紙の本
喜劇・駅前三国志
2005/02/22 23:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちょも - この投稿者のレビュー一覧を見る
常人の思いもしない発想を元に行動する。周りにいる人は彼がいったい何を考えているのか分からず、人によっては気味悪がり近寄ることさえ避けるようになる。その行動の結果、周りの人のお役に立てばよいがそうではない場合どうなるか。“何とかと天才は紙一重”というがまさにその言葉を地でいくような物語。本人は至って当たり前のように行動するのだがその結果、家族親類は勿論師匠や友人もその行動に振り回されていく。かの有名な三顧の礼も孔明に振り回された典型例として描かれている。しかし、振り回され続けた結果、一番可哀そうなのは弟の諸葛均。彼の涙ぐましい行動を見ると“失礼ながら”おかしすぎて涙が出てくる。
僕は三国志演義をきちんと読み通したことがないのでえらそうに言えないのだが、その中に出てくる理不尽な話の展開にたいして著者自身が随所に疑問を呈し、さらにおもしろさが増す。“孔明が、玄徳があるいは曹操がそのような行動を取ったのだからそうなのだ”と、これまでの三国志演義やその翻訳小説が素通りしていたようなところにも酒見氏は見逃さない、随所につっこみを入れ続ける。その結果手に汗握る戦いが繰り広げられる英雄伝であるはずの三国志を舞台に喜劇を成立させてしまった。実はこの作品、上に書いた三顧の礼の場面までしか書かれていない。その為孔明の常人には理解できない行動も天下に広く影響を与えるモノにはなっておらず親類縁者お近所の方方の首をかしげさせるにとどまっている。(それでも充分面白いのだが、実際にこんな人が周りにいたら本当に大変だろう)。調べてみると最近別冊文藝春秋で第2部の連載が再開されたよう。まだ始まってまもなくすぐに追いつけそうなので図書館でバックナンバーをあさってみるか。
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別冊文藝春秋連載中の爆笑孔明伝(本書で扱われるのは三顧の礼まで。現在第二部も連載中)。孔明も超人ではなく「生身の人間」であるというある意味当然の前提に立ちつつ、該博な歴史知識と先入観を排した資料の読みを基礎として、自由に想像力を駆使した著者一流の切り口が楽しい。本書の孔明は、「泣き虫弱虫」というより「ひねくれねじくれ」という感じだ。しゃれのわかる三国志ファンは必読。
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酒見講談とでも名付けたいくらいの名調子。これで終わりでは殺生だよねえ。赤壁のすったもんだのくだりは是非にも読みたし。マッドサイエンティストな黄夫人と孔明のバカップルな活躍がもっと見とうございます。
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おおおおおおもしろかった…!ほんと、すごいおもしろい。けど、最後の尻切れっぷりはどうなのか(笑)それでもほんとおもしろい!
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孔明×月英好きならこの本は読むべき!かなーり御馬鹿な内容ではありますが、なのに笑えるし感動できるし、馬鹿夫婦と哀れな弟を応援したくなります(笑)実はまだ買ってなく、立ち読みの見解なので4で。読みきったら5にしますv
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三国志の歴史が一通り分かっている人には面白すぎる本!
蜀の人たちを英雄にするために犠牲(?)にされた人の無念を晴らすように、作者が気持ちよく突っ込んでくれます!
特に蜀は好きではなった自分がいつの間にか、蜀を見るたびにほくそえんでしまいます。
これは、諸葛亮の策か!?
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とにかく面白い!
既存の孔明像を覆す大胆発想に爆笑です。
「策をくだされーッ!」と絶叫する劉玄徳、恐ろしき殺人マシーンの張翼徳、奇声を発しても爽やかな(?)趙子龍…酒見さんならではの人物斬り、痛快としか言いようがありません。
しょっぱなから孔明さんのことを「おとなげない」と言い切る人はこの人、酒見さんしかいないんじゃなかろうかと思います。
またその発言が「言われてみれば確かに」と思える辺りが酒見さんの凄さだな、とも思うんですが。
諸葛孔明が好きな方はもちろん、そうでない方にもお勧めしたい一冊です。
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はっきり言って面白い。マッドサイエンティストの黄氏と奇人変人の孔明のバカップル。勘だけで生きる何処が人徳者?の劉備。殺人マシーンの張飛と関羽等など。既存の三国志モノでは決して味わえない面白さです。三国志好きなら絶対読んで損はないと思います。
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諸葛亮のキレっぷりと劉備の泣きっぷり、諸葛均の歪みっぷりに大爆笑!三国志好きなら一度は読むべき!
内容のアレさに較べ普通の本っぽい装丁が残念。装丁に凝ればもっと売れると思う。
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演義を基にした三国志小説によくある「完全無欠の天才軍師・諸葛亮孔明」に飽きた人に。同じ天才でも奇人で変人な孔明なら気になりません。劉備をはじめ関羽張飛趙雲黄夫人に至るまで、今までの彼らのイメージをぶち壊す人物描写に爆笑。
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ギャグ三国志。
いや、さすが酒見さん。文章に脱帽。この手の文章は下手するとイタイ事になるんですが、すごく綺麗にまとまってました。
そして何より孔明がおかしい・均が可愛い・劉備ヤクザ・趙雲がカンフーというノリがもう。
徐庶が可哀想で良かった。
徐庶母が恐くて良かった。
スーッと読めてしまうので、娯楽本としては最高でした。ただ分厚すぎて持ち歩けないのが難点。
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好きだ。登場人物も作者も。
三行に一回は笑う。そんな中に酒見氏の皮肉じみた鋭い視点が冴えている。堪らない!
かわいい男がいっぱいだけど、彼らに関りたくは無い。
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こういうの大好きです!ちょっとバカっぽくて。吉川英治のあとに読むと新鮮。登場人物が濃い…孔明が好きになりました(笑)けっこう分厚い本なのに、すぐに読めてしまう面白さ。酒見賢一という作家を知ることになった本です。
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笑った!登場人物の壊れっぷりが素敵。五丈原まであったらよかったのに!蜀はあんまり好きじゃないけれど、こういうのならオッケーな感じ。
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酒見賢一ってシリアスな作家のイメージがありましたが、これは全編パロディー調の一編。とはいえ、諸葛孔明です。一筋縄ではいきません。
殺伐としていた遠い昔、人々はどんな風に生きてきたんでしょうか。歴史書にあるような思いつめた英雄たちの姿は本当なのか。そんな疑問を解消すべく、できるだけ等身大に、いやそれ以下に(笑)描き出していきます。劉備3兄弟の桃園の誓いは繰り返し披露していく内に完全に様式化した宴会芸になっちゃってるし、趙雲微妙にハブられているし、曹操は人材オタクだし。そんな中、天下の大奇人、諸葛孔明が弟を泣かし、姉をヤキモキさせ、徐庶を適当にあしらい、奥様は発明マニア。もう向かうところ敵無し。虚名を流布し、時流を掴もうとするも、なんか結局劉備に引っかかっちゃう。
時事ネタあり仁義あり戦いあり、マカロニウエスタンあり(英訳三国志演義より。ある意味面白そう)とその筆の軽いことといったら。三国志ファンは抱腹絶倒または怒り心頭間違いなし。