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世界の富の四分の一以上を収めながら,三千百万人が飢え,無保険の人が四千五百万人を超え,二億三千万丁の銃が氾濫しているアメリカの現状を報告した一冊である。日本は現在アメリカのような社会に着実に向かっていると思うと,大変非情さを感じる。しかし,最後のキム・ロザリオの「私たちが進みつづける理由」に勇気付けられ,希望が持てた。
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若い書き手のういういしいリポート。本格のルポと新鮮な感受性の両立が驚異。米国での経済格差やワーキング・プア状況は今に始まったことじゃないが、その実際をよく書いてる。貧困層にねらいをしぼる軍の組織的リクルート、使い捨てられる若者、かつては弱者支援のためだった電子投票についての疑惑、米国の都市以外での報道や情報の流れの実態などなど、知っておきたいことが多い。
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こういう読み物を読めるのは一種の幸せだと思う。筆者は自分の足で人に会い、ともに行動し、見聞きしたことを文章にしている。それだけでなくこの本はたしかに、書ききっている、という感じがする。
アメリカはもうだめだ、というジャーナリストも多い中、彼女は社会の弱者の中に希望を見出している。
実際自分より年下の人達の行動で世が変わった例も書いてあって刺激的だった。
文体も軽やかで単純に読み物としても面白い。
アメリカの、これほどまでに病んでいるのかという暗部と、それに対抗する希望の両面が感じられた作品でした。
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ブッシュを選んだことでアメリカは大きな代償を払うことになった。今年の選挙でどうなるのでしょうね。よその国のことながら、日本はそれに翻弄され続けることになるのよね。
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人間の想像力には限界があると思います
例えば失恋した人や生活が苦しい人の気持ちに「同情」できるのか
戦争はいけないと言うけれど、そのうちの何人が本気でそうだと言えるのか
アメリカで行われている不条理な選挙制度や軍のリクルートについてかなり潜り込んで書かれたものですが、大学の学費を支給してもらうために軍に入隊し、残酷な映像を頭を拘束されて見せられ殺人マシーンになる教育を受けさせられる若者の話などが載っています
大学にも行けず、生活の為と渡った戦地で人に銃を向け爆死した子供の千切れた手足を目に焼き付けて、心をぼろぼろにして帰ってきます
他方アメリカは大学に行けない若者の大半に支援することが可能な額の費用を戦争につぎ込んでいるのです
彼らは入隊した当初を思い出し口を揃えて「戦争なんてどこか遠い国の話だと思っていた」と語るそうです
私たちも、TVや新聞に蔓延る、消えることの無い「戦争」の文字を、そのように捉えてきたのではないか
私はそうでした
アメリカとビルマ 何が違う?と考えてみれば、文化や地理的なものを排除すればそこには先進国と途上国という大きな違いを挙げるでしょう
しかしどちらの国にも綿密に構築された「大義名分の皮を被った」「都合の良い」「不条理を巧妙に覆い隠す」システムに絡めとられ利用される弱者が多数存在するのです
改めて人が幸せなのかどうか、というのは国の経済状況や戦争の攻撃を受けている方・している方に限られるものではないのだと思い知りました
本では実際に体験した若者へのインタビューなどから、生々しいメッセージが伝わってきます
結局は人間の想像を超えるアイデアというのは、当事者やそれに気付いた人から発信されるものになるのだと思います
私たちはそのメッセージを、どんなに小さいものでも確実に感じ取っていかなければ、いずれ大きな間違いや取り返しのつかない過ちに出会うだろうと思います
(自ブログより転載)
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アメリカという国の実態を少し垣間見ることができた。
もはや、何が真実で何が真実でないのか、わからない。
報道は信用ができない。
自分の目で確かめたものだけが信用に値する、
そんな社会だと感じる。悲しいことだけど。
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あのぅ、別に堤未果さんを推しているわけではないのです。
単に現在の資本主義と言われているこの世の中に、疑問があるだけなのです。
なぁんて、ちょっとでも思ってる人、是非一度読んでみてください。
最近「のしてきた中国」に対して「資本主義と民主主義はセットだ!」などと、先進国と言われる国たちは言っていますが、なんか違うような気がします。
お互い同じ目的、つまり、究極の搾取国家、いや、究極の搾取世界を作りたいだけなんだろうなぁ、と思います。
だって、解りやすい例では、民主党がそのまんまでしょう?
ぼくは間違っても「自分だけ」という人間にはなりたくないです。はい。
http://uchidashin1.blog117.fc2.com/blog-entry-10.html
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アメリカは自由と希望の国と言われるが、堤さんの著書を読むと信じられないような現在のアメリカがあぶり出されてくる。
貧困とそれを抜け出すために必死で努力している若者たちが、どんどん戦場へ送り込まれ、約束されたと信じていた事がほとんど嘘で固められていた事を、生きて返ってきて初めて知り、そして挫折していく。
一握りの裕福層と大多数の貧困層というアメリカ・・・
ただ救いなのは、その底辺にいる人たちが下を向いているだけではないという事。インターネットという手段は、そういう人たちを繋ぎそして立ち向かう力を与えている。
圧倒的に多いのは底辺の人たちだ、その人たちが下を向くだけでなく、上を向き声をあげ始めたら新しい出発がはじまる。世の中あきらめていてはいけないと著書の中の若者たちは頑張っている。
日本だってこのままではいいはずがない、声をあげないと。
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アメリカ行くってことで最近ぽちぽちアメリカ本読んでるんだけど、最近のアメリカはだめだけど弱者や負け犬はまだまだやれるって本ばっかり。
ジャーナリストがそういうのが好きなのか、それがいまのアメリカの現実なのか。
わたしが行く先はいなかだから、保守的なのかなぁ?gleeも保守的だもんね
最近読んでるのはみんな2000年代以降の本なんだけど、過去のアメリカと思っていたものがまだまだあるようでこわい
わたしはどんなアメリカをみるのだろう
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(2006/8/27)
ようやくアメリカでもブッシュ政権の支持率が慢性的に低下するようになって,「いまさらかよっ」と,多くの日本人は思っている昨今, 皆様いかがお過ごしでしょうか.
母のの親友が発売モトの海鳴社の関係者でもございまして,そんなこんなで母からわたってまいりました.
著者,堤未果さんは9.11のときにニューヨークの例のビルに入っていた野村證券で働いてはった,現在ジャーナリスト.
アメリカのブッシュ政権の危なさは,映画(あー,名前が思い出せない・・・)などで警鐘が鳴らされまくっているので,もう日本人にとっては言わずもがななんですが,本書の魅力は,そういう状況を評論家的に俯瞰的な視点で書くのではなく,実際に著者が単身乗り込み,アメリカの電子投票システムの問題に抗議し,ハンストを行う男性に同行しながら,アメリカの警察の横暴や,福音派のカトリック信者の盲目さなど,つぶさに正面から体験しそれを書いていくという・・・.
評論ではなく随筆,ノンフィクションである点が胸を打ちました.
さらにそれ以外にも,軍が貧困層の若者達を勧誘して入隊させるリクルート活動や,イラクからの撤退のデモにも直撃.カナリ,ナマな声が聞こえてきます.
イラク派兵された青年達の,インタヴューなど,ホントにリアルです.
「お父さん,もうこんなことはやめなくちゃいけない.
この国は,星条旗を振りながら,僕みたいな人間をふやしつづけているんだよ.
ターバンの男達は死んだけど,僕も死んだ.
イラクでは,きれいな土地も,文化も,家族のきずなも,みんな,みんな僕達が根こそぎ壊した.
あそこには,父さんの言っていた,心から誇れるものなんて何も無いよ.・・・(以下略)」
(本文中p.225より抜粋)
アメリカは民主主義×資本主義が行き着いた格差社会.
ブッシュ政権の下,軍国主義的な匂いもカナリ強いものとなってるみたい.
アメリカ国民の自己破産のほとんどが今や,医療費の支払い若しくは離婚費用というのには驚かされました.
格差社会といえば,後から書くだろう中国の方が一枚上手ですが,日本が向かい得る格差社会のカタチとしてはアメリカの方に近いので考えさせられました.
自民党総裁選においても,靖国論,改憲論など,争点になっていますが,僕らもがんばってTVキャスターと新聞紙の向こう側を読み解いて,自分自身の宗教観,戦争観,経済と政治の繋がりについての見方,ナドを形成するところから始めないといけないのかもしれません.
ITの世界はアメリカが先頭を走って,日本も技術・ビジネスでキャッチアップしようみたいな,世界に日ごろ身を浸しておりますが,それとパラレルにこんな泥臭いというかウェットなっつーか,リアル,アクチュアルでシビアな事が起こっているのですね.
戦争&アメリカの貧困層なんてホントのところリアリティ無いし,IT業界の動向とかの方がどうしても僕にとってはリアルに思えてし���うけど,
経済の構造的にはITの方が寧ろ虚に近く,労働者の貧困問題などのほうが実に近いわけで,自分自身が何かホントの世の中に対してギャップを
持っているのかもしれない,と不安になったりしてしまったりしてしまいました.
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大統領選の不正から始まり、米軍に切り捨てられる善良だが貧しい若者、戦争の真実に気が付き反戦活動を行う遺族らを通して、アメリカの途方もなく巨大化した闇が見えて来る。
戦争はいけない。
子供でもわかるこの事実が国を代表する大人たちにより、巨大なビジネスとして、自国のエゴを満たす道具として、無能な外交の代替として利用され続けている。
少し前の作品ではあるが、現状は同じ。
ぜひ読んでみて欲しい。