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戦後アジア現代史の日本の立ち位置は?
インドネシアに対する日本の関与を実証的に解明する
インドネシア
東南アジアの人口の過半近く→大市場
石油をはじめとする豊かな天然資源
戦中日本の占領下にあった東南アジアといかなる関係を再構築するか?
「中国大陸に代わる日本の輸出市場や工業原料の供給先として浮上したのが東南アジア」←中国の共産化による
アメリカの構想
日本の工業力とアジアの原料市場の結びつくきによって、あめりかの日本に対する長期的負担なしで対共産陣営がつくられる
←アジア地域で自国自体が工業化を目指したいという反発
→失敗
東南アジア諸国に対する日本の戦争賠償=投資
吉田茂首相「賠償は一種の投資である」
→東南アジア進出の足掛かり
対インドネシア賠償総額の差などでなかなか妥結せず
賠償交渉妥結(1957)
岸首相の強いイニシアティブ
スカルノ―オランダの経済権益を排除したいが、船舶の不足など資金なし→賠償金に期待
イ:ジャワ中心→外島の不満
→国軍と地方軍の対立
米:インドネシアの共産化への不安→反乱側への不安
日:確率した政府の必要→現政府の支持
「誰がどのような形でオランダが追放された後の「真空」を埋めるのか」
「日本の再進出は、アジアでのナショナリズム台頭への対応に苦慮するアメリカにとって有用な代役の出現」
日:自由主義陣営の一員でありながら、アジア・アフリカ諸国の一員
マレーシア紛争:マレーシア構想にスカルノが反発
マレーシア構想:マラヤ・シンガポール自治領・北部ボルネオを統合して、新国家「マレーシア連邦」の建国
・英主導に対する反植民地主義
・「経済改革推進に対する共産党の反対を妨げる上で好都合」
・「軍・共産党をはじめすべての国内勢力の支持を得ることができる」
インドネシアの輸入先 日>米 (1966)
東南アジアに新たな紛争起これば、日本の輸出伸び悩む
→日本の仲介工作
池田首相―マフィリンド(インドネシア・フィリピン・マレーシア)首脳会談を促す
英―いかに東南アジアの地位を守るか?
インドネシア(スカルノ)がすべてのマレー人を支配したい
「インドネシアとマレーシアというアジア諸国同士の紛争を仲裁することは、新しい段階の日本外交にふさわしい具体的な目標だ」
米の転換
スカルノの対外政策穏健化と国内建設重視に転換すること期待できない
→「「スカルノ後」に期待」←ただし、上手く行かない
イ―経済悪化・共産党勢力の拡大
→マレーシア紛争解決せず(敵をつくることでナショナリズムを煽る)
スカルノ国連脱退(1965)
・新興勢力の意見反映していない
・マレーシア安保理非常任理事国
→「ジャカルタ=北京枢軸」(中国急接近)
日―イニシアティブをとって仲介すべきか、否か
日―仲介望む 英―日が深く関与しないことを望む
→米―まだ仲介すべきではなく、来るべき時にイニシアティブをはかる
いかにインドネシアの左傾化を防ぐか?
イ中関係
・中がマレーシア紛争など一貫してイを支持
・中は東南アジアにおけるアメリカの戦線分断に利用できると考えた
・国際的に孤立する両方
日:「経済」を軸とする国家建設
中:「革命」という国家建設
→インドネシアの「綱引き」
「シンガポールの分離(1965)によって、当初イギリスが推進した形でのマレーシア構想が崩壊したことで、イギリスはスカルノの対決政策への姿勢を大きく転換した。」
・国防費削減のため、東南アジアの兵力減らしたい
→日への仲介に期待
東南アジアへの主要アクター:英→日
九・三〇事件
陸軍上位層によるスカルノのクーデター企てを防止するため、大統領親衛軍が彼らを拉致・殺害(共産党関係か→共産批判)
→スカルノ少将が陸軍の指揮権を掌握して反抗
→「共産側の後退」(軍部の共産勢力に対する大量殺戮)
陸軍側に援助するか、否か
・合法政権への援助と解しうるか?
・軍部が国政を担当しうるか、否か?
→「インドネシアが現在の混乱を脱し、政府がその行政機能を回復するに至り、これが健全な歩みを踏み出すならば、かかる合法政権に対しわが国としても有効適切な援助を供与するに吝かでない」
米―日本の対インドネシア支援をいかに利用するか?
米国は表に立つべきではない(イの反帝国主義、反既成勢力)
「日本の経済支援体制を築こうという大がかりなものであり、やがてスハルト新体制で推進される「開発」を下支えする枠組みへと展開していく」
・経済的安全のために、経済利益を受け取る
・数少ないインドネシアとの良好な友好関係
イの対日本債務遅滞問題→日イ貿易停止
スカルノ対軍強硬姿勢
新内閣発足時に陸軍No.2(ナスティオン)を国防調整相から解任
←学生・イスラム団体のデモ
→スハルトに大統領権限を委ねる=三・一一命令
・共産党を非合法化
→日本―陸軍の要請に従い、緊急援助
スハルト下の新内閣
・国内経済再建を最優先、そのための支援を得る
・マレーシア紛争を中止して、国連復帰
英―マレーシア紛争解決望む←軍備費削減
マレーシア紛争についての和平協定調印(1966)
→ASEAN設立
「インドネシア債権国会議(債務返済の延長を目指す)という大規模な国際会議の招集は、・・・戦後日本外交にとって初めての経験であった。」
「インドネシアが受け取る政府開発援助の半分近くを日本一国が供与し、開発予算の少なからぬ部分を占める」
革命から、経済開発へと転換した時に、ちょうど日本は高度経済成長期に
スハルト第2代大統領就任(1968)
「技術力を誇る日本と豊かな資源に恵まれたインドネシアは補完関係にあり、両国が結びつけば相互の繁栄にとどまらずアジアの発展に寄与する」