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新宿鮫シリーズが、刑事ものというよりも段々人情捕り物帳に似てきたのではないかと感じてしまう。
過去の出演者がまた出てくるところなど、ネタが尽きてきたのか。
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新宿鮫(1)から出てくる真壁との決着ということで期待して読んだが、期待ハズレだった。
とにかく前半に新宿の土地関連の冗長表現が多くて物語に入りづらいのと、雪絵の母親の物語と本編の関わり方が強引過ぎて、「え?え?」となってしまう。
そして何より真壁のキャラがカッコよくなくて残念だった。
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んー、これは傑作ですね。。
新宿鮫シリーズ読み始めてから、回を重ねるごとに
これはシリーズ最高傑作なんじゃないかと思うのだけど、
その後の作品を読むたびにそれが塗り替えられていく。
解説で、今回は原点回帰がテーマだと書かれているけど、半分同意で、
今回は宮本の遺書や公安絡みの話、
つまるところ今の鮫島を形成した外部的要因の話は出ず
今の一警察官としての鮫島の立ち位置を改めて内面から見つめ直すことで
原点に立ち戻るとともに今後の鮫島のあり方を
指し示す作品になっているように思う。
そのために、過去警察官として生き、
鮫島とは異なる考えで人生を生きてきた大江という人物が配されている。
ここのところグダグダ気味だった晶との関係に決着がついて、
スターになった晶と刑事である鮫島がどういう関係で
今後付き合って行くのが示されたことも大きかったように思う。
場面的にはすごく短かったけど。
真壁と雪絵の物語のようにも見えるけど、
今回はすごく鮫島の物語だなあと感じた。
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新宿鮫Ⅷ
殺人傷害事件で服役していた藤野組組員・真壁が出所した。だが、真壁が殺そうとした男は、藤野組と組む中国人組織のボスになっていた。一方、高級車窃盗団を追う鮫島は、孤独な老人・大江と知り合う。大江に秘密の匂いを嗅いだ鮫島は、潜入した古家で意外な発見をした―。過去に縛られた様々な思いが、街を流れる時の中で交錯する。心に沁みるシリーズ第8弾。
真壁を紹介するが、母にヤクザだとばれる。母が堅気に戻るように自分がかつて人を殺したことを告白。女を喰い物にするヤクザを撃った。拳銃は居酒屋に飲みにくる刑事に薬のまぜ眠らして盗んだ。賭場で撃ち殺したが死体が発見されない。誰かが死体を隠してくれた。拳銃を盗まれた刑事が処理。
刑事は懲戒免職。それが大江。大江は死体を隠した井戸を見張る為、
駐車場で働く。拳銃は返してもらう。銃弾は海に捨てた。拳銃は埋めた。
最後に鮫島に場所を教える。
高級自動車の窃盗団を追う鮫島。監視カメラをかいくぐる。ナンバーを交換する工場を探す。大江を知り合う。窃盗団がわ?知り合いになり、刑事であることを明かす。大江も元刑事だとわかる。
ガレージの中に気配。鮫島が忍びこむ。井戸の中に死体を発見。
ミイラ化している。ガレージから塗料を盗んだ男から情報を聞き出す。
窃盗団は盗むのが中国人。車を換金するのがヤクザ。真壁の弟分のシノギ。弟分は真壁が殺した中国人達を使っていた。弟分が薬中とトラぶり殺される。出所したばかりの真壁が担当することに。病院で真壁と刺された中国人が遭遇。真壁を殺す計画。鮫島が真壁と連絡をとる。
中国人の罠に自らはまる真壁。早く殺せ!じわじわ殺したい中国人。
鮫島が飛び込み、撃ち合う。鮫島も撃たれるが防弾チョッキが救う。
血だらけの真壁だが命の危険はなし。女と母が偶然通りかかる。
母と大江も見つめ合う。
真壁の組は壊滅的打撃を受ける。堅気になれる真壁。
女の店の客にロベルトが来る。女が相談すると鮫島に相談するといい。
窃盗団はロベルトとは関係なし。やくざとはからまない。
昌は行きつけの飲み屋でたまたま遭遇。
盗まれた拳銃が使われていた。それが発覚すると上層部もクビ。
大江はそれを隠した。
新宿中央公園あたりは池だった。古い家には井戸がある。
真壁は1作目に登場。シャブをめぐって中国人を殺し、その後、自首。
中国人は帰国するも、また日本に戻る。儲かったら家を買い、外国人労働者に貸した。真壁は死んだと聞いていた。
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大満足!過去のいろんな事件の概要が出て来たり、仙田や真壁などの重要な脇役の登場、鮫島の警察官としてのあり方や、新宿の歴史的な発展まで書かれていて、シリーズも8作目ということである意味「まとめ」的な感がある作品。そして8作目となっても面白さが衰えないところがスゴい。
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新宿鮫シリーズ8作目。
久々に真壁が登場。大江さんも良いキャラだと思います。
深見さんもね。
ストーリー自体も点と点を結ぶような筋立てだったので
先が気になってどんどん読み進められました。
でもなぁ、ちょびっとだけ新宿の歴史が細かすぎる気がした。
綿密なのが大沢作品の良さではあるんですが・・・
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かもろかった!(このハードボイルド、かっこいい人々が出てきて、おもしろかったよ)
特に
「どんな女でもかまわない、知りたいとも思わない。大事なのは、お前の今までじゃなくて、俺たちのこれからだ」てとこ。
かっこよすぎるやろ、馬鹿野郎。
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このシリーズでは初めてのハッピーエンドじゃない?
読み終わって意外だと思いながらもよかったね、と鮫島や渦中の登場人物たちに同調した。大沢在昌のもっていきかたはやっぱり巧い! 安っぽさがないんだよな。
あらすじ;
高級車の窃盗・転売のルートを探っている鮫島は、意外な人物と偶然出会う。殺人罪で服役していた出所した手の真壁だ。どこか欲求不満を感じているような彼を意識しつつ、鮫島はナンバープレート等を交換する洗い場の検討を付け、駐車場の見張り役をしている大江老人と出会う。大江老人には何か秘密がある――。捜査を続けるうちに、窃盗集団と真壁、大江の過去の因縁に迫ることとなった。
一方真壁は服役前から付き合っている雪絵と同棲している。刑務所に入ったからにはしばらくは派手なシノギから離れざるを得ない。それについては文句はないが、新しい彼のボスが何かを隠しているようで気に入らない。探り当てた事実は真壁の哲学には合わないもので――。また雪絵との関係も真壁の生き方に影響を与え足を洗うか迷ってもいた。しかし彼の過去が静かな暮らしを許さない――。
一つ一つが独立して進むのに、接点ができて、そしてぎゅっと一点に凝縮され大きな流れをつくっていく。これが大沢在昌だ! もうね、この人は本当に「巧い」! 緻密で複雑なエピソードを絡ませて、ラストに爆発させる。それまでの静かなくすぶりや、心理描写がたまらない。
新宿の歴史まで関わってくるんだから。大江との会話に出てくる昔の町割りや愚連隊のエピソードはそれだけで興味深い。それがしっかりと事件に絡み合っていく。
また大江。中国人マフィア・王との関係は壮絶だ。そもそも大江は王のボスを殺害した罪で(王自身の喉を掻っ捌き王はこの時以来声を失うという傷害事件も同時に起こしている※「新宿鮫」参照)、服役したのだ。にもかかわらず、上は真壁には秘密で同じ中国人グループと取引をしていたのだ。相手もそんな因縁があるとは気付いていないが(もちろん真壁に恨みを持っている)、もしバレたら大変っていうのはわたしみたいなカタギでも解るぞ。さらに真壁と鮫島がばったり会ってしまった場所が、また「鮫島が来るからには何かヤバいことをしている」と蚊帳の外の真壁を不安にさせる、この自然な流れ。
作者の深い理解があるからこそ、一般市民からしたら縁遠いヤクザの世界に現実味と重みが伝わる。それが知識の自慢なんてもんじゃなくて、話にしっかりと食い込んで面白味になってる。
雪絵と真壁の悲しい関係。このままだと幸せになれないけれど、足を洗ってなんて言えない――。切ないね。真壁がどうしようもない人間ではないからこそ、芯を持ちストイックで魅力的な人間だからこそ、雪絵の感じるもの悲しさが真に迫ってくる。そして雪絵の母親が魅せる。彼女の言葉の一つ一つがこんな道を選んでしまっている雪絵以外にも向けられている気になる。母が我が子に願うことだ。
彼女がいたからこその真壁の決断だろう。
きっと苦労するだろうが、大丈夫だ、と思えるのは、この小説でしっかりと彼らの人間としての部分が描かれているからだ。
鮫島の地道な捜査の面白さよりも、過去を含めて複雑に絡み合う関係が今回の見どころか。
うん、やっぱり「新宿鮫」はイイ。
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今までのシリーズの中で一番、鮫島の恋愛描写が少なかった作品。そのかわりにプラトニックの愛がテーマとなっているように思える。
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『地上から犯罪は消えてなくならない。人間の心の中に、人より楽をしたい、簡単に贅沢を手に入れたい、という願望がある限り、犯罪は根絶されないし、また人間がそういう願望をもたなくなる社会というのも、ある種歪だと、鮫島は思っている。
人が人として欲をもつ限り、それは向上心にも犯罪にもつながりうる。
ならば大切なのは、法をおかせば罰せられる、という平等を、徹していくことしかない。あっちはつかまるけど、こっちはつかまらない、という事態は、決してあってはならないのだ。
それは「理想」である。「理想」を奪う、さまざまな障害が、警察組織内には存在する。結果、タブーに屈し、「理想」を失う、あるいは忘れたふりをする警察官がどれほど多いことか。』
8作目。あらゆる矛盾と葛藤しながら、法をおかさず正義を貫くその定言命法に従う孤独な姿はカッコ良すぎる。本作も素晴らしい!
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派手さはないのだけど、読み終わったあとなんか暖かい気持ちになってしまった。
それぞれの過去が現在で一つになっているのだけど、
それぞれの心の動きがなんか、頭の中で映像のように想像してしまった。
すきな系統なんだろうな。(自分の中で)
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現実にはありえない偶然の重なり。
でもこれを言ったら殆どの小説にケチをつけることになるんだろうな。
そういうのを抜きにして、楽しめた。ハッピーエンドはやっぱりいいね。これまでの作品がハッピーエンドじゃなかったから余計にそれが際立つ。
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鮫島の 警察官としてのポリシーが
理解できてきた。
人情ぽくなく 人間ぽい ところに
信頼感が あるのだろう。
上からの圧力や組織のトップからの評価が低くても
自分のすべきことは何かという 自立的な姿勢が
際立っている。
高級車を窃盗する集団の洗い場を
探す中で、ヤクザ 藤野組とのつながり
そして、真壁という男の因縁。
真壁を大切に思う 雪絵。その母親。
命のやり取り というのが 一人の人間を支える。
大江なる独特の生き方をしている。
その中には、複雑な思いがあるはずだが、
拳銃を奪われた警官という負い目が 一生を支える。
鮫島の周りにいる人たちは
一筋縄では いかないが それぞれ 意地を持っている。
その意地が 自分を支えている。
新宿に 井戸があり、その歴史が深く考察されていることに
新宿が 生きている街だと痛感させる。
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新宿鮫シリーズ8。
前作の舞台であった鹿児島から新宿に戻ってきました。
自動車窃盗事件を追う中で40年以上も前の事件を掘り起こしてしまった鮫島は、やがて街と人の歴史を垣間見る事となります。
シリーズの舞台である「新宿」という街を改めて見つめ直す1冊ですが、新宿の歴史と人々の人生を豊熟した雰囲気で描いており、これまでのアクション満載の展開とは一線を画します。
派手で享楽的な街である新宿にも、積み重ねてきた悠久の歴史があるのだと思うと感慨深いものがありました。
この街に根を降ろした人々の長きに渡る営みが見える過去の事件と、出稼ぎにきただけの刹那的にこの街で生きる中国人犯罪集団が絡む自動車窃盗事件という、対照的な人々が行き交う物語の展開も雑多なこの街に相応しいものだったと思います。
鮫島に因縁のある一人であった暴力団構成員の真壁が、ヤクザから足を洗って彼を支え続けた雪絵と人生を共にしようと奔走します。しかし、そう簡単に事が運ぶはずがなく、二人の幸せな未来が示唆されるほど危機感が募って緊張しっぱなしでした。
雪絵の期待と不安に揺れる女心や、母との微妙な距離感の描写もとても良い。
この作品はシリーズを重ねてきたからこそ出せる雰囲気ではないかと思います。
雪絵の客である謎の男の、物語への絡み方もかっこよかったです。
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この間読んだ「氷舞」が第6弾だったのに、8弾ですと?
あちゃー。またやっちまったな。
と思ったものの一応調べてみましたら、執筆順では第7弾。時系列順では第8弾ということだそうで、あながち間違いというわけでもない。
だから鮫島と晶の仲はちっとも進展してなくて、それはそれでモヤモヤなんだけど・・・。
1巻の最後で、瀕死の重症を負いながらも鮫島を名指しで自首した真壁が、出所。
体はすっかり弱り、街も、組の体質もすっかり変わってしまったことに戸惑いを隠せない。
鮫島は高級車ばかりを狙う窃盗団を追う。
そこで知り合った駐車場の老管理人、大江に自分と同じ臭いを感じる鮫島。
鮫島が追う事件が徐々に真壁に近づくと共に、大江の過去も少しずつ現れてきて・・・。
どきどきしました。
組で真壁の面倒を見ている矢崎は、かつて真壁がそのボスと声を失わせた中国人組織の頭領・王と組んでいる。
真壁が死んだものと思っている王が真壁が生きていることを知ったら、絶対に復讐するに決まっている。
だけど、登場したときから一本筋の通った男だった真壁は、今、愛する女性と自分の信念との間で、今後の人生を考え始めていて、要は、いい男なのよ。
絶対王に見つかるな、と念じていたけど、見つからないわけがなくて。
そして今回の影の主役は、新宿そのもの。
江戸時代の内藤新宿から始まって、戦後の混乱気、高度成長期、バブル。
ここにきて初めて鮫島も新宿という街の歴史を勉強する。
大江との出会いがそのきっかけ。
大江が隠す彼の過去が、意外な人物に繋がっていることがわかり、こちらもどきどき。
生きていくことが今よりももっと難しかった時代、生きるためにした選択がずっと重荷になっているって辛い。
今回もロベルト・村上がちょっと出演。
「新宿書の鮫島刑事に相談しなさい」
彼は国際的な犯罪者のはずだけど、鮫島の一番の理解者だよね。
今回は読後感もとてもよい。
原点回帰のような作品。