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海を主体とする小説は少ないけど、そのすべてがいい。
これは、22世紀の海を管理するようになった人間の話。
思ったより話が面白かったので、そこもいい。
こういう想像力はどこからでるんだろう。
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第2次世界大戦終戦直後のイギリス。
積み重なった戦費は戦勝国イギリスの経済を破綻に追い込み、
大英帝国は消滅した。
連合軍によって開放されたフランスや、敗戦国イタリア、ドイツにおいて
食料の配給制が撤廃された後においても英国は配給制が続く有様。
ビーフ・ステーキの代用品として鯨肉が重用されたものの、
庶民のテーブルには鯨肉さえ上らなかったという。
人口が爆発的に増加し、食糧の確保が困難となった近未来。
馬に跨ったカウボーイが牧場で牛を育てたように、
潜水艇で鯨を追い、育てることで食料問題の解決を図るのが
本作品の基本骨子。
著者であるアーサー・C・クラークには戦争直後の、
長引く食料配給制時代の記憶が肌感覚として沁み込んでいたことと拝察する。
彼にとって鯨肉とは、飢餓と貧困の象徴であったことだろう。
昨今の捕鯨感覚とは別次元の発想だったと思う。
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こういうのもSFって言うのか!
という目からウロコなところから始まり。
さすがクラーク、
これを捕鯨反対の欧米人に読ませたい!!!
という点で非常に興奮した一冊です。
基本的にクラークが書くストーリーは末広がりな気がする。
未来はよりいいものである、
と信じていたんだと思う。
主人公も決して不幸にならない。
ような気がする。
クラーク本人はきっとすごくステキな人だったに違いない。
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Kindle用にダウンロードした。久しぶりにクラークの作品を読んでいるが、やはりいつ読んでも面白い。
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解説にある通り、これは失われてしまった”理想の未来”である。そういったものを浮かれすぎず、リアリティに徹して、描けるのがクラークの良いところだと思う。
大規模な環境改変という考え方は、21世紀の今日受け入れられるものではないが、懐かしい未来像でもある。
最後の音もなく宇宙船が空に昇っていくシーン。クラークの描く無限の上昇を表しているようで良いシーンだと思った。
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フロンティアを宇宙ではなく海に求めた作品。クジラを食料とすべく海を牧場として育てている。現在から見ると複雑な気分になるが、この事の是非が問われることになる。また、クジラを守るための調査過程で現れる、正体不明の巨大海洋生物の謎が加わる。挫折した元宇宙航空士の再生と、彼の同僚であり親友の死などのドラマも描かれる。このドラマ部分はとってつけたというような感じがするが、海を舞台とするハードSFの単調さを補う助けとなっている。
もっとも興味深いところは、物語の後半で仏教の最高位の人物と主人公の元宇宙航空士とのやり取りだった。人間のためにクジラを殺し続けるか否かという問題である。未来に出会うであろう人間より高等な生物からの視点を示すことでまったく新たな見方が現れる。
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海洋SFというより、海で生きる主人公の人間ドラマという印象が強い。
雰囲気としては、フレドリック・ブラウン『天の光はすべて星』が近いか。
なかなか物語に入り込めず終了。大きな山場がなかったように思う。
気分的に、ハッキリと分かりやすいSFを求めていたせいもあったかも。
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食糧(ほか様々な必要物質)の提供者として鯨が飼育されている未来の地球で、宇宙飛行士としてトラブルが起きて精神的に深い傷を負ったフランクリンが立ち直り、いろんな事件を乗り越えて生きてゆく物語。
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なんど読み返しただろうクラークの描く海洋SF。
挫折した宇宙飛行士は牧鯨管理員として再生していく。牧鯨というからにはクジラは食料の対象として管理されるわけで、作品が発表されたベトナム戦争以前の思想と現在の思想の違いもあって興味深い。その後の問題についても先読みした議論や騒動もえがかれており、さすがクラークといまさらながらびっくりする。魚類の和名など翻訳上間違っているものもあったりするけれど、加藤画伯版の表紙はSF男子の心を離さない。
それにしても海に行きたいぞ。