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紙の本
生死の間で揺れ動く人間模様、壮絶な闘病記録、あなたなら何を考えますか
2005/09/20 13:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:筑波太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「救命センターからの手紙」第三巻である。決死の救急
医療、時間との戦い、生死をかけた人間模様。救命センターに運
び込まれた生身の人間(患者)と医師との、壮絶な闘病記録であ
る。
救命センターに運び込まれる患者、生命を最優先する医師た
ち。その行き着く先は筆では書けないほどの苦闘の連続。生への
確かな勝算もなければ、死をのり越える勝算もない。ひたすら生
命維持の灯火を消さない戦いがそこにある。医師と患者の関係
は、まさに生へのロープで結ばれている姿に感じ取れる。<何者
にも侵すことができない聖地>のように。
交通事故を犯しながら、奇跡的に命を取り留めた初老の男性。
治療に携わった医師たちの、誇りと歓喜の眼差しさえ打ち砕いた
傷心自殺。必死の治療の甲斐もなく、幼い命を救えなかった医師
たちの苦悩。脳挫傷患者との生死を掛けた戦い、苦悩の家族との
間に揺れ動く医師たち。手に汗をにじませるほど引き込まれてい
く迫力。<生命力>の偉大さに、ただ脱帽。
医学の発展は日進月歩。「救命センターも、この二十年で大き
く変化し、医療機器や設備だけでなく、さまざまな医療体制やシ
ステム」が生み出された。しかしながら、医療の進歩が我々人間
に、どれだけ幸せをもたらしたのだろうか? 確かに、「より便
利、より快適」になってきているが「数多く報道されている昨今
の医療過誤、安楽死」などの話を見聞きすると、安穏とはしてい
られないのではないか。
<生きる>素晴らしさを感じるとともに「人間の幸せって、い
ったいなんだっけ?」と問いかけてみるのも一考かな。
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