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系統樹思考の世界 /三中信宏分野枠を越えた分類という営みについて 。従来のスタティクな分類ではなく多次元ネットワークとして、演繹や帰納の「真偽」 ではないデータと対立仮説との比較という認知心理学的手法(アブダクション)を使った進化する「最良の仮説」系統樹思考の概要。多様な対象物に関する鳥瞰図を与えると同時に、相互比較のための足場を組み立て、そのような多様性が生じた因果に関する推論を可能にし、対象物に関する様々な知覚体系化と整理を目論む。
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系統樹の性質を明らかにするのではなく、関連性のあるモノゴトを調べている学問の紹介と、ネットワーク(理論)の解説。
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帰納でも演繹でもなく、データからもっともよい理論を推測するアブダクションという説明がとてもわかりやすく、歴史は科学かという問題も興味深かった。
ただ、若干内容が散漫になってしまったのが残念。
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系統図を作るとどこでとめればいいのか迷うときがあり、この本を読んでみました。
思考法を丁寧に書かれていますので、ちょっとしたことに使うには十分なないようです。
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境界知のダイナミズムで瀬名さんが紹介していたことがきっかけで読んだ本。系統樹思考は,ものごとが変化していくすがたとそのダイナミクスをとらえるための技術として,これから重要になってくるだろうなと感じた。
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読む前: 『分類思考の世界』第4章にでてきたabductionの参考文献に挙げられていたので読んでみたい。
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2010 5/19読了。ACADEMIAで購入。
生物学についての紹介書かと思って読み始めたら、その名の通り思考法としての『系統樹思考』についての本であった。
なんとなく気になっていたがよくわからずにいたアブダクションについての説明もあり、自分の分野に比較的近い科学哲学についての言及もありと、思ったよりもずっと身近なテーマについて書かれていた。
『分類思考の世界』も買ってきたのでそちらも後で読む。
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[ 内容 ]
科学としての歴史の復権!
失われた過去をいかに復元するか?
系統樹はことばです――
新しい「ことば」を身に付けることはいつでもわくわくするものです。
これまで読み書きできなかった系統樹という「図形言語」が使えるようになれば、自分の視野が広がるから。
[ 目次 ]
プロローグ 祖先からのイコン―躍動する「生命の樹」
第1章 「歴史」としての系統樹―科学の対象としての歴史の復権
第2章 「言葉」としての系統樹―もの言うグラフ、唄うネットワーク インテルメッツォ 系統樹をめぐるエピソード二題
第3章 「推論」としての系統樹―推定・比較・検証
第4章 系統樹の根は広がり続ける エピローグ 万物は系統のもとに―クオ・ヴァディス?
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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文章がわかりやすい。かなり好きなボキャブラリー。静的な分類とは"本質的に"異なる、時間依存性を内包する思考方法。
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歴史は科学なのかという問いから始まります。繰り返し実験が可能な物理学などの自然科学と比較すると、歴史を科学とみなすことはそう簡単ではありません。本書は系譜を探求する(アブダクションする)ことをもって科学的な主張であるとみなそうと哲学的な立場に立っています。そういった立場を認めることで古生物学や進化学も科学となるということでしょう。このような考え方は決して新しいわけでなく様々な分野で普遍的に用いられてきたことを著者は指摘し、これを分類思考に対して系統樹思考と呼んでいます。
著者が面白いと思っていることと私が面白そうだと思うことに多少ズレがあるようで、どうも楽しく読めませんでした。図が不鮮明なのもちょっと。
文献リストはなかなかよさそうです。まあまあ毒舌。
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全般的に言って進化生物学の本だが、「系統樹」という発想は、生物進化に限らず、言語や写本の歴史などと関わり、決して生物学だけのツールではないと指摘している。第一章は進化=歴史が科学になり得るのかという問題を設定し、演繹・帰納だけでなくアブダクション(妥当な説明の推定)も科学の方法なのだと主張し、物理学などをタイプを扱う科学、進化論をトークンを扱う科学とする。第二章は系統樹の歴史をふり返り、ルルスなど中世の学問分類やヒューエルの古因学、現代の「系統樹革命」に及ぶ。三章・四章が系統樹の書き方である。基本的には点・辺・根を想定し、合流不能とするのが系統樹である。つまりネットワークの特殊例だ。系統樹が妥当がどうかは、分岐を起こす変化の回数が最小になるかどうかで判断するが、可能な系統樹は点の数に応じて奇数をかけていくように増えるので、総当たりで判断するのは不可能。初期値をあたえて探索的にさがす。1970年代にネルソンとプラトニックが系統樹の数学理論をつくった。早田文蔵の「動的分類」や中尾佐助の業績、ネットワークジャングルやスーパーツリーについても触れている。
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博物的で教養のある文章なのだろう。でも、内容があんまりない。系統樹はなにかをするための道具?それ自体高価で、重要で研究対象となり得る道具?と書きたいけど、stringもそうだし、結局、おもしろいもので、その面白さに共感してくれる人がどのくらいいるかということか。でも、人数だけなら、stringとかは少ないから、どうなるのか?潜在的な面白さを感じる人が、過去、未来でどのくらいいるのか?という問題か?
究極の理論としては、少なくないくらいにはいるね。
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「哲学は、哲学者と呼ばれる一風変わった人々による深遠な学問的練習などではない。哲学は日々の文化的思想や行動の背後に潜んでいる仮定を考察するのである。われわれが自らの文化から学んだ世界観は、ちょっとした仮定に支配されている。そのことに気づいた人はほとんどいない。哲学者はこうした仮定を暴き出し、その正当性を検討することにある」(デイヴィッド・ザルツブルグ『統計学を拓いた異才たち』371頁)p210
【あとがき】p270
風のうわさによると「樹」はときどきものを言うそうだ―その声のささやきがあなたには聞こえるだろうか。:<From me flows what you call Time>。系統樹を通して、さまざまなオブジェクトが変化しつつ伝承され、子孫に受け継がれてきた。まさに「時間」そのものが系統樹から溢れでているに違いない。生物の進化も言語の系統も写本の系譜も遺伝子の系図も、すべては系統樹から湧き出る「時間」に従っているのだから。二千年以上もの長きにわたって自然をめぐる私たちの考えを縛ってきた「存在の大いなる連鎖」は、十八世紀になってようやく"時間化"されることにより、一方向直線的な進化の観念を生みだした。それと同じく、祖先子孫関係という由来のつながりによって階層的に構造化された系統樹もまた"時間化"されることにより、存在(パターン)から生成(プロセス)への遷移を遂げた。
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極めて形而上学的論考.仲間分けの方法論ではあるが,科学で語れない切り口での視点があるという指摘.例えば,科学技術を成果で分けるのが我々の一般論だが,成果を提唱した人の背景,人脈,動機を以て仲間分けすることも同列であるべきと説く.科学哲学も考慮したバランスをとることで見える別世界があるのかもしれない.
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類型化のための方法論を知りたかったので、本書を手に取った。修士論文執筆中に一読していれば、構成が大きく変わっていただろう。著者がいうように、適用範囲が広いので、生物学に限らず多くの分野で「系統樹思考」は応用できるフレームワークで非常に魅力的である。類型化、分類のためには、この系統樹思考を理解しておく必要がある。ただ「学問分類と学問系譜とは異なる」ことも同様に了解しておかなければならない。分類して群思考(group-thinking:同じ対象物を離散カテゴリー化によって近縁性を見出し体系化)で認知することと、系統樹思考(tree-thinking:対象物間の系譜関係によって体系化)で推論することは本質的に異なる。この点を確認できただけも大きな収穫だった。