紙の本
誰かとつながっていたいと思える作品
2006/10/01 16:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
三浦しをんさんは初めての作家。その才能にぶっ飛んだ作品です。昔話がこうも変わるなんて。決してモチーフは失わせず。不思議な面白さを感じた本です。最後まで読んだ後、また読み直してしまいました。
昔話をアレンジし現代風にした7作。そのラインナップは、
ラブレス…かぐや姫
ロケットの思い出…花咲か爺
ディスタンス…天女の羽衣
入江は緑…浦島太郎
たどりつくまで…鉢かつぎ
花…猿婿入り
懐かしき川べりの町の物語せよ…桃太郎
どれもわたしたちが聞いたことのある話が現代風、いや未来風にアレンジされています。
わたしが好きなのは「ロケットの思い出」。泥棒に入ったところは高校の時の知人「犬山」。その犬山から取引を持ちかけられる。「ある女性の部屋に忍びこんでほしいんだ」かってつき合っていたという彼女に部屋に忍び込んでまんまと成功したかと思いきや…。なんと、推理要素の入った作品なのでしょう。とっても、滑稽な話なんですけど最後は切ない。うまいなあと感心してしまいました。
この作品のすごいのは、途中から話が繋がってくるというところです。「地球に隕石が衝突し、地球は滅亡する」、このことを知ったとき、この作品は「生と死」をテーマに書かれていることに気付きます。
そして、「懐かしき川べりの町の物語せよ」で、今までの話の関連がわかります。この作品のモモちゃんが秀逸。
「どんな状況においても、言葉を媒介にだれかとつながっていたいと願うものである」そうあとがきに書いている、しをんさん。こうした昔話はこのように語り継がれていくのだろう。言葉の本質を言い当てています。
そんな作者の昔話を楽しんで欲しい。ただ、わたしの感想はちょっと作品ごとにムラがあるのではないかということ。楽しんだ作品とそうではない作品の。途中であきらめず、最後まで読んでいただくことをオススメします。
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日本の昔話をモチーフにした、全部独立した短編かと思ったら、最後に綺麗にすべてがつながっていることに気がつかされました。おもしろかったです。
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端正な文章が読みやすくて好き。はっちゃけたエッセイも大好きだけど。最終話の「懐かしき川べりの町の物語せよ」が、それまでの話をうまく収束させててよかった。
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ほんとう、読み終えた後、「むかしのはなし」というタイトルに切なさを覚えて嘆息せずにはいられない。そんな、話です。
読後に残る苦さと、遠い向こうの光に焦がれるような懐かしさと憧憬と、淋しさともすこし違う、何とも微妙で言い表しようのない感情が胸を満たします。
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三浦しをん先生の作品を読むたび、なぜか懐かしいなぁと思います。
“むかしのはなし”は結構未来をが舞台だったりするのですが、それでも描写や登場人物の言動の中に懐かしさと切なさを感じます。
大好きな作品です。
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これはすごいなぁーと思った短編集
「かぐや姫」とかを現在版にリメイクしとるんよ
最後の方の4作ぐらいは世界が一緒でそれぞれの生き方みたいなんがみれてよかったです。
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三浦しをんを読んだ第一作目。あの人の作品に似ている、あの人の作品にも似ている、と感じる作品。現代日本の売れている作家が吹かせている風のせいだと思う。漫画のようにパーっと読めてしまうのも良し悪し。
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短編集かなあ、と思っていたら、何気にどの話も繋がっていることに気付く。ひとつひとつの話は、全く違うけれど、最終的に向かう先はひとつだった。
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誰もが知ってる昔話を、現代風にしたもの。流石しをん!だいすきだ!モモちゃんの話読んだ後、フルーツサンドが食べたくなった。笑
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1つ1つでもそれぞれ楽しめますが、あとがきまで全部読んでやっと分かる共通点あり。現代を昔話にするとこんなんになるのかーと感銘を受けました。モモちゃんとサルが好き。
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どんどん沈んでいく怠惰な日々を書き綴っているようなはなし。
[死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか]
帯より。
だからそんな日々も愛おしく思える日が来ると思う。
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三浦しをんはネタエッセイだけじゃないんだ!!<第2弾 彼女が綴る綺麗な文章の中の切なさが私は大好きです。文章は綺麗なんだけど、そこに描かれている物語は綺麗ではない、と言うか。真実と事実の合間とか、今と昔の合間とか、光と影の合間とか。そういうグレイゾーンから流れる切なさの生々しい様が大好きで。彼女が綴る『綺麗じゃない』文章。私はめろんめろんです。
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短編集で、ちょっとずつ話が繋がっている。そして「むかしばなし」を髣髴させるつくりがおもしろい!しをんはエッセイは全然だが、小説はきらいじゃないなぁ〜ものによるけど。
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むかしむかし、と語り始められる昔話も、たしかにあったことなのかもしれないと思う静かな短編が七つ。
いちばんすきな話は「花」。水色の百合、花びらは溶けて消える桜。悲しいような、優しいような。
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オムニバス形式の小説。『終末』に対する人々の反応、心情さまざまに。つき抜けた人とその人を見る普通の人、という図式が切ない。