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一瞬の風になれ 1 イチニツイテ みんなのレビュー
- 佐藤 多佳子 (著)
- 税込価格:1,540円(14pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2006/08/26
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紙の本
支えあう尊さ
2008/05/03 10:18
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
一瞬の風になれ 佐藤多佳子 講談社 1巻~3巻
この本のテーマは「支えあう尊さ」です。高校生による短距離リレーの話となっています。読み進めていて、ところどころ胸が熱くなる瞬間があります。先生が生徒を上手におだててくれる。教師、先輩たちは、あたりまえのことをあたりまえにと言葉を発している。そこが素晴らしい。谷口若菜の存在がいい。物語を引き締めるためには名脇役が必要です。
2巻P264、2行目には泣けてくる。読むのがもったいない。立ち止まるように読み止まる。余韻を噛み締める。作者は、「一期一会」 「ワンチャンス」にこだわっている。
3巻140ページあたりのつぶやきは生き生きとしている。目標に向かって「ひたむき」であること。読者は思う。スポーツが上手な人がうらやましい。若い人たちがうらやましい。
レース内容の記述が短いのは推敲の果ての結果とみる。短距離競争であるがゆえという理由にもいきつく。
ラストページを読み終えました。感動的な映画を見たあとの気分です。
紙の本
一瞬、という尊さ。
2008/03/31 14:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はしばらくスポーツから離れていて、今ではすっかり読書人間になっている。スポーツに触れるのはブラウン管(とはもう言わないのか)だけの生活を送るような典型的な文科系だ。
とかいう私も中高はちゃんと部活をやって、体を動かしていた。良い思い出もあれば、悪い思い出もある。しっかり練習して良いとこまで行った年もあれば、さぼりまくってダメな年もあった。仲が良かった年もあったし、常にぎすぎすしていた年もあった。私自身、誇りに思える活躍ができた年があれば、今でも思い出すような失態もある。
経験している、経験していない、という区別はできるだけすべきでないが、スポーツだけはやってみないと分からない。他の経験に比べ、直接に、肉体に関わるからであろうか。身体全体を酷使したあの痛み、痛みを乗り越えた達成感、それらは各人それぞれの大事なものになる。思い出すのが辛い思い出の方が多い私だが、それでもやっぱり良い思い出もあるし、何よりもあの達成感は辛い思い出を吹き飛ばしてくれる。スポーツやってて良かった、あの仲間がいて良かった、って思える瞬間は確実にある。
『一瞬の風になれ』。
もう随分と有名になった作品だ。有名過ぎて手を出していなかったが、本当に勿体ない事をしていたと思う。もっと早く読めば良かった。頁を繰る手が止まらず、このまま読み続けていたい、読み終えたくない、と心底思った。やはり良いものは良い、のではなく、この本は良い、そう自信を持って言える。
一人の高校生の、陸上でのサクセス・ストーリーを描いた今作での一番の特色は、「爽やかさ」だ。否定的な「ありえない」ではなく、「ありえない」ほどの爽やかさがこの作品にはある。そしてそれが抜群に良い。
文章が読みやすい、文体に気を使ってる、というような創作上の爽やかさではない。この物語の爽やかさは、そのままずばりのスポーツをする爽やかさである。この作品全てでそれを表現している。ただそれだけの為にこの三部作がある。それだけ凝縮されている。
出てくるキャラクターも、私としては思わず懐かしくなるような性格を持った人物ばかり。こういう奴確かにいたよなあ、めちゃんこ強い奴とか、スポーツ一家とか。
二巻ラストで語られる主人公神谷新二の葛藤と挫折に私の心は強く揺れた。そう、私も辛いことがあって逃げ出した奴の一人なのだ。新二のように逃げて、仲間に心配かけて、そしてそれが嫌ってほど分かり、そんな自分に嫌悪する。私の悩みは新二と比べると小さい悩みだったが、新二の行動は理解できる。事情は違っても、その心理は分かる。スポーツに青春を注いでいたからこそ、分かる。
一見すると、夢物語や非現実的な物語に取られがちだが、似たようなことはあり得るし(かつて私がいた地区の状況に似ている)、無かったとしても、まさに小説の力というか、読む楽しさを与えてくれる、そしてスポーツをやりたくさせる、良い小説であるのには違いない。
青春というのは、長い人生の中では、本当に一瞬のことであり、その貴重な青春時代にスポーツを経験する人は多いだろう。大事な思春期がスポーツで埋められてしまうのである。
でも、だからこそ、何かに夢中になることはとても大事で尊い。例え一瞬であろうとも、その一瞬は、人生における輝く一瞬である。
擬似体験であろうと、いや、だからこそ、小説でしか分からないその尊い一瞬が、この小説の中には詰まっている。そして、たとえスポーツをしていなくても、この極上の小説を読めば、すぐにでもその尊さを味わうことができる。本を読むことはこんなにも素晴らしいのだ、と気付かされる小説でもあると、私は思う。
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若者の気持ちをつかんだ爽やか系スポーツ小説
2011/12/18 11:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここしばらくスポーツ小説が元気な印象がある。若年層向けのものも多い。その先駆けになったのが、あさのあつこの『バッテリー』と並んで、このシリーズではないかという気がしている。これはサッカーでは結局一流になれず、サッカーエリートの兄と別の高校で陸上部に入った少年を主人公にしたスプリントの話。陸上という素材は派手さの点で難しさがあると思うが、人間を描くにはいいという気もする。また、一人称の語りも、とくに現代の若者を描くとなると技術的に難しいはずだ。が、作者は主人公の思いを非常に巧みに捉えて語らせている。能力の高さを感じる。
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迫ってくる
2016/03/31 09:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kazu - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすが本屋大賞! という感じで、すごく面白いです。
新二が連の才能に圧倒されながらも、悩みながら、着実に前へ進んでいくのが、スポ根好きとしてはたまりません。スポ根好きを語っていて、この本を読んでいないならもぐりだと思います。そう断言できるくらいの、読むべき名作中の名作です。
もちろん、スポ根物はちょっと…と思っているあなたにも読んでほしいです!
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風が通り抜けたかのような爽快感
2015/03/26 14:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
3巻まではあっという間。ページを重ねるごとに『一瞬の風になれ』の 世界に入っていける。読後は、まるで風が通り抜けたかのような爽快感が 味わえる作品。 こんな風に部活をやり通せたらいいな。