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借りたもの。
精油によるアロマセラピーではなく香水による自己表現のセラピーについての本。
目に見えないが存在し、人の快・不快に直結しやすい匂い/臭い。もちろんこの本は匂いに関する本である。
ページで多く割かれている著者の体験――
自身を抑圧しすぎた結果、心身の健康を崩し、死に瀕しながらも、香りの力によって生きる力が復活し、活力を取り戻すに至る経緯は、香りというものの素晴らしさを伝えんとしている。
心の病は確かに都市に暮らす現代人の慢性的な生活習慣病だと思う。香りはそれを癒す。
人生訓のようなものか。
具体的な調香についての話は無く、香水の種類や香りの構成・分類など、香水の入門についてが書かれている。
しかし香りというものは、体験を伴うもの……
これを機に調香をしてみたいと思うこと、それを促す本。
気になるのは、ゲランの香水"MITSUKO"をクーデンホフ・光子に由来するとしているが、必ずしもそうとは限らない。クロード・ファレールの小説『ラ・バタイユ』に登場するミツコに依るとか……
そういう細かい話。