紙の本
人類の全体知の変容
2007/08/25 20:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
博物学、百科事典、類書、図書分類、に関する、古今東西の本と著者の概要紹介である。各書の分類項目を見ると、その本が作られた時代の人々の人類の知の全体の捉え方が解るという方針で、各書がどのような分類項目のもとで配列されていたかを紹介している。
このように、地域別、時代順に紹介されると、おのずと人類の全体知の変容が明かになる。新書判での紹介であるから、個々についてはほんの骨格的なものでありものたりないが、入門書としては適切であろう。興味が湧けば、さらに紹介された本の一部でも断片的でも読んでみれば良い。
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タイトルを見た瞬間に“胸キュン”の一冊。森羅万象を分類し記録・保存するという、人間の叡智とそれに費やされたであろう膨大な時間と体力の結晶=博物学を一冊の新書で簡単に紹介しているとは、著者の着眼点にただ脱帽。知的好奇心をくすぐりまくる刺激的な一冊。この本を読んでいて改めて感じさせられたのは、「編集者の客観性問題」ともいえるものだ。百科全書というと一つ一つの事物を列記し、それに“客観的な”説明を加えてあるものというのがおよそイメージされるところだが、知をすべて記述しようとする試み以前にも、洋の東西を問わず物語や日記のような私的(主観的)な記述の中にも、世にも珍しいとされる動植物や鉱物などが記述されており、それらの集積もまた当時の人々(当然読み手は限られていたが)にとって百科事典的な意味合いをもっていたことである。また逆に、“客観性”を保った百科全書であっても、その構成を見ると、編者の生きた当時の、世界の分類のあり方(世界観)の反映が見て取れ、編集権を持つ個人の私的判断結果の(それは時に挑戦的な)記録でもあるということだ。それらをもって客観性が担保されていない、完成度が低いと切り捨てられるのは、あまりにも「もったいない」。テクストというものの有難みがわかる好著だ。
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分類マニアの著者による、
昔から人類が知識をどのように分類してきたかを綿々と語った一冊。
ひたすら紹介されていたので、ざっくりとしか読んでません。
企画としては魅力的だと思ったので手にとってみたのですが
・・・・とにかくひたすら紹介なので、これを面白いというのはかなり難しい気がしました。
ワタクシの興味がないだけかなぁ?
・・・・そうですね、興味のある人にとっては垂涎の一冊かも。コンパクトにまとまってるし。
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[ 内容 ]
「知る」とは分類すること。
分けられれば、それ即ち知ったことになる。
古今東西の分類術を紹介し簡単かつ画期的な知的生活術を伝授!
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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西洋・東洋の博物学・百科事典・図書分類などについて、その成立や構成を書いた本だ。プリニウス『博物誌』、リンネの性分類、ビュフォンの『一般と個別の博物子誌』、フンボルトの『コスモス』、『大戴礼記』などの構成の話が面白かった。フーコーが『言葉と物』で言及した「中国の百科事典」の話もいい。翻訳書の情報も紹介しているのは役に立つ。
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2011 11/22パワー・ブラウジング。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
ちょいと必要があって分類の歴史について調べていたときに、書架で見かけて「これだ!」と思い手に取った本。
博物誌、西洋/東洋の百科事典、図書館分類、と複数の視点から知識の分類の歴史を扱った本。
「分類」の歴史を実例を中心にざくっと紹介しているだけといえばだけ、の本なのだけど、意外にそういう本がないのでありがたかった。
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この世にあるもの・ことをどのように分類するか。
そこに知の在り方が現れる、ということは重々承知。
私はこの本にその地の営みの歴史が跡付けられているのだろう、と思ったけれど…そこまで学問的な本ではなかった。
つまり、それぞれの本の歴史的な意義が整理されていくというわけではないのだ。
取り上げられているものも、どういう基準なのか、配列もどういうルールなのかも、さっぱり見えない。
もっと店頭でしっかり見極めて買えばよかった。
もちろん、古今東西の博物学の本や百科事典の分類がどのようなものか、項目だけでも眺められたのは貴重な経験だった。
もっと深く知るモチベーションを作ってくれる本、という意義は認められそうだ。
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サブタイトルがおかしい。意味もなく"常識"とかつけちゃうヤツにロクな奴はいない。
進行がヒドい。必要性皆無なのに架空の女生徒と自分を会話させちゃっててキモイ。
章立てが悪い。分類学の本のくせに時代と地方を行ったり来たり駆け巡って全然整理されていない。
内容がイマイチ。各種文献の章立てを見て注釈とも感想ともつかないような簡単な意見を述べるだけ。
結論が終わってる。『新しい「知」の体系を構築することができるのか。それが私たち一人ひとりに与えられた課題だろう。』
って!!過去の分類の歴史の積み重ねを全く考察することなくそれか!!
コンピュータと"検索"の登場で分類学的にはこれからが面白くなるところなのにほぼ触れないとか逆に恐れ入る。
まぁ各種古典百科事典の章立てを手早く収集したい時には参照できる一冊かもではあるが…。オススメはできない。
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分類の歴史は人類の「知」の歴史である:
ただの雑学からん体系化へ…
先史時代
古代
中世
近世
現代
博物学の豊穣:
博物学のはじまり
雑学書のようなもの
プリニウスの博物誌
アリストテレスの動物分類
理解しがたい分類法
テオフラストスの大ざつばな分け方
ディオスコリデスの「薬物誌」
「分類学の父」リンネ
世紀の大博物誌
ラマルクの『動物哲学」
キュピエの「動物界」
明の時代の総結集、「本草綱目」
「庶物類纂」
フンポルト「コスモス」
西洋の百科事典の歴史をひもとく:
博物誌と交差しながらたどった別の道
アリストテレスの著作と当時の知
自由七科と六芸
イシドルスの「語源誌」
イスラム圏の知
フーゴーの学問体
バルトロマエウスの「事物の属性について」
ヴァンサン「大鏡」
トマス・アクイナスの「神の知」
ベーコンの「大革新」
「百科全書」
天工開物
「系統的百科事典」
ヘーゲル「エンチュクロペディー」
東洋の百科事典:
類書の果たした啓蒙の役割
「呂氏春秋」
「淮南子」
「爾雅」
「類書」
「太平御覧」
類緊国史
「和名類緊抄」
「塵袋」
「下学集」
「和漢三才図会」
和製類書
「婚遊笑覧」
「古事類苑」
「廣文庫」
図書分類ーあまりに広い「知」の森のなかで:
本の分類史最大の発明
アレクサンドリア図書館の「ピケナス」
「七略」
四庫全書の分類
ヴェーダ
大蔵経
修道院の蔵書
ゲスナー
ライプニッツの図書分類の特色
十進分類法
分類基準は各図書館ごと
コロン分類法
大宅壮一文庫の分類法
分類の可能性について:
自分だけの宇宙をつくるため
勉強法としての分類術
思考訓練としての分類術