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SFというカテゴライズだが、ファンタジー的内容。
ラスト二章は楽しめたが、それまではあまり乗り切れなかった。世界観や文章は綺麗で良かったのだが、人物に感情移入が出来なかった為であると思う。
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センスオブワンダーに満ちたアイデアももちろんのことだが、飛浩隆は極めて優れた情景描写力の持ち主なんだと思う。途方もない世界観の広さもさながら、ほとんど戦闘描写だけでこんな圧倒的傑作を生んでしまうなんて。決して難解な表現を使わないのに、そこらの純文学作家よりも上質で精緻な文体。にしても、遅筆な著者が専業作家になれるくらい売れてくれないかな。早く続きが読みた過ぎる。グロいのが苦手な人にはオススメできないけど、個人的評価は★6。
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2013
再読
9/28
AIなのにビルドゥングスロマンを成り立たせたところに凄みと意義を感じる。
ただし、「苦痛」の描写がかえって痛みを中和してしまった印象を受けた。
適度な読みやすさを確保するためには仕方のないことかもしれない。
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飛浩隆「グラン・ヴァカンス」を読み始める。電脳コイルのAI版、といった感じの印象か?グラスアイもメタバグっぽいものなのかしら?なんだか面白そう。
わけがわからないながらも楽しめる。「象られた力」の短編は、わからない!というだけの作品もあったけれど、「グラン・ヴァカンス」は基本構造が「蜘蛛」達との攻防戦なので、そこが分かりやすい分読みやすい。
飛浩隆「グラン・ヴァカンス」読了。後半あたりの展開で、自分の想像力が追っつかない。。。前半は普通に攻防戦だから楽しく読めるのだけれど。同じく飛氏の「象られた力」でも同じような感覚があったなぁ。
夏の区画への侵入者が、読者の立場の暗喩になっているとか、解説読んで始めて知ったよw 私はどうにも、メタファーがどうのとかを理解して読める読者ではないのだ。この作品を味わい尽くせるだけの感覚を持ち合わせていない。。。
とはいえ、鉱泉ホテルを巡っての攻防戦などは十分に楽しめる。残酷かつ美しい描写にも引き込まれるものがあった。そして、世界観については一部しか明らかになっていないので、続編も読みたくなるのは確か。
ってか、設定的には一番面白そうな部分の謎が明かされてないんだよなー。実はそこが一番不満なんじゃないか俺。もっと世界観が明らかになって欲しかった。「ラキッド・ガール」も読めってことか。
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美しくて残酷…的な内容に触れるレビュウは他者に譲るとして、極私的な感想を。
なんというか、読んでいる最中、多幸感に包まれるような貴重な体験となった。行間にまで滲み出る有形無形の情景描写の素晴らしさは勿論のこと、あえて使う「ひらがな」や、喋り言葉として曖昧に使われるようなコトバをテキストにして定着(明文化)させる手腕が素晴らしい。まるで古典を読んでいるかのような錯覚さえおぼえた。
そして、そうした優れたテキストワークが「美しくて残酷」な物語に違和感なくフィットしている。文句なし!☆10個!
しかし残念なのは、背表紙等で謳われる梗概ですね。嘘は云ってないけど、あれでは従来どおりの読者しか捕まえられない。この「美しくて残酷」な物語は、そうしたニッチ市場を越えたところで読み伝えられるべきものだと思う。
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1000年以上人間<ゲスト>の来訪が途絶えた仮想リゾート空間『夏の区界』。そこでは使命を失ったままのAI達が穏やかに暮していたが、突如として『蜘蛛』の大群が出現し殺戮を始めた。圧倒的な蜘蛛の力の前に為す術無く消去されてゆくAI。
だが、辛うじて生き残った者達は区界に唯一残された「鉱泉ホテル」に集結し、反撃を決意する。
今、AI達の生き残りをかけた地獄の一夜の帳が降りる。
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装丁がいい
ヴィジュアルイメージが豊かで、読ませる
登場人物ほぼAIだけど感情に違和感あった
AI特有の感情の動きを設定してほしかった
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小説と言うより詩的なイメージの断片のよう。あるいは、デイヴィッド・リンチがSFを書いたらこんな作品になるんじゃないかという感じです。
ゲスト(人間)が訪れなくなって1000年以上立つ仮想現実の世界のAIたちが主人公という設定のためか、残酷なシーンが数多くあるにも関わらず読後感はそれほど悪くなく、また感情移入を拒むような雰囲気があります。
なんとも不思議な気持ちになる小説でした。
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緻密で繊細で甘美でいてグロテスク。
グランヴァカンスがファンタジー的なアプローチだったのに対しラギッドガールはSF的なアプローチでグランヴァカンスを補完する。
全文に無駄がなく、所々に散りばめられたワードが様々な所に繋がっており、読み進めるうちにグランヴァカンスとラギッドガールの相互性に気がつく。
解説の言葉を借りると読者が物語にて出てくる侵入者と重なり、読み進めるうちに背徳感が生まれる。
何度読み直しても新たな発見がある。
作者も「清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけたつもりだ。」と言ってるが本当にそのとおりだった。残酷なのに美しい。これに尽きると思った。物語が一枚の絵画のように美しい作品だった。
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そこが人間のための楽園であることが、ジュリーがパンツを履いていないことの必然性。ラキッドガールも読まないと。
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人間の欲望に蹂躙されることを理解しても、怯えた顔でゲストに微笑むAI。
人間が大嫌いなのに、人間に依存している矛盾。
まあそれはサブ要素だけどね。そういうの好き。
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AIもここまで来たら人間。
物語の内容も残酷で醜悪だったけど、夏の区界の制作者や利用者のことを考えるともっと寒々する。
でも解説を見て自分も気を付けないといけないなと思った。
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仮想空間に造られたリゾート〈夏の区界〉。
南欧の港町をイメージして造られた古めかしい町で過ごすヴァカンス。
石畳の小路、おもちゃのような家、坂道、入道雲、鳴き砂の浜、
オリーブオイルとヴィネガー、格式高い〈鉱泉ホテル〉でのチェス大会。
これはそこに暮らすAIたちの話だ。
舞台だけ眺めると鳩山郁子の作品の世界みたい。
〈夏の区界〉に現実世界からの『ゲスト』が来なくなって一千年。
AIたちは永遠に続く夏休みを過ごしていた…
著者は「清新・残酷・美しさ」を心がけて書いたと記しているけれど、
私には「残酷」の割合が凄く高かった。
血しぶきは飛ばない。でもこんな恐怖は初めてかも。
普通じゃない残酷さ。骨が折れ、内臓がつぶれても死なずに苦痛だけを感じる…とか、生きたまま大男に食べられる…とか、顔をフライパンで焼かれるとかとか……
それでいて、ヒンヤリした美しさはあるのだから。
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会員制の仮想リゾート<数値海岸>の<夏の海岸>ではAIが暮らしを営んでおり、現実世界の人間はお金を払うことでゲストとしてその仮想空間で様々なロールを演じることができる。そこはゲストに性的な快楽を与えるため空間であり、様々なシチュエーションが用意されている。
そこに暮らすAIたちであったが、1000年前の「大絶途」以降ゲストの訪問が途絶えてしまう。理由は不明だが、その後もリゾートは閉園されることはなく、AIたちは誰一人としてゲストを迎えることなく千回にも渡る終わらない夏を繰り返して来た。
だが、その永遠の夏は突如として終焉の時を迎える。謎の存在<蜘蛛>の大群が押し寄せて彼らの空間を食い散らかして行く。徐々に住処と仲間を奪われていくAIたち。何が起こったのか?何が起ころうとしているのか?絶望に満ちた一夜の攻防戦の果てにあるものとは?
なんか大作RPGをやっているような気分にさせられる小説でした。
内容自体はグロテスクな描写も多くすごく残酷だけど、文章やそこから想起されるイメージはとても美しい。そんなところがFFのようなRPGの幻想的な雰囲気を醸し出しているのかもしれない。
自分たちの暮らす空間や自分たち自身のプログラムそのものにも干渉することが出来る圧倒的な存在と対決する絶望感。そして突如いつもの生活を壊される不条理。そんなAIたちからすれば神とも思える存在ですら恐れを抱く天使という存在。続きがすごく気になる終わり方でした。
これだけ残酷な物語なのに、すごく綺麗にまとまってるなという印象です。
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仮想世界で人間をもてなすために作られたAIたちに
突然襲い掛かる悲劇と終末を描いた物語。
題材はすごく好みなんだけど、残念ながらあまり楽しめなかった。
グロ・ゴア表現はそんなに気にならなかったけど
人物描写があっさりとしていて感情移入ができず、
誰がどんな人物かを思い描く前に次々死んでいき
気がついたら終わっていたという印象。
設定上の重要人物への描写よりも
その他の人物や設定上の作り話の部分が面白かった。
(盲目婦人と夫の物語やレース編みの若奥さんの部分)
人間が来なくなった日・グランドダウンという単語が度々出る割に
それに対する回答やヒントが作中になかったのが残念。
3部作の第1部だから仕方ないのかもしれないけど、
人物や物語にあまり興味が持てなかったので続きはもういいかな。