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医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、言葉を話すことのできる少女、葉月。生きることも死ぬこともできない彼女が望んだのは、自らの臓器を移植を必要としている人々に分け与えることだった――。※なんとも言えない雰囲気のあるお話。綺麗で静かで暗くてせつない。
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テーマが臓器提供、カチカチのドキュメンタリーかといえばそうではなく、現代版幸福な王子。物語が終わったらいったいどうなってしまうんだろうと不安な反面最後まで飽きずに読ませてくれます。
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難しい。。
でも意外とさらっと読める本。すばるにしてもはづきにしてもあくたにしてもみんないろんなこと思ってそれぞれ影の部分があって。
考えさせられる本でした。
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私の一番好きな童話「幸福な王子」にインスパイアされた作品。
月明かりの夜だけに話すことができる脳死の少女。山奥の閉鎖された白い病院。
一見幻想的なファンタジーのように見せかけて、現代人の、こころとからだの病に焦点をあてて描く。
だからこそ、私たち一人一人の心のなかに誰もが持つ弱さや闇を暴かれたような気持ちにもなる。
物語は序章からどんどん救いがなく残酷な方向に流れていっているはずなのに、最後なぜか、心のどこかで何かが暖かくなってきて涙がとめどなく流れた。
「私は生きていて、人間の心を持っていたころ、涙とはどういうものか知らなかった。」これは童話の幸福な王子の言葉だけど、この物語の主人公、葉月の数奇な人生ともリンクしてるように感じ、切なくなる。
与える自由と与えられない自由。
健康なときに、話すこともできなかった小さな片思いの相手の人生を、自分の身体を蝕みながら再生させてゆく。
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――こんな絶望の世界があることを知ってたら、孤独なふりなんかするんじゃなかった――
死とは、いかに曖昧なものか考えさせられます。「水の時計」の意味も意外。ラストは驚きの連続です。
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―――ただ、彼に出会えればそれでいいのだ。
幸福な王子とリンクさせたこのお話が、考えさせられました。死とは、何を持って死とするのか。壮絶な内容に、逆転なラストが面白いです。
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脳死・臓器移植と童話の融合。
透明で繊細な物語。
葉月と昴は、互いに出逢えて幸せだったと信じたい。
もう少し早く出逢えていたら、と願って止まない。
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脳死、臓器移植を物語の中心に据えたミステリ。ミステリというのが必ずしも殺人事件や推理小説のようなものでは無いということを改めて認識した。
「死に続けている」という奇妙な状態が確かに存在していて、それが人間の作り出した奇妙な基準のせいで成り立っているということについて考えさせられる作品だった。
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「幸福の王子」の童話は昔読んだことがあったと思うけど、こうして改めて提示されると結構意味深な童話だったりしますね。その「幸福の王子」をモチーフにしたようなミステリーですが、そのテーマを主において、各章の話はそれぞれ人間ドラマがある連作小説のようです。しかし、ミステリーですから謎も用意されていて、そのあたりが独特の構成力かなと思いました。こうした、なかなか面白いテーマの捉え方や、面白い構成など、注目の作家かもしれないぞと感じました。
これも、最近続けて読んでいる「横溝正史ミステリー大賞」受賞作シリーズの一環です。でも、このシリーズを読み続けるのもそろそろ終わりかな。
最近、医療関係のミステリーが多かったのですけど、これもそうです(医療現場のミステリーとは違いますが)。確かに昔は「生きている」と言うことと「死んでいる」と言うことしかなかったのに、今は脳死状態のような「死なない」と言う状態や(本書では「死に続けている」と表現していました)クローンなどの技術も出てきて、そこには従来の倫理観を越えた技術が存在することになり、生と死を考える上でも難しい時代になったのだと思います。人が生きると言うのは重要だけど、倫理観を越えて生きることってどんなことだろう、、、と本書とは関係ないところで悩んでしまいました。
20日ぶりくらいに読破しましたが、やや集中力を欠いていました。こういうときに読まれる本は可哀そう。
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「透明」。。。
この本を表すには、この言葉ー
透明過ぎてつかみどころがない、というのもまた事実。
死ぬことも生きることも出来ない少女が望んだことも、
少年に課せられた義務も、
透明なのに残酷。。。
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第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
暴走族「ルート・ゼロ」のトップ3の一人だった高村昴は、あやうく警察につかまりそうになるところを、芥と呼ばれる謎の老人によって事前にその危険を回避した。その代償として、妙な仕事を依頼される。脳死状態でありながら、月明かりの夜にだけ会話を交わすことができる葉月という少女。その彼女の願いに従い、彼女の臓器を移植を必要とする人々の元に極秘に運んでほしいというのだ。
脳死、そして臓器移植という重いテーマでありながら、「幸福の王子」をモチーフに、この綺麗な装丁のようなノスタルジックな世界で描いた作品。目、腎臓、心臓、それぞれを必要とする人々のそれぞれのショートストーリーを間に挟み、その人々に対して昴が臓器を運ぶことで話が繋がっている。葉月はなぜ、人々に自らの臓器を分け与えることをそこまで望むのか。なぜ昴がそれを運ぶことになったのか。この作品の中にあった、”与える自由、与えられる自由”についても考えさせられる。昴が心臓を分け与えたかった先生とのエピソードがかなり泣けた。
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脳死した少女の願いに従い暴走族の少年が彼女の臓器を運ぶ。
現代版「幸福の王子」。設定に無理があり過ぎだと思う。
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出会えて良かった一冊。
オスカーワイルドの幸福の王子をモチーフしたお話。
オスカーワイルドのあの優しくて悲しくて切ない世界観を損なうことなく、現代風にアレンジされています。
各章の初めの文章が好きで好きで、そこばかり何度も何度も読み直してしまいました。
葉月の台詞はすべてが、こころに響きました。
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角川文庫の100冊に入ってたので、読んでみました。
「幸福の王子」と臓器移植との組み合わせが、面白かった。
本の内容とはあまり関係ないのですが、
小さい頃、私は「幸福の王子」を怖い話だと思っていました。
まず、銅像に意識があるというのが怖かったし、
自分の身体を少しずつ人に分け与えるっていう発想も怖かったし、
ツバメが死んでしまうのも怖かったです。
まあ、よく考えれば「自分の体を〜」ってのは、
アンパンマンも一緒なんですけどね。
(でもアンパンマンは、また作ってもらえるから違うかな)
しかし、ツバメは災難ですよね。
偶々、銅像のとこで休憩したばっかりに王子に目をつけられちゃって、
寒いところで死ぬ羽目になっちゃって。
今でも、この話は好きになれないし、
いい話だとも思えないです。
2008.08.23 初読
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幸福の王子をモチーフにした現代の臓器移植の話。
個々の話は移植を切望する人たちのギリギリな生活がリアルですが、全体を通しての王子=少女とツバメ=少年の話が幻想ちっくかつえっらい可哀想で切ない。リアルなのに幻想小説みたいな仕上がりになってます。