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教科書上での敬語とは違う、ハギノ式敬語は確かにわかりやすい。
氏は現在の敬語教育や浸透している敬語の誤用を批判しているが、それがなぜそうなっているのかについては詳しく言及していない。
多くの部分に説明不足を感じた。
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敬語 人間のなんらかの意味の上下関係の認識を表現する語彙の体系
尊敬語 話題の人物を上位者として扱う表現
話し手が自分より上位の人、目上の人を話題とする時、その目上の人のものや動作を表現する時に使う敬語 おいでになる
謙譲語 何者であれ2者間の上下関係を表す表現
話し手であるあなとの発言のなかで話題となった人物同士の間に上下関係がある場合に、その関係を表現するのに使う敬語
丁寧語 聴き手への直接の敬意表現
申す 下位者が上位者へものをいうこと
参る 下位者が上位者へ近寄ること
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敬語に関する解説を、独自の理論で展開されています。
『ハギノ式敬語仕組み図』までは、わかりやすくて良いのですが、その後が少々暴走気味(笑)
・「ご苦労様」は上司に使っても文法的には間違っていない。
・「問題な日本語(北原保雄著)」での美化語の分類法は間違い
など。
基礎がわからない方が例外を学ぶと混乱してしまうので、初心者さんには向かないかも。
【勉強になった箇所】
・あげる、してあげる、いただく、していただく、くださる、してくださる、は謙譲語なので注意。
・丁寧語は「です」「ます」「ございます」だけ。動詞・形容詞・助動詞につけると教養を疑われるので注意。
・「サ」入れ言葉は、四段活用動詞・サ行変格→「せる」 上一段・下一段・か行変格→「させる」をつける。
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タイトルが示しているように本書は敬語法の通念を批判し、自らハギノ式と称する敬語理論を紹介したものである。ハギノ式は敬語の使用を、その場にいる人々の間の「伝達」と、「話題」として登場する人間関係の2局面に分けているのが特徴である。
敬語の種類として尊敬語・謙譲語・丁寧語に分類するのは通説と同じだが、それぞれの定義を「話し手がだれか自分より上位の人、目上の人を話題とするとき、その目上の人ものや動作を表現するときに使う敬語」とし、謙譲語は「発言の中で話題となった人物同士の間に上下関係がある場合に、その関係を表現するのに使う敬語」として、「話題」という枠組みを分類の前面に出している。そして丁寧語を「話し相手、聞き手に対して直接敬意を表現する言葉」として、話題という枠組みに入らないものとして区別する。
この考えだと、話し手が目上の人に対して敬意を払っている場合の扱いが問題になるが、それを自らを話題にしている方法であるとして解決しているのである。自己の外部に自己を想定するという現代的な概念を持ち込んでいることになる。
確かに筆者の考え方をとると複雑な敬語の使用状況を単純化できる。その点では優れた考え方であると思う。ただ、使用者の心理を捉えているのかと言う点において若干疑問の残る点もある。はたして、自己の客観化という意識があるのだろうかということである。
一方で尊敬の助動詞「れる」「られる」を極力使用しないことをすすめたり、「おはよう」などの挨拶語を敬語としてとらえるといった実践的な提案もなされており、従来の敬語理論を見直そうという意欲が強く表れている。強すぎて多少言い過ぎな感もあるが。
敬語は人間関係を言葉で表すシステムであり、面倒ではあるがうまく活用することによりいろいろな恩恵も得られる。グローバル化する社会の中で、敬語が旧態然とした過去の遺産と見るむきもあるが、むしろこのシステムを活用してこそ円滑な人間関係が手っ取り早く構築できるともいえる。英語には敬語がないなどと言う大誤解を捨て、言葉が立場の違う人同士を結びつける媒体であるという側面を見直さなくてはならないと思ったのである。
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図書館で借りた。
私が社会人になったころ、「新社会人にお勧めの本」とビジネス系雑誌に掲載されていた記憶があり、図書館で見かけて手に取った。
第1章がいきなり言語学者の批判で、著者の「正しい敬語はこうなんだ!あの学者は間違っている~」が強い。言語学者同士の批判なんて、9割の読者は興味ないのではないかと私は思うが…。
第2章でようやく国語の授業で学ぶ敬語をおさらいしてくれて、第3章では著者が発明した敬語の図式化がある。このあたりは一般的な授業の説明って不足・矛盾があるよね、の説明になっており、大人が読むと「あ~なるほど、謙譲語ってそういう仕組みだったのか」と感じるかもしれない。
私は元々敬語の使い方が下手だと思っているが、この本を読んで、大事なのは言葉遣いではなく、敬う気持ちと行動だな、と感じました…。