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「コキリコ・ピクニックランド」という山奥の
レジャー施設を1本の軸にした短編小説集。
のどかな話あり、心温まる話あり、背筋がぞっとする
話あり、ほけーって感じの話あり。
すべてコキリコ・ピクニックランドが
絡んでいるんだけど多種多様な物語になっていて
すごく面白かった。どの話もたんたんとした
空気は感じられて、なんかこちらの心もたんたんと
する。とっても良い感じの物語達だった。
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初出の欄をみて、嗚呼、総入れ歯、いや、そー言えば、マガジンハウスのPR誌の「ウフ」で連載されていたのをやっと思い出した、何処かで読んだ内容だと思って。作者が歌人とか云うのは初めて知った。何だかRPG仕立ての話を読んでいる様な感じがした。最近観た映画の話もそんな話だったから。
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歌人が小説を書く、ということは、短距離ランナーがマラソンを走る、こととは違うのだろうか。 そんな無理をした感じがない。すごく自然な物語になっている。これが著者の初めての小説だ。 同じく歌人で、『短歌があるじゃないか。』の共著の穂村弘は、『もうおうちへかえりましょう』や『現実入門』といった傑作エッセイを連発している。 歌を作る人の日本語能力というのは、文章の長短を問わず、特別なものがあるのかもしれない。 遊園地を舞台にした連作短編集。 その遊園地というのも、人気のアトラクションがあるわけでも、かわいいキャラクターがいるわけでもない。のんびりとした鄙びた施設になっている。 そこで働く者、訪れる者、それぞれの話の登場人物たちは、そんな遊園地に似つかわしい生き方をしている。 いや、そんな登場人物にふさわしい遊園地になっているのか。 失踪してきた元銀行員とすべり台。どうしようもない思いをした女がその夜に出会った観覧車。いきだおれの女といっしょに乗るコーヒーカップ。 どの人物もどの遊具もなんだか世間からちょっとずれている。だけど、印象に残る。薄っぺらくない。 そういえば、遊園地の記憶というのは、どうやって乗り物に乗ったとか、どうしてその乗り物に乗ろうと思ったのか、という細かい部分はまったく欠落しているのだけれど、それに乗った、ということは何十年たった今でも覚えている。 思った以上に激しかったコーヒーカップ、いっしょに乗っている相手ばかりが気になって風景を全然見ていなかった観覧車…。 その遊園地は、もうなくなってしまった。 この連作短編集を読むと、その舞台となった乗り物が結ばれて、遊園地のマップが胸の内でできるような感じだ。 また、ひとつ、行くことができない遊園地の記憶が残る。
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さびれた遊園地をめぐる短編集短編ごとに何かしら遊具(アトラクション?)が関わってきます色んな人が、色んなものをかかえてやってくる遊園地。重かったり、素敵だったり、でもやっぱり知らない人同士がすれ違う遊園地の雰囲気、「すれ違ってそれで、それだけ」のようなものがある気がしました。なかなかよかったです。街で、電車で、駅で、毎日たくさんの人とすれ違って、みんなにそれぞれ「その人」があると思うと気が遠くなるけど、この本はいい方にそのことを語ってくれてるような。少しその後が気になる話もありました。気になるだけで、書き切ってはいないのがまたいいのかな。
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掴みどころがなく、不安定で不確定なところがとても好き。
既成事実で永遠にしてしまおう、っていいな。
現実的なんだかロマンチックなんだかね。
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短編集だけど、どの話も同じ遊園地が関係した物語になっている。
同じ場所でも、人によって出来事も捉え方も異なる。
色々な人生がある。
男の人の指に惹かれるの、凄くよく分かる。
洞窟の話は怖かった。
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寂れた遊園地『コキリコ・ピクニックランド』を舞台とした連作短編集。
『長崎くんの指』
真面目で優秀な銀行員だった主人公は、
衝動的に金庫の金を盗み、家を出、遊園地に住み込みで働き始める。
遊園地で出会った長崎くんの指に恋する話。
『バタフライガーデン』
仕事をなくし、バツイチの妹の家に転がり込んだアラフォーの主人公。
妹に命じられ姪っ子を連れて行った遊園地のバタフライガーデンの管理人に強く惹かれ通いつめるようになる。
『アマレット』
長い不倫関係を精算し会社もクビになったマリアさんの物語。
遊園地で観覧車を操作する森田老人と親しくなり、遊園地で働き始める。
観覧車の役割がとても美しい。
『道ばたさん』
家の前に倒れていた記憶喪失の女を拾った母娘の話。
『横穴式』
お化けが出るという遊園地の洞窟に取材に来た主人公。
そこで不思議な親子と出会う。
これはホラーな話だった。
『長崎くんの今』
『長崎くんの指』で、終盤唐突に行方をくらました長崎くんのその後が描かれている。
蛇足の感が強い、、、。
『夕暮れひなたの国』
唯一関連性のないおまけの一篇。
いくらでも深読みができる。
現実感の薄い、ファンタジーのような物語である。
それぞれ短い話しながら、裏には濃くて深いものを孕んでいる感じ。