさせられた
2007/05/30 21:15
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
原作者、脚本家、監督というクリエーターたち、プロダクション、テレビ局といったコマース側、そしてクレームをつけた団体、復活を望むマニアなどのどれかに偏ることなく、公平な取材で好感が持てた。しかし、著者自身がかかわった「O157ゲーム」以外は突っ込みが浅いと感じられた。実際にはもっと突っ込んだ取材がなされたにもかかわらず、ここまでしか公表できなかったのだろうと推測する。これ以上書くとこの本自体が封印作品になることを恐れたのかもしれない。いつか本当のところを知りたいものである。
扱われている作品は、
・『ウルトラセブン』第12話「遊星より愛をこめて」
・『怪奇大作戦』第24話「狂鬼人間」
・映画『ノストラダムスの大予言』
・『ブラック・ジャック』第41話「植物人間」
・『ブラック・ジャック』第58話「快楽の座」
・『O157予防ゲーム』
で、O157以外は差別問題との絡みである。
確かに差別問題は難しい。筒井康隆の断筆宣言の時もいろいろと考えさせられることが多かった。作成者になんら差別する意図がなくても、読者・視聴者がどう読み取るかは分からない。作成者に自分では意識できていない差別意識が存在する場合もある。受け取る側に、差別意識があって曲解する場合、差別意識がなく一作品として楽しめる場合、当事者で差別されたと感じる場合などなど。
私は、謂われなき差別はあってはならないと思っている。しかし、それだからこそ、たとえ作成者からが差別意識に基づいてその作品を作ったとしても、その作品を封印すべきではないと思う。そのような差別が不当であるということを語り継ぐためにも、その作品が残されるべきだと思うからだ。封印されるべきは、作品ではなく、差別する心でないと、いくら公的な場から差別用語や表現を消し去っても、現在の匿名性の高いネット社会においてさらに根の深い差別が蔓延るように思えるからである。
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これはかなりよかった!!
友達の友達が書いた本でサイン本を読ませてもらいましたが、かなりいい!
ちゃんと論理的に話を進めていて、しっかりと裏付けも取っており、途中で止められない感じ。
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【あの一話は『何故』封印されたのか】
複刊、復刻版が幅をきかせ、ケーブルテレビなどの普及である意味では昔以上に昔の作品が楽しめるようになっている現在。過去の作品の再評価も積極的に行われている中で、何故か光が当たらずその存在そのものが『なかったこと』にされる作品がある。
例えばそれはウルトラマンの第12話であり、ブラックジャックの知られざるオペだ。ファンの間で語り草になりつつも、公の場では取り上げられない作品は意外に多く、逆に真正面からタブーを扱った本は少ない。本書はその貴重な一冊だ。
タブーとして封印され、今でさえ取り上げられることが許されないそれらの作品は、何がどのようにして問題になり、どのように封印が決定されたのか。筆者は特撮と漫画を中心に、封印を決定したプロダクション、出版社、そして抗議を行った側の事情をを丹念に調査していく。糾弾しようと言うのではなく、あくまでもその根を突き止めるために。
製作側の差別問題への意識が当時は低かったから、と何かのせいにした結論を出すのは簡単だが、現在も様々な理由で
『封印される作品』は出続けている。封印という処理の良し悪しについて筆者は論じない。是非は読者にゆだねられているのだ。(M)
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200501 最後のエピソードは思い入れはあるのかもしれないけど、他には劣る。でも全体としては面白い。
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「ウルトラセブン」や「ブラックジャック」など、なんらかの事情により、作者(もしくは権利者)が自ら封印してしまった作品達のその理由に迫るという内容の本です。
正直に言えば、必ずしも真実にたどり着けるものでは無かったようですが、当時の混沌とした文化観の中、生み出され、そして封印されてしまった作品達に、こうしてスポットをあてる事でなんらかの問題を提起する大きなきっかけとなる事を期待できる作品だと思います。
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漫画、アニメ、特撮などの見られなくなった作品・番組自体をとりあげ、その理由とともに、作品に関わった関係者のコメントなどから
当時と現在日本の抱えている問題などもわかります。
あとおなじみの会社の謎もとけたりしました。
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マスコミは、自分の責任を人になすりつけるのが得意ですね。
自分はさも中立なふりをして、親切顔で、火種をまく。
つくづくそう思った。
まあそれは、この本の作者も一緒。
はっきり言って、どこかで誰かがわたしの悪口を言っていたからといって、それをわざわざ御注進するのは、親切でもなんでもない。
なんか、ケンカでもおこんないかなぁと楽しみにしてるだけ。
まあ、中身についていえば、自分がかかわっただけあって、パソゲーの話が1番おもしろいし、力が入っている。
でも、上記の理由で、あんまり好きではないなぁ。
封印作品についていうなら、例えどんなに不快な作品であっても、作品そのものは、抹殺されるべきではなく、議論されていくべき者ではないのか?
そして、それを議論していくのは、つくった者ではなく、それを受け取る側の人間の義務であるような気がする。
しかし、そう言いながら、その刃が自分に向いたとき、やっぱり、同じようにそう言えるかどうかは、あんまり自信がないけれど。
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ウルトラセブンやブラックジャック等でこの世から封印された作品を紹介。読むと何だかこの世が不安かつ人間不信になる。
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図書館で借りて、ただいま読了。
この手の裏本に有りがちな、大袈裟な表現が無く、作品ごとにきちんと当事者や関係者に取材をしている所が良い。
ウルトラセブン幻の12話が気になっていたので、読んでみたけど正直封印しなきゃいけない理由がよく解らない。
リアルタイムで放送を見てたはずだけど(歳バレるな)、怪獣もストーリーも、一切記憶無し。
子供の何気ない疑問が、たまたま原爆被害者の会の活動をしていた父親を怒らせてしまった、という。
なんだかね。
もちろん、差別や人権無視は断絶すべきだけどね。
当の本人から声高に言われると、逆差別になりかねないよね。
と、疑問を呈しておきます。
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たぶん、一連の「封印○○」本ブームのきっかけとなった本だと思います。著者渾身の取材と執筆内容は、とりあげられている作品のファンのみならず、サブカル好きの人、クリエイティブな仕事に就いている人必読のものとなっているのではないでしょうか。唐突ではありますが、この本にはロックを感じます。
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『ウルトラセブン』12話や『ブラック・ジャック』41話など、人気作品でありばがら現在はその一部が見れない・読めなくなっている作品の封印に至る経緯などを記した本。巻末にプチ封印作品リストつき。なかなか興味深い内容です。
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封印作品とは何か「テレビや雑誌などで一度は世に出たんだけども、再放送や再録、DVDや単行本などへの収録がなく、事実上封印されてしまっている作品」のことである。
作品自体にそこまでの非はなく、クレーマーの走りなのかなと思って読み始めたんだけど、想像とは少し違うようである。
簡単に言えば「その表現を使うことにより、誰かしらが傷つく可能性のあることを、表現者が誤ってうかつに使った」から封印されているものが大多数である。大多数っていうか、取り上げられている作品すべてがこのパターンと言っても過言ではない。
たしかに、時代の流れだったり、攻撃しやすい対象であったりするが故に、必要以上に厳しい意見はあったと思うんだけど。
作品を真摯に考え「どういわれてもこれを伝えたい」というのであれば封印されなかったと思う。
「突っ込まれたら痛いところを突っ込まれたから、戦わず引きました」というのが印象。
流れ事態はなかなか興味深いんだけど、5作品すべて同じパターンだと後半読み疲れる。
(意図したんじゃなくて、取材したうちにそうなってしまったんだろうけどね)
あと「違法なファイル交換ソフト使って作品を見た」と書くのは正直どうかと。
封印されているから見れないのであって、ファイル交換ソフト使えば封印作品も簡単に見れますという提示でもあり、あまりよろしくない。
ファイル交換ソフトで簡単に見れるんなら(あまり苦労をしていないなら)「ツテで見た」と書けばいいのに。
ある意味、メジャーになったとたんに封印されそうな作品である。
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「ブラック・ジャック」など有名な作品は多くありますが、その有名な作品にも様々な事情により封印された物語があります。
その物語の一部を紹介した一冊です。
【熊本学園大学:P.N.和菓子】
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かの有名なウルトラセブン第12話など、何らかの差別表現などの理由から抗議を受け、それ以来封印された放送出版物の経緯を探るルポルタージュ。覗き見的な下世話な視点からではなく、真摯に表現の自由を考え、作品の真の意図を理解しようと努めている。もと新聞記者の作者によるデビュー作で、出版は8年前。続編も数冊執筆されているようなので、機会があれば読んでみたい。
むかしは作る側も受け取る側もまだ大らかだったと感じる。最近は何をしても爆発的速度で世論が拡散し高揚するから、メディアも萎縮気味だ。
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こういう視点で書いた本を初めて読んだので、衝撃的だった。
作品に関わった人へのアプローチについて詳細に書かれている。非常に苦労してこの本を書き上げたんだろうな。
それにしても、実際に本当に文句が出たのか不明なことが多いこと。
いずれにせよ、風評被害が一番怖いんだろう、日本人は。
それは、唯一の宗教を持たない国であるが故の気質なのかもしれない。
手塚作品が、今回のような理由で封印されているのは残念。
マニアでなくても、そう思う。
でも、どうしても読みたいなら国会図書館へ。そうだね。