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2011/10/11読了
主人公とご主人様が、そうなったらいいなぁー、と思う方向に進んでいってくれて、じんわり幸せになれました。
きっと人は、好みやさまざまな欲望に対して同じ価値観を持っている相手と結ばれるのが1番幸せなのではないでしょうか。
そんなことを感じさせてくれた、一冊です。
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吉本ばななさんの小説。
激しく心を揺さぶられるということはないにしても、
深く心に染み入るお話でした。
くわしくはアメブロで。
(ネタバレなしです)
http://ameblo.jp/waremoko-tadoku/entry-10241434358.html
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「世界の旅」シリーズ、4作目のこの作品は、タヒチが舞台。
訪れたことのある国を舞台にした物語を読むのは、リズムがわかるために心地よく感じます。
ぎこちないほど真面目に、誠実に生きているだけに、肉親を喪って心身のバランスを崩してしまった主人公。
リハビリを兼ねて短期間、勤務先のオーナーの家政婦として働きます。
ペットや植木に、丁寧に愛情を注ぐ彼女とオーナー。
在宅時間が違うため、実際に会うことはなくても、お互いが家のものに向ける愛情をしっかりと感じているという関係に、確かな安定を覚えます。
都会の合理性や拝金主義、せわしなさに抵抗を感じながらも、なんとか折り合いを見つけて自分らしい幸せを見つけようとしている二人。
惹かれあうのは自然なことでしょう。
オーナーが既婚者であるために、それぞれに抱える懊悩。
二人の人間性と歩み寄りが非常にゆったりと描かれているため、よくある不倫ものとはまた違う必然性を感じられるような話の作りになっています。
日本からはるか遠いタヒチを一人旅で訪れ、その自然に癒されていく彼女。
自然の持つまっすぐな生命力を受けて、深い喪失感から少しずつ立ち直っていきます。
言葉に書き切れないような心の揺さぶりを、丹念に表現していくのは、前回のエジプト版と一緒。
さすが作家だなあ、と思います。
ものいわぬ生命体の放つ鮮やかさが、さまざまな形で語られていきます。
タヒチを知らない人は、どのように読むのだろう、とふと思いました。
どこか遠くの夢の島のようにとらえているのかもしれません。
一人旅の割には流れるようにことが運んでいるのは、確かに現実味が薄いもの。
それにしても華やかなリゾート地であるタヒチに一人旅とは、なかなか思い切ったものです。
それだけ、主人公のよるべなさ、孤独感がくっきりと浮き立っています。
タイトルの虹は、最後のシーンに登場しました。
彼女の選んだ道と重なって、美しいだけではない、非情なまでの覚悟を含んだものとなっていました。
自分も「ラグナリウム」体験をしましたが、その後この言葉をすっかり忘れており、懐かしくなりました。
タヒチだけに作られたものかもしれません。
キーワードのように登場するレモン色の鮫には遭遇しませんでしたが、巻末に写真が載っており、イメージをつかむことができました。
イラスト担当は、前回のエジプト版と同じ原マユミ氏で、彼女は著者の旅に同行していたと知りました。
今回は遺跡ではなく自然がメインであるため、物語と絵には特に違和感がなく、雰囲気が合っていました。
ばなな作品の登場人物は、それぞれに深い闇のような孤独を抱え、その重さを持て余している人々ばかり。
春樹作品の人物も、特徴的なほどに孤独ですが、双方のベクトルは明らかに異なっています。
孤独の種類も表し方も、作家によっていろいろと違うものだと考えました。
丁寧に、ていねいに書き進められたと思われる、つぶらな作品。
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『夢のようだ、まるで虹を見ているようだと私は思った。
いろいろなことがあったけれど、またこういうきれいなものをみている…生きている限り、また苦しいこともあるだろう、でもまた必ずこういうものが目の前に現れてくるのだ。必ず。』
タヒチアンレストランで働く瑛子は、複雑な心を抱えたままタヒチに飛び立つ。彼女の抱えた悩みの回想とタチヒで癒されながら愛を取り戻す姿を交互に描いた物語。
旅行小説シリーズ、タヒチ版
情景がきれい
いきたいなあ。
動物の純粋な愛と期待。あのまなざしは一度うけたら忘れられないよ。きゅーってなる。この人もそれを知っている人だ。
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コバルトな人ではないのだけど、良い意味でコバルトっぽさが抜けないというか、三十才になっても恋を夢見る感が溢れている。でも、コバルトでは決して無いんだよな、ばななは。
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ばななさんの小説の主人公はどこか達観しているところがあって、「これこれこうだから恋が終わっても仕方ない」と割り切ってしまう女の子が多いのだが、今回きちんとご主人様との将来のために動き出すところで終わってくれて良かった。
ご主人様との恋愛だけではなく、様々な人の家族愛、加えて動植物への愛も描かれていて、じんときた。
私はばななさんのこういう恋愛至上主義じゃないところも好き。
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ラストに向けて、なんだか感動。
まっすぐ恋に向かう主人公が輝いていて、そんな心にじんとしてしまった。
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タヒチに行って、キイロのサメを見てみたい!タヒチに行ったことがなくても、青い海や白い砂浜、黄色い太陽が目に浮かんでくる。
タヒチレストランのオーナーとアルバイトの恋は、とてもマジメでくすぐったい(^^)こんな恋もいいね!
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前作ほどではないが、この作品もなかなか本格的な小説。タヒチと東京とがうまくリンクしているといえるだろう。ただ、男が想いを寄せる女に「どうしても一回だけ、どうしても頼む」なんて言うだろうか。少なくても私は絶対に言わない。原マスミの絵は、またしてもちょっとゴーギャン風の味付け。特に女性の脚がそれ風で上手。
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【本の内容】
レストラン「虹」。
海辺の故郷そっくりの素朴で丈夫な心で瑛子はフロア係に専心していた。
だが、母の急死で彼女の心は不調をきたし、思わぬ不幸を招く。
踏みつけにされる動植物への愛、身に迫る禁断の想い…。
瑛子は複雑な気持を抱え、念願のタヒチに旅立つ。
今、美しい島で瑛子に深く豊かな愛が蘇る。
確かな希望の訪れを描いた傑作長編。
[ 目次 ]
[ POP ]
吉本ばななを好きな若い女の人は多いと思うけれど、私も例外ではない。
10代の頃、何度も読んでは文章に酔いしれ、本文を覚えてしまうほどだった。
きらきらとしたみずみずしい文章と胸をしめつけられるようなせつないストーリーに、いつも心奪われたのだった。
久々に彼女の作品を読んだら、さすがに今の私にその甘酸っぱい文章はくすぐったく感じられたのだけれど。
東京から逃げるようにタヒチへと来た私は、母が死んでから起きた出来事をゆっくりと思い返していた。
タヒチアンレストランでのフロアの仕事は天職だと思えたこと。
生まれ育った田舎でのつつましいくらし。
突然の母の死で精神が不安定になり、フロアの仕事を休んで、店のオーナーの自宅で家政婦になったこと。
そしてオーナーの私生活を目にすることで知ってしまった彼の喜びと悲しみ。
「死と喪失感、そして癒し」のモチーフは本書でも健在だ。
くすぐったく感じた文章も次第に心地よくなるほどのめりこみ、最後のドラマチックな展開には泣けてしまった。
やっぱり今でも、彼女の作品が好きなんだなあ、と再認識した一冊だった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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読み終わってすぐにまた読み返したくなりました。そして読み返しました。
飲食店に勤務している主人公は、よしもとばなな氏の他の作品と同様、ちょっぴり変わったバックグラウンドを持っていて、それでもって物事を観察するやり方が少しばかり人と異なる。そんな彼女の目を通して語られる色々な描写が、雑事で疲れ切っている私の心にしんみりと沁みました。
主人公の、少しだけのろまなんだけど、それを悪しとせずにポジティブに変換していく力に、いくばくかの勇気をもらいました。現実はこんな風にはキレイにならないかもしれないけど、私もこうして自分の決断に胸を張れたらと思いました。
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20ページくらい読んだら一度読んでる事に気づいた。
ばななさんの作品はレストランと南の島が多数登場するので頭の中でごっちゃになってしまう。
読めば面白いけれど、『虹』は結構スピリチュアルな面が押し出されていてちょっともやる。
自分の生き方に自信を持つのは大いに良い事なんですが、作品にしてたっぷりの自信をみせつけられるとちょっと辟易とする。
ラストも、え、このタイミングで受け入れるの?都合よすぎって思ってしまった。
ばななさんの文章は好きだし、そうそう、そうだよねって思うことも多いんですが、ばななさんみたいな人がそばに居たらきっと友達にはならないだろう。
この作品で一番印象に残っているのはレモン色の鮫だし、きっとその事をばななさんは喜んでくれると思う。
タヒチ行ってみたい✨原マスミさんのカバーイラストがほんとに素敵だし、それ以外にも作品が載っていてとても良いです。
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異国が出てくるから、というのは関係なく、ばななさんのおはなしは海外に旅をしているような時間の流れを感じさせてくれる。
舞台はタヒチと日本にあるタヒチレストラン『虹』。
そう、また来るといいわよ。縁がある土地って、どんどん好きになっていくからね。私も主人がいなくなってもやっぱりまだ来てしまうもの。
こういう時にふと現れてなんとなく人生に光を与えてくれる存在を、私は天使のようだと思う。よく知らない人なのに縁があってなぜかちょっとだけの時間を深く共有する存在と、たまに出会うことがある。そういう人たちは、何かしら、その時の生き方に関わるヒントを持っている。
人は旅先ではしょっちゅう子供に戻ってしまう。
肉体的な疲れでもなく、現実的な疲れでもなく、余裕のある疲れ方をすると独特の感覚が芽生える。それは、世界が今まで思っていたものとまるで違って見えるということだった。すると子供に戻ってあらためて体験するしかなくなる。
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吉本ばななでしか摂取できない栄養素がある。確実に。
なぜ最近離れていたのか…
最終的に不倫の話になってしまったのは残念。
内容というより表現が麻薬的。
2ページ目から「色の濃いはちみつのようにとろりとした楽しい感じ。」と出できて撃ち抜かれてしまった。
アムリタだったかで出てきた「グレープフルーツのシャーベットみたいな輝きを持って近づいてくるのを感じる。」的な表現、いまだに衝撃だもんな。また読みたい。
毎回メンタルが落ち込んでいるときの回復薬になってる。マリカの永い夜、もまた読みたいな。
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海外旅行が縁遠くなって早2年、こういう旅がテーマの小説が身に染みる…
タヒチの美しい情景と瑛子の揺れ動く心情が繊細に描かれる、吉本ばななワールド。南の島にめちゃくちゃ行きたくなる。私もラグナリウムしてみたい。檸檬色の鮫見てみたい。
とても好きだったので、同シリーズでドゥマゴ文学賞とった「不倫と南米」も購入!読むのが楽しみ。