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貧しくとも明日への夢を持って健気(けなげ)に生きる女、武家社会に終焉を予感する武士の感嘆。立場、事情はさまざに違っても、己の世界を懸命に生きる人々を優しく見つめる藤沢周平渾身の短編集。
8編の中でも、潮田伝五郎置文、冤罪、雪明かりが良かった。
藤沢周平と宮本輝の本は、読むたびに心が洗われる。
僕のように、身も心も人生のアカにどっぷり浸かってしまった人間には、”原点に戻れ”と言ってくれているような、最高の応援歌本である。
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すでに1度読んだものをまた借りてしまいました。
少し読んで気づいたので途中でやめましたが、正直内容はよく覚えていません。
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設定がユニークだったり、意外な展開で飽きさせなかったり、と、最近の時代小説はずいぶんバラエティ豊かになりました。
それはそれで大歓迎。結構楽しませてもらってます。
でも、ふと読みたくなるのは、こういう小説。
地に足ついた安定感。そしてなんかぐっと来る。しみじみと。
江戸時代の市井の人々や下級武士の、悲喜こもごもを描いた短編集。
歴史的な事件や有名人物とは無縁の物語は、奇をてらわず、それでいて単純ではなく、深い味わいを残します。
描かれるのは、人と人の間に当たり前のように生まれる愛憎、ささやかな誇り、捨てられない過去、悔やみきれない過ち。
読者が、登場人物の苦悩や喜びを、自分自身に限りなく引き寄せて共感してしまうところに、藤沢作品の真価があります。
今まで読んだ藤沢作品の中でベストかも。
情景描写、人物描写にいかんなく発揮される手練れの筆致。
無駄のない言葉で雄弁に語られる等身大の人間ドラマ。
それをオムニバス形式の映画のように楽しめる短編集って贅沢だな。
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藤沢さんの初期の短編集。
初期の作品は特に巧さが目立つ。
解説にあった「親近感」に共感するとともに、各作品に出てくる女性が魅力的だと感じた。
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いろいろな弱さや影を抱えた人たちのもとに訪れる、人生の清冽な瞬間。
誰でも人間らしく輝く力を持っているのだ。
「潮田伝五郎置文」、「暁のひかり」、「遠方より来る」、「雪明かり」が良かった。
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【読了】短編時代小説。全体的に悲劇的な結末です。清左衛門や平四郎から藤沢時代劇が好きになったので、読み始めはちょっと重い気がしましたが、人々の心理描写はこういった悲しい話の方が引き立っているように思います。何でもない人々の生活感というか息づかいが感じられます。東京の下町、狭い路地裏のどぶ板を踏む音が聞こえるようです。東京の昔の町名で本所周辺の詳細が思い浮かぶ人は、主人公と一緒に散策できると思います。今の東京の地名は不粋でいけませんな。
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短編8作品。しっかりした内容だけど、個人的に面白みを感じない。好みの問題でしょうね。山本周五郎のファンだけど、彼の作品7割が駄作だと思っている。周五郎の傑作、秀作と比べてしまうのかな。町人物も武家物も共感出来なかった。まぁ、ほのぼのハッピーエンド好みなもんで(笑)
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時代小説に没頭すると自分の頭の中の日常会話が「それがしが、、」とか「おめえさん、」とか「、、ござるか」になってしまう。
世の中からはみ出した、およそ「勝ち組」ではない市井の人々の小さな物語たち。
心に寒々しいものを残す作品もあれば、ホッとさせられるものもある。現代”サラリーマン”の悲哀を思わせる、末端の下級武士の話には、身につまされた。
かっこいい剣豪も出てこないし、美男子女子も出てこない。藤沢作品の中ではダイナミズムは乏しいけれどなんだか読み進めてしまう短編集。
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江戸もの短編集。読んだことがあるものもあったので、再編ものてすかね。
いずれにしろ珠玉の短編揃いですので、旅や一人酒のお供に最適です。
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心が疲れた時、どうしようもない障壁に気持ちが折れそうになった時、人が帰りたくなるのが藤沢周平の世界か。
この短編集は、どれも登場人物の行く末の一歩手前で止められており、読み手に彼ら彼女たちのその後を想像させ、考えさせ、しっとりとした余韻を残す。これも作者の小説作法の妙といえる。
武家もの、市井もの合わせ、八編が収録されており、何編かは既読であったが、何度となく読み返したくなる作品ばかり。
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内容(「BOOK」データベースより)
貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。武家社会の終焉を予想する武士の慨嘆。立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末とあいまった魅惑の短編集。
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恐喝
入墨
潮田伝五郎置文
穴熊
冤罪
暁のひかり
遠方より来る
雪明かり
立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末とあいまった魅惑の短編集。
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多分全部揃っていると思っていた藤沢周平さんの文庫本。本棚を整理した時に調べたら何冊か無いの気付き、購入しました。これはその内の一冊です。
でもね、どの短篇も読んだ記憶があります。おかしいなぁと思いながら調べたら、他の出版社の本にバラバラに納められていました。
藤沢さんらしい短編集です。
どちらかと言えば、不幸に押し潰されそうな人々を描くことの多かった初期の作品群です。重く、冥く、切ない。でも、どこかに明るい兆しも有って、救われます。市井物と武家物が適度に交じり合っていて、バランス良く感じました。
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何編かは、読んだことのある話だった。
中でも「遠方より来る」が、特に良かった。
雰囲気・登場人物の人柄が好き。
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2018年、27冊目です。
8編からなる短篇集です。
この文庫本を読む前に、「冤罪」と「潮田伝五郎置文」の2編は、別の本で読んだ記憶がある。「冤罪」はつい最近読んだ記憶があるので、読み飛ばしたが、かなり前に読んだ気がする「潮田伝五郎置文」は2度読んだことになるが、主人公の下級武士の生き様に何とはなしに共感してしまうのは、何故かな? 考えが古いということ?古典的な価値観への郷愁?
いずれにの作品の主人公も世の中のわき道を歩いている人間だが、彼らの中にも人間性の断片が残っており、そこに一瞬だけ光が当たる瞬間が人生の中にはある。
それを丹念に描き出している。