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[ 内容 ]
古来、特に近代に入ってから、日本と中国との関係について悩み苦しむ両国の知識人たちの姿がありました。
私たちは、そんな彼らが歴史の中で遺したものを放棄して生きるわけにはいきません。
本書では、過去およそ一〇〇年間、彼らが互いの国(及びそこに映し出される自国の姿)に対してどのように悩んできたか、その葛藤のプロセスが綴られています。
そして、私たちが中国という隣国とつきあう際に、そのような「悩み」から絶対に逃れられないことを、日本と中国とのここ一〇〇年の、苛烈でもあり、また疎遠でもあるという、極めて複雑な関係を考えることによって示そうとしています。
日本と中国、この隣り合う国の複雑で苛烈な関係について、毛沢東、北一輝、魯迅、竹内好など、両国の知識人たちは真剣に悩み、考え抜いてきた。
両国の近代史を、彼らの思想を軸にたどる。
[ 目次 ]
序章 日本と中国の近代化
第1章 明治維新と辛亥革命
第2章 反日運動とアジア主義
第3章 十五年戦争の終わりと「終わらない」戦争
第4章 毛沢東の戦争観
第5章 植民地としての台湾
第6章 知識人たちの戦中、そして戦後
第7章 日中台、それぞれの冷戦
終章 日中国交回復で何が「回復」されたのか
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[ 参考となる書評 ]
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2006年刊。①辛亥革命とフランス革命の共通性。君主制打破、外国勢力(仏は欧州王朝ネットワーク、中は満州族)の駆逐。仏革命と明治維新の差は後者が王政復古を果たした点。②清朝期に人口が1億弱から4億まで拡大。辛亥革命前には爆発的人口増加と生産力拡大が進展済。革命の要因は地方における生産力の拡大にあり、成長する地方に対する中央及び列強による干渉を要因とし、地方による自立を意味。③50年代に進展した韓国・台湾・日本の土地改革(農地改革)の目的は、共産主義の農村への波及阻止、共産中国の思想的影響力の排除にあった。
④現代中国と日本との関係は、中国にとっては日本は米欧と代替可能であるが、日本にとって、取引先として中国は代替のきかない相手であり、相互関係は非対称である。…この点、後者は○だが、前者もそうか?検討必要。⑤「反省」という言葉は、中国語では「継続的に続けなければ意味をなさない」ニュアンスがあるとのこと。…公式発言では相手国言語のニュアンス・意味を考慮し選択すべきなのだろう。少なくとも対中に「反省」という言葉を選択したことは適切だったと言いがたい。このような疑問の湧く叙述である。
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東アジアの歴史の思想化・哲学化への試み。日中韓関係だけでなく、著者専門の台湾の視点を挿入する事により、新たな解釈が生まれている印象。新書にも関わらず内容が濃く、かなりの良書だと思うが、記述がやや左寄りなのが難点か。