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樹は天涯孤独の身の上のはずだった。
ずっと母子家庭で育ち、母一人・子一人で育てられたので樹は父親が誰であるかも知らずに大きくなり、樹が社会人になって一年目の夏休みにその母も交通事故で亡くなって以来、一人で生きてきた。
そんな樹に信じられない知らせがもたらされる。
誰ともわからなかった自分の父親が、自分の勤めている会社の社長でその社長が亡くなったため、自分にも莫大な遺産が入る、というのである。
おまけに自分には腹違いの弟がおり、遺産を受け取らなければ会うこともできない、というのである。
その真偽を確かめるため、帰省した樹だったが、そこで出会った仲條という男になぜか惹かれるものを感じてしまう。不思議と感じる懐かしさや湧き上がる激情に戸惑いながら、強引な仲條に引きずられるようにして関係を持ってしまう。
後日、その仲條が自分の半分血の繋がった弟であることを知り、樹は衝撃を受ける。
ちょっと自分の倫理観を試されるお話でした。
どうして近親がダメなのかって、遺伝できな障害のリスクが高まるからだと個人的には思っているので、それを除けば実はそれ以外何も問題ないんじゃないかなー……? と思うだけの倫理観しか私にはないので。
最初から子供ができたり、妊娠したり、というようなリスクのない男同士であれば、おまけに実の両親までいない、という状況であれば正直、何を問題にするのだろう……? というところ。
さすがに、実の父親が実の子供に……だったらさすがになんかいろいろ思うところは出てくると思うんですが……。
というわけで、個人的にはその実の兄弟だからうんぬんかんぬん的な何かはまったく問題にならなかったので、そういう意味での萌えというか勘定の揺れはまったくありませんでした。
多分、この本、そこが読みどころだと思うんですけど……。
そういうわけで、そこに対するものは何もなかったんですが、それを除いても十分に楽しめたと思います。