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アメリカの日本改造計画 マスコミが書けない「日米論」 みんなのレビュー
- 関岡 英之 (編), イースト・プレス特別取材班 (編)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:イースト・プレス
- 発売日:2006/12/22
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紙の本
愚かなるアメリカ陰謀論
2008/05/12 00:22
30人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何度言っても分からない阿呆が日本にはまだまだ多いようなので、もう一度言う。在日アメリカ大使館のホームページに毎年掲載されている「年次改革要望書」はアメリカの日本改造計画でもなんでもない。なぜなら、あそこに出ている情報の出所はすべて日本人自身であり、アメリカによる日本改造計画と言うより、アメリカと言う虎の威を借りた日本人自身による日本改造計画であるからだ。うそだと思うなら、NHK取材班「日米の衝突 ドキュメント日米構造協議」などを紐解いてみるとよかろう。日本の政治システムは、基本的に業界団体の声を官庁の役人と、それに連なる族議員が吸い上げることを通じて形成される。そこに吸い上げられる「声」は業界団体、即ち生産者の声のみであって、政府の世話を必要としない「消費者」の声は無視される仕組みとなっている。しかし経済が成長し、日本国内で政府の庇護を必要としない「経済自立人」が増えてくると、こうした生産者中心の政治システムに不満がたまるようになる。経済自立人の基本的要求は市場原理に基づいたモノとカネの配分なのだが、こうした市場原理主義は日本の政治構造と相容れない。なぜなら市場システムを導入すると言うことは、政治家や官僚の存在の否定につながることになるからだ。それゆえ、政治家と官僚、それにぶらさがる「弱者(アホ)」及び、こうした構造の中で官僚によってブレーンウォッシュされた「自称知識人」たちは、懸命になって市場原理主義の導入を阻止しようとする。市場原理を「新自由主義」などというレッテルを貼って敵視する。しかし世の中の大半は市場原理に従って動いているのであって、これに抵抗すると言うことは、抵抗勢力が丸ごと滅ぶことを意味する。こうなってはならじと決意した一部の心ある改革派日本人の駆け込み寺が在日アメリカ大使館となっているのである。
これまでも数々の農産物ほかの商品輸入が自由化されてきた。オレンジ、牛肉、豚肉、レモン。。。これらの自由化が話題に上るたびに、日本では農業団体が「そんなことをされたら日本が滅ぶ」と叫び、御用学者がこれに唱和し、彼らのエゴをNHKが拡声器宜しく垂れ流して、これらを真に受けた「自称知識人たち」が「そうだ、そうだ、全くだ」と叫んで、消費者の声を抹殺しようとしてきたのである。あれから20年以上が立ち、牛肉の輸入もオレンジの輸入も原則自由化されたが、果たして日本の農家が滅んだか?滅んでいないじゃないか!変わったのは安くて良質の食品が日本の食卓やレストランのメニューに並ぶようになり、日本人の消費生活が豊かになったと言う冷厳なる事実だけだ。
グローバリゼーションはアメリカナイゼーションであり、アメリカのみを利するシステムだというオオウソが本書に書いてあるが、もちろんこれは完全なる誤りである。グローバリゼーションは言語に似ている。今や英語は世界共通語になったが、その発祥地たる英国が世界政治経済の中核から滑り落ちたように、いくらグローバリゼーションがアメリカ発のアイデアであり、アメリカに有利に働く仕組みではあるからといって、これがアメリカのみを利するということにはならないのである。システムの恩恵は参加者全員に等しくいきわたるものなのだ。
アメリカを悪者にさえすれば話がまとまるというのは、上司のいないところで上司の悪口を言っては溜飲を下げる出来ない駄目サラリーマンの様子に似ている。しかし世の中には下がる溜飲と下がらぬ溜飲というのがあって、アメリカを敵視しているだけで、実はアメリカの裏に、日本ではなかなか取り上げてもらえない本物の消費者の声があるということを無視していると、何時かバチを受けるのは市場原理主義を懸命になって否定し競争を拒否しぬるま湯につかり続けることを臨む「あなたじしん」ということになるのだ。そろそろこうしたステレオタイプから脱却し、物事の本質を見抜く目を養うべきときがきていることを学んだ方が良い。
関岡英之氏の著作には基本的な事実関係の誤認が多い。先日、さる講演会で本人に直接会う機会があったので満座の前で大恥を書かせてやろうと手薬煉ひいていたのだが、いざ本人が出てくると、著作の戦闘的な姿勢とは正反対の極めて臆病なおどおどした人物がそこにいた。全身から「私はあまり詳しくないんです。いじめないで下さいね。生きていくには物書きを続けていくしかないのですから」という言葉が全身から発せられていた。私は紛れもない売文業者の姿をそこに見た。そしてあまりに拍子抜けしたので、何も言わずにその場を去った。
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