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姉マルセルと妹ココの姉妹がある日の朝
森の中で一人の兵士を見つけるところから
この物語は始まる。
二人は、兵士から目が見えないこと故郷の弟が病気で兄に会いたがっていることを聞き故郷に返してあげようと決意する。
兵士が語る哀しいロバの物語が少女達の純粋な心を打つように、彼女たちの純粋な想いが心を打つ作品です。
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児童図書だけど、どこが児童向けなのか分からない。むしろ大人向けの内容。
女性作家らしい切り口と文体。
主人公の少女が負傷した逃亡兵と出会い、触れ合うなかで傷ついた兵士が語るロバに纏わる幾つかのエピソードが物語の中心。
読み終えた後、心の中に響くイメージの残心は“たしかに児童文学”特有の軌跡かも知れません。
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少女たちと兵士との触れ合いが、物語を優しく包んでいる。
だからこそ、一層際立つ、その中に潜んでいる戦争の残酷さ、人間の愚かさ。その対比が切ない。人間の作り出す世界は、こんな矛盾に満ちているのだ。
ロバが教えてくれる、本当の勇気、本当の思いやり、本当の愛。
読んでいると、つくづく、人間であることが恥ずかしくなってくる。どうして、人間って、こんなにも愚かなのだろうか?
それでも、少女たちの無垢な心は清らかで、強く・・・。やっぱり人間って、捨てたもんじゃないなあと思う。ああ、ここにも、矛盾があるのだなあ。
戦争の残酷さを描きつつも、同時に、人間の優しさや強さを教えてくれる物語には、絶え間ない紛争と貧困に満ちたこの世界に、ひとすじの光を与えてくれる気がした。
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ひんやりした春の朝、海に近い森の中で、ふたりの少女は盲目の兵士に
であった。そして、ふたりにとって、かけがえのない冒険がはじまった―
ほんとうの勇気とは?思いやりとは?愛情とは?心に深くしみいる寓話の傑作!
オーストラリア児童図書賞受賞。
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いつの時代の話なのかは分からなかったけど、戦争の惨さや悲惨さを、子供にも分かりやすく表現されていると思いました。
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子供向けのお話。銀のロバがこの物語の中でかなり重要な役目を果たしているけど、なんでそんなに大切なのか、私の中でかみ合わなかった。中尉は戦争やいろいろ経験してるから大人びている印象があったが、他の子どもたちはのんきで本当に子どもだった。「木曜日に〜」を読んでみたくなった。
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ここにレビューを書きました。
http://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/5b8b42943d17e004c0937a2b1cd6797e
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勧めてもらったので図書館で探して読んでみたけど途中でダウン。借りてきたのでぼちぼち読めたらいいなあああ。
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オーストラリア児童図書賞受賞
あるひんやりした春の朝。海に近い森の中にきのこを探しに来ていた姉妹がが見つけたのは、倒れている男。
最初は生まれて始めて死人を見つけたと思い、わくわくしながらも逃げ出す2人だったが、
本当に死んでいるのか確かめるために戻ってみると、男は起き上がっていた。
目はまっすぐ2人を見つめているのに、「だれだ、そこにいるのは?」と叫ぶ男。
男の目は見えていなかった。男はとても若い外国人で、脱走兵。
病気でもう長くはもたない弟に会うために、イギリスの自分の家に帰ろうとしているところだと話すと頃から物語は始まる。
第一次大戦下のフランスの海辺の町が舞台。
イギリス軍の脱走兵の話なので、本当はほのぼのなんてしようがないはずだが、読んでいてすごく和む物語。
姉妹を見てる限りでは、近くで戦争をやってることなんてまるで感じられず、それが逆にちょっと薄ら寒い気もする。
本筋の物語そのものもよかったが、兵士が子供たちに話して聞かせるロバの出てくる4つの物語がとてもいい。
・キリスト生誕の時にマリアをベツレヘムへと運ぶロバの物語
・旱魃(かんばつ)に苦しむ世界を救うロバの物語
・戦争で負傷者たちを助ける少年とロバの物語
・ジョン(脱走兵)が見つけた銀のロバの物語。
上三つは教訓的な話し。
銀のロバの物語は、いまいちよくわからなかった。
情報は与えられていて、後は考えろ、的な本。教訓めいた本。
深く考えさせられるけど、句点の位置がおかしいと思う箇所が何箇所かあった。
原書で読めたら、違う印象を受けると思った。
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何を隠そうロバが好きです。なので、タイトルと表紙の絵に惹かれてこの本を手に取りました。
物語は第一次世界大戦の最中、フランスのある森の中で、幼い姉妹が盲目の脱走兵に出会ったところから始まります。少女らは、傷ついた兵士を助けるために、大人には内緒で食料を運びます。そして、兵士を故郷のイギリスに帰してあげるために、幼い知恵を絞るのでした。
兵士は胸のポケットに、お守りの小さな銀のロバを持っていました。おとぎ話の中のロバは、のろまな愚か者として扱われることが多いようですが、ここで兵士の口から語られるロバにまつわる寓話はそうではありません。ロバはひかえめで働き者の、心優しい隣人として描かれています。そんなことは、本物のロバを間近で見れば、誰にだってわかることですよネ。朝露に濡れたブドウの粒のような瞳を見れば、ロバがとても美しい動物であることは一目瞭然です。この物語では、ロバを語ることによって人間の愚かさが浮き彫りにされていますが、同時に無償の愛の美しさも描かれています。胸に沁みる、優しいお話でした。
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本は装丁重視で選ぶことが多く、
この本はまさに表紙に惹かれて手に取ったものです。
なぜわたしはこんなにロバの表紙にわくわくしてしまうの...?
以前も「プラテーロとわたし」という本を表紙で衝動読み?
したという経験があり。。。
今回もはずれなくおもしろかった!
お話の中に出てくる二人の姉妹がとてもかわいい。
生真面目でしっかりものの姉と
奔放で心やさしい妹。
どちらも大好きにならずにはいられないキャラクターです。
「となりのトトロ」の姉妹に雰囲気が似てるかも。
物語の中で、兵士の語るお話が4つ。
そのどれもがロバを主題にしたお話なのですが、
どれもぐっと心にしみます。
情景が目に浮かぶような語り口もよかったです。
自分が幼いころに持っていた、
秘密を共有するドキドキ、わくわくの心や
誰かのために何かをしてあげたい!という無償のやさしさみたいなものを
思い出させてくれました。
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第一次世界大戦、西部戦線のころをイメージしたらしい、フランスが舞台の小説。
といっても戦争のドンパチがメインじゃない。戦争のある時代の日常のお話。
幼い姉妹が、ある日森の中で目の見えない兵隊さんをみつけ、故郷のイギリスへ帰してあげようとする。
子供にとっては「スタンドバイミー」的な大冒険。
大人にとっては切実で命がけの綱渡りな「千一夜物語」。
兵隊さんがしてくれた四つの「ロバの話」を挟んで、おだやかな森の中と戦争のある外の世界が交差する。
子供らしさと若者らしさとリアルな世界のバランスがいい。
文章に森の空気や土のにおいがする。
「真夜中の動物園」はちょっとクドく感じたけれどこちらは違和感なく美しい。
妹が「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼んでいるのが気になる。
一度だけ「マルシーに~」というセリフが出てくるけどこれはマルセルの愛称…だよな?
いきなり出てくるから誰かと思った。
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あるひんやりした春の朝、イギリス海峡を臨む森の中で、マルセルとココ、ふたりの幼い姉妹は盲目の兵士に出会った。
彼は「シェパード・チューイ」。
海峡を越えた先にある故郷、家に帰りたい一心で軍を脱走しここまで歩き続けてきたものの、なにが原因か分からないまま視力が徐々に失われ、ついに目が見えなくなって森の中に座り込み、途方に暮れているしかなかったという。
大人にこのことが知れたら、彼は軍に連れ戻されてしまう。
マルセルとココは彼の存在をふたりだけの秘密にして、チューイに僅かな食料を運び、かわりにチューイはふたりにせがまれるまま、ロバにまつわる4つの物語を聞かせた。
やがて「自分たちだけではチューイを家に帰してあげることはできない」と判断したマルセルは、兄のパスカールに秘密を打ち明ける。
賢いパスカールはすぐにチューイを助ける方法を考え出す。
それは兄妹たちにとって、かけがえのない冒険のはじまりだった――。
明言されていませんが、作中のチューイ(中尉)の回想のなかでノーマンズランドという言葉が出たことと後書きから、舞台は第一次世界大戦中のヨーロッパ、フランスではないかと思われます。
幼い姉妹が失明して行き場を失った脱走兵を無事に逃がそうとする本筋のストーリーと、その兵士が子供たちに聞かせるロバにまつわるおとぎ話が絡み合い、戦時下が舞台ながら心の温まる、勇気と優しさの物語になっています。
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すごく雰囲気のあるお話。悲惨な戦場と、穏やかな村の森の中との対比がいいです。最後の数ページはみんなの計画がうまくいくのか、どきどきしながら読みました。
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第一次大戦中、フランスの海沿いにある町の森の中で、マルセルとココは兵士が倒れているのを見つける。
それは脱走兵なのだが、10歳と8歳の少女は彼を助けるため、毎日家から食料などを持って森へ通う。
病気の弟に会うためにイギリスの家に帰るのだという兵士のため、マルセルは考える。
自分とココだけでは何もできないので、兄のパスカールに相談する。
パスカールは大人の手が必要であると、大人の友人ファブリースに声を掛ける。
脱走兵をイギリスに返すことに協力してもらうため。
まず自分の限界をする。
そのうえで、何が足りなくて、どうそれを補えばいいのかを考える。
これを繰り返して、最初は不可能と思われた、盲目の兵士をイギリスへ帰すことが可能となった。
マルセルやココが持って来たものを食べながら、兵士はロバにまつわるお話をする。
自分の身を顧みず、他者のために力を尽くすそれらのロバの話は、子どもたちにいろいろなことを考えさせる。
日本ではあまりなじみのないロバだけれど、欧米ではマヌケや頑固者の代名詞だったり、重い荷物を背負わされて、倒れるまで働かされたりする存在だ。
そのロバが人を助けることの意味。
兵が持っていた幸運のお守りは、最後、子どもの喜びそうな方法で譲られるけど、それはどうなんだろう。
物自体を渡さなくても、銀のロバの意味を知ったことで幸運のお守りはみんなに渡ったとは言えないだろうか。
元気なココは探検家になるのかもしれない。
戦争の現実を聞いてもなお、英雄に憧れるパスカールは本物の英雄になるかもしれない。
けれど、いつも兵士のために何ができるだろうと考えていたマルセルは、きっと人を助ける人(看護師とか)になれると思う。
目立たなかったけれど、私は彼女が一番好きだった。