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初代芝川春太郎は噺を書き上げた後に事切れた。その後、その噺に挑戦した落語家は死んでしまう。そんな呪われた噺に挑むことになった竹花亭幸助。異端児とされ、一門からははずされている。唯一の弟子は女落語家香須美。香須美の目線で進行する物語。女性落語家の苦悩と異端の師匠とのからみがよかった。落語の噺も面白い。
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■「落語娘」は呪われた噺に挑む異端の師匠と女前座。
もひとつ収録の「ええから加減」は女性漫才師のええ話。オール読物新人賞受賞作。
■「落語娘」はホラーにしたいのか、女流の出世モノにしたいのか?
入り組んだ構成の割に押さえるとこを押さえてないから、ピントが甘くなる。
・読むだけで「一巻の終わり」なら、演者が途中まで噺ができるのは何故か?
そもそもTV局ならお祓いくらいするでしょ。四谷怪談みたいに。
・事切れる部分の先は出来上がっていたのか?
実は白紙だと、上の疑問は解決するが引っ掛かったまま終わるのが気持ち悪い。
・浅草から本所は方向で南東。
回り道をしたとは言え、川っ縁なら南はあっても西はない。基本の位置関係。
■100年の呪いとかいうと「落語天女」をイメージしますがファンタジー要素はなしね。
■さて一方「ええから加減」。
ネタのセンスがいい。活字で爆笑は望むべくもないが、昭和生まれにはええ塩梅。
喋って喋って喋り疲れない主人公もいい感じ。ま、好き嫌いですが。
仕事で一山あって、プライベートでも波が来て、
それでも乗り越えるストーリーは○でしょ。
■「落語娘」は、いいとこ拾って★★★★−
「ええから加減」はオール読物っぽいとは言え★★★★★
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叔父に連れていかれた寄席がきっかけで、落語一筋に生きてきた香須美。
どれだけ精進しても、女であるがゆえ、ぐうたらで異端の師匠のため、いつまでたっても前座のまま。
女性からみたら相当はがゆく、腹立たしい展開だけど、落語の世界に限らず、どこの社会でも似たような構造だろうと思う。
ただ、落語はどうしても男性の視点で描かれる事が多いから、それを女性が男性よりも上手に表現してしまったら、
そこに才能の差を感じて妬まれてしまうのも分かる気がする。
鬱々した毎日を変化させたのは、香須美の師匠の平左が関わった因縁の落語。
これが本当に恐ろしいの一言。
背筋がぞーっとしてくる。
人間の醜い部分、嫌な感情の全てをあわせたどろどろしたものがまとわりついている感じ。
最後はちょっとあっけなかったし、オチも分かってしまったけど、まぁそれでもめでたし、めでたしでした。
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0809図書館で借りた。
一種の働きマンを見てる感じ。男尊女卑がまかり通ってる中で奮闘する女主人公!みたいな。
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三松家柿紅の落語に憧れて、男社会の落語界に飛び込んだねっからの“落語娘”である香須美。しかし師匠となったのは落語界にとって異端者である、どうしようもない飲んだくれで無精者の三々亭平佐だった――尊敬する柿紅が大がかりな落語プロジェクトを立ち上げる一方で、演じると死ぬという呪われた噺「緋扇長屋」の封印を解く平佐。その噺に立ち向かう平佐の姿を見て、伝統話芸と言われる落語とは一体どういう芸なのか、本当のところを香須美は知る。果たして、噺は無事に演じきることが出来るのか――?
と、あらすじってみる。映画の方を先に見てしまったので筋はわかってたのですが、最初は「緋扇長屋」が出来るところから書かれていてちょっと怖かった。直前にライトな文体が続いていたものなので、これもそんなに重くは書かれてないだろうと思っていましたが結構真面目な文体ですごく好感が持てました。
この前に「落語と私」という米朝師匠の素晴らしい落語論をよんでいたので柿紅の言う伝統話芸としての古典落語だとか芸術だとかにムズムズムズ~ッてした。芸術じゃないとは言わないけど、落語はそんな高尚なもんじゃないし! とかね。だから平佐の方が好きなわけ。読んでて思ったけど志ん生と文楽みたいな感じなんかな。
映画の方が落語ものらしいサゲがあって好きだなー。同時収録の「ええから加減」も女芸人の話で、うるっときました。
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破天荒な落語家とその女弟子のお話。
もともとは他の師匠にあこがれていたのに成り行きで三々亭平左の弟子になったかすみ。
男社会の落語界で様々屈辱を受けつつも落語を愛してやまない。
枠にはまらない言動で落語の世界で冷遇されている平左はいわくつきの噺に取り組もうとする。
本当の落語界ではどうなのかはわからないけれど、すっかり、著者が描く落語界の中に入ってしまいました。
寄席にいってみたくなりました。
オール読物新人賞受賞作の「ええから加減」も併録されていて、そちらもよかったです。