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待ちわびた求婚 みんなのレビュー
- アン・ヘリス (作), 宮沢 ふみ子 (訳)
- 税込価格:946円(8pt)
- 出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン
- 発行年月:2004.12
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紙の本
26歳の彼女の幸せの行方は。19世紀初頭イギリスの田舎が舞台のロマンス。
2005/05/31 00:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三度目の正直 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本当に待ちわびるタイトル通りの内容だった。原題は「An Ideal Match」だけれど、日本語タイトルの方が本書の内容をよく表わしていると思う。
著者のアン・へリスは、華やかな19世紀初頭の英国摂政時代(リージェンシー)を舞台とした物語を得意とする作家の一人。愛読書はオースティンの『自負と偏見』やC.ブロンテの『ジェーン・エア』だという。これにはなるほどと頷けるものがあり、彼女自身の作品も、会話の面白みや女性が強く生きる姿などこの両作品の要素を併せ持つような読みごたえのある作品ばかりである。ちなみに本書でも、主人公二人の会話の中にオースティンの『エマ』のことが登場するのでなんだか嬉しくなる。
主人公のジェインは26歳。母親を亡くしてから弟の母代わりとなり、病床の父親の看護で結婚のタイミングを逃してしまい、父が亡くなった後はまだ大学生の弟の代わりにずっと所領地の管理をしてきた。そして今度は、母の親友の遺言で、アマンダという18歳に満たない少女の後見人役になることになる。本書は、自分にはもう結婚のチャンスはないだろうとあきらめている彼女が幸せを手に入れるまでの物語である。
ジェインはある日乗馬で出かけた荒野でマックスという貴族の男性に出会うことになるのだけど、二人のロマンスが始まるのかと思いきや、あれあれ?という感じで話はそのまま真っ直ぐに進んではくれない。ジェインはマックスに好意を持つが、マックスとアマンダがお互いに好印象を抱いている様子を見て取ると、被後見人のアマンダにふさわしい男性と結婚させてあげる義務が自分にはあるんだと、自分のときめく胸を押し込んで、二人がうまくいくことを願いアマンダの世話をやく。
冷静でしっかりもので思いやりも分別もある素晴らしい女性というのは、時に損なものなのかもと切ない思いがした。だからこそ彼女が最後に幸せを手にした時にはとても嬉しかった。
とても丁寧な作品作りと、どこか品のよさを感じるところにも好感が持てる。なかだるみすることもなく、次々と思いもよらない展開が待ち受けていて読者を始終楽しませてくれる。そしてロマンスだけでなく、兄弟愛の美しさも描かれているところも注目だろう。さらには、マックスが何者かに命を狙われているというサスペンスな面まである。誰が何のために狙うのか? 犯人のしたことは赦されることではないけどその心情には思わず目が潤んでしまった。そして登場人物一人一人の姿が頭に思い描けるほどに際立っているのだ。全体的に見ても部分的に見ても秀作である。
ロンドン社交界の華やかなシーンも少し出てくるが、大部分はコーンウォールやサリーといった田舎が舞台。イギリスの田舎の美しい風景を思い浮かべながら読んでほしい。また、ジェインのような冷静でしっかりものでまじめがゆえにちょっと損してるような女性にも読んで清々しい気持ちになってもらいたい作品だ。
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