投稿元:
レビューを見る
ノーカット版。
通常版より200ページも多いとのことで、作者が言うように、冗漫な部分が多いというのが率直な感想。
それでもそれを補って余りあるほどの勢いがあった。
「失った大切なものなど宿っていない」と作者は言うけれど、
私は確かにそれを感じたし、ひとりの編集者もそれを伝えたかったのではないかと思う。
この物語が世に出て、そして出会えたことを幸福に思います。
投稿元:
レビューを見る
▼装填が地味だなぁ……。▼それ以外は気に入ってます。大規模なトリックが主人公の手で解かれるのに、真相はそれとはほとんど関係ないとかいうことに(笑)。
投稿元:
レビューを見る
187までは推理のついた宗田理といったイメージを受けた。舞台や登場人物の設定、なによりヤクザと麻薬の存在が僕にそう思わせたのだろう。
ノーカット版の名の通り、宇山氏の進言で既に刊行されているものより分量が増えている。そちらは読んでいないが、概ねどの部分が削除されたかは予想できる。あえて宇山氏がこの部分を復活させた意図を測りかねる。カットされた後のものを読むことで何か見えるものがあるだろうか。
188以降は全く予期していないものだった。だがこれがあるからミステリを読むのはやめられない。187以前の真相にはたどり着いたが、ここは推理できなかった。どんでん返しを好む私はこういった段階で推理を放棄し、どんでん返しに期待する節がある。それが推理小説を読む上で自分にとっては一番楽しめる方法である。
日常の中で謎を見つけ、推理することを楽しむ私にとって、本作の探偵は自己を投影して読むにぴったりで、それがゆえに過去に自分が探偵紛いの行動で犯したいくつかの過ちを思い起こさせた。主人公が最後信子と一緒に帰れなくなるシーンを読むと、もっと詮索せずに行きたいと思うが、謎があれば推理したくなる。それが私たちの性なのだ。
投稿元:
レビューを見る
新本格ミステリの父、宇山日出臣がこよなく愛した、法月綸太郎の原点中の原点!
本書は、法月綸太郎のデビュー作「密室教室」のオリジナル版である。教室にあるべきはずの48の机と椅子がすべて消え、代りにコピイされた遺書と級友の死体だけが残されていた。しかも教室はガムテープで周到に目張りされ、密室と化していたのだ。受験校3年の工藤順也は熱狂的な探偵小説の愛好家だ。自殺か他殺か。彼が動くにつれ事件は昏迷度を深め、ついに彼がたどり着いた苦い真実とは……。本格ミステリと青春小説の美しくも哀切なキメラ。<Amazonより>
法月綸太郎の小説は哀しい。この作品でデビューしてから、「雪密室」「頼子のために」「誰彼」など次々の名作を発表していくわけだが、その長編のほとんどが悲哀に満ちている。主人公の苦悩、はかない幻想。まるで作者・法月綸太郎の苦味を代弁するような小説。人々が持っている深い悩みを本格推理の世界で書くことにより、より詳細に、内面をえぐるような人間を描き出すことができているのだと思う。読後感は決して心地よいものではないが、それでもこの世界に酔うことはできるのです。私はそんな法月綸太郎が、本当は一番好きな作家なのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
初版より大幅にページ増加されていて、トリックよりもストーリーに重きをおいた作品になっていて違った楽しみが味わえて良かった。
投稿元:
レビューを見る
この、柔らかくもビート感のある、しいて言えば村上春樹に近いもののある
新本格という迷宮に不慣れな青春小説読みにも、
やさしく、しかし美しく謎の世界へいざなう。
宇山日出臣氏が、「オリジナルの原稿に宿っていた何か大切なものが、削除の過程で失われてしまったのではないか」と残念がり、この書が世に出たことに感謝したい。
改稿版では読んでいないが、それくらい青春小説としても楽しめる作品。
失われた何か、は確実に宿っているだろう。そしてそれを受取れるだろう。
投稿元:
レビューを見る
登場人物(生徒)の大半が中二病を発症してる上に主人公が一番重症。
言いまわしも難解で回りくどく面倒なタイプなんだけど、
最後まで読むと、不思議と拒絶感がなくなる憎めないキャラクター。
二転三転する事件の展開は奇想天外で、とにかく面白かった!
投稿元:
レビューを見る
最後まで読んで、一度読んだことがあることに気がついた。その時は、どんな感想だったのだろう。きっとノーカット版ではなかったはず。今回読んだノーカット版は、ノリを合わせることが難しく感じた。年齢のせいに違いない。
投稿元:
レビューを見る
カット版は高校時代に読んでいたけれど、ノーカット版は初。コーダは説明しすぎという感じがあるけれど、本編の過剰さはこっちが好き。