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この本は、現代社会においてサラリーマンの身の上などに起こりうる様々な病気をテーマにした短編小説だ。
そのいくつかの病名がタイトルにもなっており、眺めるだけでもすごい。
「リストラうつ病」、「帰宅拒否症」、「サプリメント依存」、「いじめうつ病」、「女装癖」などなど・・。
またその他にも「アルコール依存」「頻尿」「蒸発癖」、「虐待」などの患者がストーリーに登場する。
これらの症状を発症したサラリーマンたち。
しかし、彼らのカウンセリングを行なう医師、神山にも実は持病がある。
それは「強迫神経症」。
これは「カギをかけたかどうか」、「ガスの元栓をしめたかどうか」など何回も確認しないと気が済まないという病気だ。
企業でも、最近は心を病んでしまう社員が多いらしく、メンタルヘルスという言葉があちこちで見られるようになった。
仕事量が自分のキャパシティをオーバーする・・。
職責が重くなることによるプレッシャー・・。
パワハラにセクハラ・・。
しかし「会社」というカゴの中から飛び出すことのほうが不安で飛び出せない。
自分の境遇が悪くても、その立場から逃げられない。
「人間はもともといろんなふうに壊れるようにできている」
これが神山の言う印象的なセリフだ。
みんなどこかに無理をしながら、何とか心のバランスを保っているのかもしれない。
そんな読後感が残った小説だった。
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主人公である精神科医も持病があるということが面白い。彼の病気は強迫神経症。鍵の施錠とか、ガスの元栓とか、閉めたかどうか不安になって何回も確かめてしまうっていうやつ。そして彼のもとに、あらゆる病気を抱えた人たちが訪れるわけだけど・・もう、病気っていったい何なのかがわからなくなってくる。そもそも主人公の強迫神経症だって、ちょっとくらいは鍵を本当に閉めたか気になってちょっと家に引き返すくらいは誰にだってあるかもしれないし・・。今は簡単にうちも含め多くの人が「鬱やわー」って言ったりするけれど、そもそもどうなったら鬱なわけ!?女装癖だって、趣味と病気の境界はどこ!?とにかく、いつ自分が病気と診断されてもおかしくない、病気だと診断されても「人間はもともといろんなふうに壊れるようにできているんだ」と思って、自分を嫌いにならずに生きていきたい。読後感も爽やかで、癒される小説だった。
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ブックオフで百五円で購入しました。
≪強迫観念≫を持つ精神科の医師と訪れる心を病んだ人たちが回復していくまでをリズミカルに描いた作品でした。
≪イン・ザ・プール≫を思い出しました。まぁあれは適当な精神科医がコメディタッチで描かれていてまた違った味を出していましたが。
現代病と言われる鬱病や職場でのいじめ(パワーハラスメント)、出社拒否、帰宅拒否、アルコール依存……。
出てくる人々はほとんどが会社員、年齢はバラバラ。
何故こうなってしまったのか、と悩みながら3001に通う人々との悩み相談。
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悩みを抱えた患者さんと向き合いつつ、
自分の悩みも向き合わなければならない。
まさに好きな題材でもあるけれども、
親身に寄り添った一貫性にとても惹かれる。
人間誰しも異常なのだ。それを肯定してくれる。
「本当の自分の気持ちに気づく。何でもそこから始まるんですよ」