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これはイイ! タイトルと、文章、舞台、事件。何もかものが混然一体となって、一つの素晴らしい作品を作り出しているじゃないか。
あらすじ:
時代小説の同人仲間の中で、絶大な人気を誇る藤原花奈女が、着物が散乱した部屋で赤い着物を纏って死んだ。花奈女の死に関係していると思われる、常にこの京女の作品を支えていた<京都の髄>「ミヤコ」は彼女のプロ作家デビューを恨み、呪詛めいた手紙を送っていた。雅な小説を書き、京女として完璧な彼女の崇拝者、優希は亡き花奈女のプロ作家デビュー作となるはずだったあらすじを受け継ぎ、作品を仕上げようとするが、「ミヤコ」の呪いが彼女と同人仲間に襲い掛かる。京都に飲み込まれる彼女たちが体験する妖しい事件の数々に、論理は存在するのか――。そして花奈女のあらすじを受け継ぐことが出来るのか――。
本格で、その推理小説的な要素が物語全体に及んでいるんだけど、世界観、雰囲気に上手く織り込んであって、浮いてるなんてことはなく、とても心地いい。タイトルの「鬼女」そして「都」、舞台である京都。それぞれが持つ響きとイメージとぴったりの描写で、魅力あふれる作品に仕上がってる。
面白かったあ!
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京都を舞台にした小説を同人誌で発表する藤原花奈女が自殺します。同人作家であり、熱烈なファンでもあった吉田優希は未完の遺作を書き継ぐために京都で取材を始めるのですが、怪事件が次々と彼女を襲います。
良く出来たミステリーだと思います。ただ、京都という歴史の特異性を表現したい為か、登場人物皆揃って「京都とはなんぞや」というのを語り尽くすので白けてしまいました。
また、源氏物語を題材とした能楽「葵上」が古文で読み辛かったです。
主人公の女性が「ボク」という一人称で表現していましたが、何か狙いがあったのでしょうか?どうも違和感がありました。
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京都を舞台とした小説を書く同人作家が死ぬ。主人公たちは、死に追い込んだ「ミヤコ」の正体を探るため、遺稿のあらすじを元に京都の取材を始める.
京都への期待と思い込み、地元の生活とのギャップと、二人の意識のずれが死を呼び込んだ話。
思い込みの激しい同人作家や京都の描写が良い。謎解き役のキャラのせいか解説シーンがやや冷める感がある。