紙の本
なんて事ない話なんだろう・・・けれど。
2008/01/08 12:47
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:豆丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は田舎の中学校。
主人公の男の子はシン君。女の子は綾子ちゃん。
シンはミュージシャンを目指していて、綾子はひっそりと漫画家を目指してる。
冒頭部分でシンが文化祭直前になってバンド抜ける言った友人に「クソ田舎で一生埋もれて暮らせ!」って怒鳴る場面が痛かった。
きっとこの言葉は、誰しも若い頃耳にしたり、感じ取ったりして刺さった言葉だと思う。
そんな言葉が臆面も無く書かれていて、目に入れてしまった日はもう、若い頃を思い出して、苦酸っぱい思いに駆られます。
一方、綾子はそんなシン君に憧れる女の子。
目立たなくて、普通でちょっとオタク気味な彼女は、シン君がいつか飛んでいける人間だと信じてる。文化祭前にバンドを解散してしまった時には「ひとりでやればいい」「通学路でうたってんのに、もったいない」とガッツリ応援します。その辺りの描写が男の子視点、女の子視点使い分けられていて、とても上手い。
どちらも、何気ない会話に見せかけて、心中ではドキドキバクバクしているのが伝わって、読んでて思わず応援してしまいます。
そんな二人、結局付き合うことは無く、恋心も未確認のままある約束をして別れてしまいます。
綾子は自分の描いた漫画を持って
シンはギター背負って『綾子に捧ぐ歌』を持って
――十年後の今日、三月十四日ここで会おう と。
そこから、物語は九年と十ヶ月飛びます。
綾子は漫画を描きながら、音楽雑誌をチェックする。あの頃と殆ど変われないまま……。
シンは……地元の会社就職して、近所で働く看護師さんの恋人とお付き合いしています。「クソ田舎で一生埋もれて暮らせ!」と言う言葉を約束の日が近づく度に意識するシン。もう一度ギターを握る場面は心にグッときます。
綾子も変われないままの九年と十ヶ月を埋めるような、ささやかで劇的な変化を迎えます。
また、脇役だと思っていたシンの恋人も最後にある台詞を言います。これが物語り全体を引き締めて、尚且つ『二人の物語』に留まらない物にしています。こういうところ、とても素敵だと思いました。
きっと、よくある話。それがとても心地よいそんな小説でした。
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ジャケ読みなんスけども。トレイントレイン〜♪◎%なんか読んでてちょい、だるくなったけど、音楽の話も入ってて私としてはおもしろかった。パフェの、チョコレートの海にスプーンを沈めた、とか、食べ物のこと表現するんがうまいなあと思いました。
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北国の田舎の中学生アヤとシンはお互いに好意を持っていたが、卒業式の日10年後の再会を約束して別れてしまう。ミュージシャンになる夢を持っていたシンは地元の高校を卒業後就職、奈月という恋人もできた。アヤは夢を叶えて漫画家になったがまだシンへの思いを引きずっていた。約束の日まであと2ヶ月、2人の気持ちは揺れ動く。大人になる過程でぶちあたる現実と理想のギャップ、いつか何者かになれると信じつつ、結局たいした者にならない人生を送ると予測がついてしまってからの焦りと絶望。平凡で地味で目立たないけど、心にでっかい野心抱えてる(でも、そんな自分を疑ってもいる)っていうキャラを書かせるとこの作者さんはほんとにうまい。醜くて目隠ししたいような部分もグイグイ抉ってくるけど、文章がきれいだからどぎつくないしいい。自分から悟って夢を追いかけもしなかったのにアヤが漫画家になったと知ってジタバタするシンの勝手さもわかるし、漫画家になりシンに認めてもらうという夢を追い続けたけど、夢だけでは生きられないというアヤの弱気な部分もよくわかる。設定から予想されるようなベタな恋愛ものではないので、むしろ人生について真剣に悩んでいる若い人に超オススメ。
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すっっっごく面白かった☆とても良いお話だったと思う。引き込まれて、めちゃめちゃ楽しかったです。この著者の他の作品も是非読んでみたいなぁっと思わせてくれる本でした。オススメですv
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"10年後また此処で会おう。"そういって別れた2人の中学3年生の女の子と男の子の話です。ベタな恋愛ものでなくて良かった!(苦手なので・・) そういくか!の連続で、2人にすごく共感しました。(自分はそんな経験ないんだけど・笑) いまの年齢で読んで良かったと思います。
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読んでてずっと切なかった。もし二人に10年後の約束がなかったら果たしてどうなっていたのだろうとか要らないことを考えてしまった。アヤコがシンのことを憧れという存在に気付いた時、なんだか寂しくなった。二人は再会したのだけど、実際会ってみたら意外と穏やかで、実際でもこういうものかなと思った。やっぱり人間は何年経とうと根本的には変わらないかもしれない。
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マイミクのお湯割りさんの日記を見て読ませていただきました。
中学のクラスメイト、シンとアヤの10年間のストーリー。
クラスでも目立たない2人が『10年後ここで会おう』と約束をし、その後別々の環境で過ごしていく中での<変わらない気持ち、変わっていく気持ち>を描いています。
ほんとに女性らしい文章で柔らかく読みやすいです。
恋愛小説というのともちょっと違う気がするし、青春小説なのかな〜。
夢をかなえる人と、あきらめる人。
想いの強さの違いなんでしょうね。
疲れた日常を癒してくれるような1冊でした。
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【2人をつなぐものは…約束。中学校の卒業式で、10年後の再会を約束したシンとアヤコ。夢をかなえるため、シンは地元に残りアヤコは東京に向かう。それぞれの日常の中で、時間も距離も離れた2人の心は、揺れていた】
シンとアヤコの2人の視点から話が構成されていたので、
2人の気持ちが分かりやすくて良かった。
約束の日はどうなる!?とちょっと心配になったりも。。
共感する部分も多かったと思います。
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この本の季節が、現実の今とダブって、かなり気持ちが入り込んでしまった。10年後の約束なんて、実際にはありえないだろうけど、シンとアヤは約束の場所で会った。シンの夢はかなってはいなかったけれど、気持ちの整理を付ける事ができて良かったのだろう。時期的なものもあって、胸がぎゅっとしめつけられて、切なくなってしまった。きっと、誰もが、人生の中で経験していく事なのだと思う。あと、余計なおせっかいではあるが、アヤはホントに伊知地さんで良かったのか?ムクムクで、ハム系で、ほっべが桃みたいにピンクで、黒ブチ眼鏡って、、。いやあ、もう少し、普通の人でも良かったのでは?と思うのは私だけでしょうか。
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漫画家志望のアヤコとミュージシャン志望のシンは中学の卒業式にある約束をする。 「十年後の今日、三月十四日、ここっ」 十年後、夢を叶えてまたこの場所でふたりで会う約束を交わす。
もうこの流れにドキドキしました。「十年後にまた」とそれぞれの道を歩き始める二人。
その十年の間、お互い約束を忘れることなく生きてきたなんて、すごく素敵だ。
実際、夢を叶えられる人はほんの僅かかもしれないけれど、夢を諦めることは負けじゃないよね。
甘酸っぱく、少し切ない青春(恋愛)小説でした。
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微妙な距離感がせつない。
「このまま時間が止まればいいのに」って、
恋する女の子なら誰でも願う。
「誰にも言わないのは、正しくないことだと考えているから」
も切ない。
正しくないことなんて、ないはずなのに。
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こうして私達は、10年という時間を越えて、大人になるんだろう。10年前に比べて、全然大人になりきれてない自分と。やっぱり10年という月日が創り上げた、掴みようのない時間と思い出がある。この本は結果より過程だ。
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少女漫画みたいな、まぎれもない青春小説。シンの替わらない日常に焦る気持ちもアヤコの平凡な幸せを求める気持ちも同じように胸を突く。25歳ってまだまだこれからで、だけどたぶん渦中にいるときは気づかない。そしてそれはいくつになっても同じことなんだろうと思う。そうやって年を重ねていくのだと思うと、人間って愛おしいなあと思う。
2007/6/30読了
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少女マンガ的っちゃあ少女マンガなのだけど、好きだ。
というかこの作家さんの書く本は、結構通じるものがある。
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2007.08. ラブ!いや、恋愛が主題ではないんだけど。。。最近読む本の中では、この豊島さんの登場人物(特に女の子)にものすごくものすごく共感できて、困ってしまうほどだ。不器用で、自分のペースで生きてるように見えて実はそうでもなくて、昔の思い出を大事にしてる・・・。こういう子、好き。友達になりたい。恋人に・・・ってなったら、微妙だけど。伊地知くん、いいぞー!私は大好きだぞー!その妙な敬語に胸がキュンキュンした。