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シェイクスピアの驚異の成功物語 みんなのレビュー
- スティーヴン・グリーンブラット (著), 河合 祥一郎 (訳)
- 税込価格:4,620円(42pt)
- 出版社:白水社
- 発行年月:2006.9
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紙の本
シェイクスピアを外堀からじっくり責めて、大きな世界観を構築しています
2007/04/25 01:00
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シェイクスピアについては、それこそ、星の数ほど、本が出ていますが、この本ほど、本人について書かずに事実として判っている周囲のことだけでシェイクスピアについての人間像を浮かび上がらせた本は、ないでしょう。
周囲のことだけで、と書きましたが、
シェイクスピアは、それこそ、巻末についている年表にかかれていることぐらいしか、判っていない、謎の人物です。
手袋職人の息子で、父親は町の公職を任せられるほどの人物でしたが、その後、没落。紋章を得る夢を親子二代で見ます。
シェイクスピア自身は、隠れカトリックという噂(母親が、カトリックだったみたい)と、脚本とソネットを残し、早々と、引退したりと、
本当にわかっているのは、これだけに近いです。
それを、著者は、それこそ、外堀からじっくり責めるが如く、
当時の英国の世情から、英国における新旧の宗教の争い、
(正に、このころは、英国国教とカトリックの境目でした)
謀反人のさらし首がつきささる槍が乱立する当時のロンドンまで
使い、それこそ、シェイクスピアがみたであろう、風景、感じたであろう、気持ちを、得たであろう、刺激を描き出しています。
著者が、シェイクスピアは、、、、だったかもしれない。と書いている箇所は、 (そのため、本書は、欧米では断定が、少ないと批判されたそうですが、)実は、そうだった。と書きたいけど、書けない、著者の一種の文章上の修辞法なのです。
そして、勿論、事実として残っている、シェイクスピアが残した。
脚本とソネットも、重要なキーファクターとして読み解いています。
シェイクスピアついての新しい新事実発掘というより、
シェイクスピアについては、既存の知識だけで、彼の周りのわかっている事実を著者の博識の下、再編集し、再構築し、シェイクスピアを書き上げたのが、本書です。
ある意味、これも、歴史の楽しみ方のひとつというか、醍醐味ですね。
実は、私、シェイクスピアを全く読んだことが、ありません。
逆にこの著者の外堀から責める形式によって、助かったかもしれない
読者の一人です。 (しかし、脚本の引用箇所は、歯噛みしながら、読んでいましたよ)
読まなきゃ、と思った次第です。(反省)
普通、あとがきって、本文のポイントを要約した感じで本文理解の補助になるのだけれど、
本書のあとがきは、本文に以上にちんぷんかんぷんでした。
著者のグリーンブラッド氏は、「新歴史主義」(New Historicism)
の代表的な人物で、歴史主義を批判する立場に位置します。
新歴史主義とは、本書でシェイクスピアを描いたように、
既存の資料から、著者、論者の想像力をプラスして
論点、論ずるものを浮かび上がらせるやり方みたいで、
本書のアプローチこそ、新歴史主義の王道のアプローチみたいです。
ただ、捏造とはいかないまでも、創作といわれたら、
どう反論するのでしょうね、、、。
文系もいろいろ大変だなぁ、、、。
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