紙の本
失格とは資格が無いということなのか?
2007/03/14 22:44
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の好きな歌人・枡野氏の書評小説。
ベースは自伝的小説で、小説の中に登場する本の感想も添えられている。主人公が実際に本を読んでいる場面が出てくるのだ。
自伝的というか…ほぼ自伝だと思う。
職業などの設定こそ違うもの、いきなり離婚を切り出されて家を追い出されてからの12か月が細密に綴られる。
目の前のできごとのようだった。月毎に刷り込まれた短歌は既出の作品だそうだが、妙に当時の主人公の心情とマッチしている。
訳の分からぬまま離婚へと追い込まれていく主人公。
痛々しい。衰弱ぶりがリアルで痛い。
中でも子供たちに対する強い愛情や、叶えられない望みが
『はる、あたまをぶつけてごめん』
という作品に集約されている。
たった3時間の短いできごとに主人公の愛と悲しみがつまっていた。『泣かないから泣きやめなくなってしまった』という現在も続く悲しみにひきずられて、読んでいる私も悲しくなってしまった。
失格なんて、うそだ。
ちゃんと続けようとしたのに、それが断ち切られてしまっただけだ。資格はちゃんとある。
だってこんなに愛してたんだから。
ひとりになった主人公がぽつんと立っているのが見える気がした。
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一応小説スタイル。でも桝野の自伝でしょう、という内容。タイトルまんま南Q太との離婚を題材にした作品。笑っても泣いても転んでも桝野。
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日本初の書評小説。こういう心理状態の男がこの本を読むとこういう気持ちになるというエピソードの積み重ね。主人公は読書ばかりしている男ではないので、単に小説としても読めます。
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自伝的小説っていうジャンルのものだと思う。
相変わらず、この人の元奥さんが好きになれない…。
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書くことで落ちこんだなら書くことで立ちなおるしかないんじゃないか? という氏の歌が好き。自分自身がUTSUで身ではなく、心が倒れたとき、必死になって全身の心の体力をふりしぼって、誰にいわれたでもなく、日記を綴っていた日を思い出した。
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淡々としてるけど、変わった人だっていうのはわかるすべてホントだとは思わないけどやっぱ両者の言い分を聞かないとわからないね聞いてもわからないものだろうけど帯の歌は不動産屋のCMで知ったけど、そんな状況(離婚調停中?)だったなんて、ホロリ
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だいぶ前に友人から「この人面白いよ」って教えてもらったから読んでみたけど正月早々泣けた…いろんなところに同情した。もしオンタイムでこの連載を読んでたら、応援の手紙書いてた。穂村さん、長嶋さんも好きだし、マスノさんが読んでみたい本の紹介もしてくれたのでこの本読んで良かった。
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図書館にて。
題名をみてなんとなく手に取ったのだが、元奥さんの南Q太がこの作者の次に結婚した人との生活を本にしたものを読んだことがあったので、実はこんなどろどろしたことがあったのか(っていうか解決してないし)とわかってびっくりした。
もともと南Q太のマンガはあまり好きではなかったが、さらに嫌いになった。
恋愛や結婚はどちらかが極端に悪いということはないのかもしれない。
でも、あからさまな嘘をついたり、母親のものではない子供に会わせなかったりというのは反則だと思う。
枡野さんもなかなかの変わりもののようだが、早く立ち直ってほしい。
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変わり者作家同志の離婚劇。多分、どちらも見ている風景が違うんだと思う。そして離婚争いではそれが当たり前なのだ。どちらも好きな作家なので、別々にこれからも応援しますとも。2013/6/16
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面白く読みました。
混乱とうつの狭間にあり、その混乱の渦中でその混乱を混乱したまま描いた、という点、余計な言葉は必要ないくらい”ブンガク”そのものだと思う。
啄木の『暇ナ時』が思い出される。
でも筆者は、すくなくとも石川くんよりは付き合いやすい人なのではないかと思います。