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タイトルから展開が連想できるんだけど楽しく読めちゃった「片道切符」と、夢いっぱいの大発明品が主役の「ゆりかごから墓場まで」が特にお気に入り。私はやっぱり宇宙に行きたい!
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すばらしい。宇宙のように静かだが、正確で重い。そして、ロマンがたっぷりと詰まっている。驚きの傑作だと思う。いやぁ、いい作者に巡り合えてよかった。
アイデアもさることながら、異星人とのコンタクトを切に願う思いがひしひしと伝わってくる「沈黙のフライバイ」、知りたいという知的好奇心がなによりも重いと思う「轍の先にあるもの」、わかる、その気持ちわかると唸ってしまう「片道切符」、そのスーツよりも生命体の発見、その感動とはるかに大きな時間的スケール感が最高の「ゆりかごから墓場まで」、少し乗り切れないものの楽しめる「大風呂敷と蜘蛛の糸」 の短編集だ。
表題作ももちろんよかったのだが、「ゆりかごから墓場まで」も負けず劣らず最高だったなぁ。
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野尻さん2作目。
ピアピアからだけど、エンターテイメント性が高いのに、ハードSFだな。解説で、喚起力が高い表現をするって言ったけど、寧ろその終わり方のほうが喚起力高い気がする。
基となった経験+フィクションっているのが、今暮らしている日常と地続きっていうのを感じさせて、「現実的」な夢がある。
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ハードSF短編集。個々の作品にはリアリティがあり、中にはjaxaやnasaの宇宙に対する取り組みを、作品中に取り入れたものもある。宇宙に対する夢と希望にあふれた一冊。個人的には「大風呂敷と蜘蛛の糸」の話が面白かった。女学生の突拍子も無いアイディアが、あれよあれよと形になっていくのが読んでいて気持ちよかった
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みんな宇宙好きすぎ。
SFは好きなのに、宇宙にあまりロマンを感じないからか、
少し入り込めなかった。
ひとつの選択、ひとつの成果から何が生まれるか。
分からなくても、突き進んでいけるタフさはすごいと思った。
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宇宙をテーマにした5編の短編集。
タイトルになっている「沈黙のフライバイ」はかなり好き。ファーストコンタクトモノでありながら、宇宙人は出てこない。彼らが送り込んだ探査衛星とのコンタクト。実際に発表されている研究内容を元にしているって話だから、実際あと10年、20年もすれば実現するんじゃないかしら?と思うと胸が熱くなる。
作中で探査衛星が送ってきていた画像に写っている様々な人工的と思しきオブジェクトの事が気になる。
あと、最後の1編(書き下ろしだったかしら)「大風呂敷と蜘蛛の糸」は奇抜なアイディアながらも、気持ちいいストーリー。主人公の女の子の声がなぜか脳内で坂本真綾だったw なんか、台詞の言い回しとかがボクの知っている限りの坂本真綾の声にぴったりあってしまったのだよw
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・沈黙のフライバイ
エイリアンは人間の価値観では計れない。「私たち」ならそうするからと、求めるアクションを引き出すための要因が求めたリアクションを引き起こすとは限らない。
印象に残ったのはこの言葉。
「もしかして地球人って、銀河有数のおしゃべりなのかなあ」───pg.49
・轍の先にあるもの
ある探査機のボーナスミッションで得られた小惑星エロスの写真によって、ある作家がこの惑星の虜となる話。
ここに映っているのは小さな部屋ほどの世界なのだ。───pg.58
という一文に感動する。その小さな写真から様々な事実や謎が見出される。
・片道切符
爆破犯は宇宙飛行士だろと思ってたらやっぱりの展開。思い切り良すぎはしないかと思うが、夫婦同士の上長年火星を熱望して来たなら無理もないか。しかし無謀だ。
・ゆりかごから墓場まで
うーん。世知辛い。
一方は安全と人権を究極にまで優先して、一方は開発を何より優先した。どちらが正しいかなんてきっと分からないけれど、本当の開拓者となれるのは後者に違いない。
「こいつらが最初の火星入植者になるな」───pg.201
それでも人類よほど先にシアノバクテリアが到達していた。それでも、人間が良かったという言葉が前向きで良い。
・大風呂敷と蜘蛛の糸
夢があって素敵。
ところどころの、特に沈黙のフライバイにおいてサイエンス部分の説明はどうしても理解しがたかった。知識不足だ。
それでも、宇宙へひたむきに向ける眼差しを胸を夢いっぱいに膨らませて感じることの出来る短編集。
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久しぶりのSF。そして短編集。
どれも非常に面白く、また一つのアイデアからストーリーが広がる話が多い。作者もネタを思いついたときはさぞ楽しかったろうと思わせる。
解説で松浦晋也氏が述べているようにハードSFなためか、ところどころ門外漢の宇宙好き(そこまで詳しくは無いので好意をもっている、程度か)である自分には理解しがたい単語が出てきたが、SFの常でもあるし、文脈から読み取れないほどではなかったのでそれほど問題にはならなかった。
文系の人が理系の人の楽しさを覗けてお話も楽しめる、そんな本ではないだろうか。
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「ピアピア」を読んだ後にこの作品と「太陽の簒奪者」を読み忘れていることに気が付きあわてて購入。
「ピアピア」が萌え要素+SFだったのに比べるとかなりハードSF寄り、でも異星人とのファーストコンタクトと宇宙旅行へのあこがれはきっちり抑えてあってすごく面白い。でも「ピアピア」から来る人にはちょっと厳しいかも。
個人的には作者らしい「大風呂敷と蜘蛛の糸」が好きだけど、「ゆりかごから墓場まで」がかなり衝撃的でした。
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一口にSFと言っても様々なジャンルがある。私が好きなのはスペースオペラではない、宇宙を題材にしたハードSF。本書は大傑作とは言えないものの、現代技術の延長線上にある実現可能な宇宙開発を題材にした粒選りの作品集。分量的制約ゆえ、ネタ帳的な面があることは否めないが、個人的には非常に楽しい読書時間を持ち得た。特に表題作及び『ゆりかごから墓場まで』『大風呂敷と蜘蛛の糸』のラストで語られる肯定的な生命観に共感を覚える。尚、各々の作品については〈本つぶ〉参照のこと。夏は星空の季節。7月は宇宙に関して集中的に読む予定。
第5話『大風呂敷と蜘蛛の糸』。ロートレアモン伯の「手術台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会い」を思わせる、宙を漂う巨大風呂敷と空飛ぶ小さな蜘蛛との出会い。『凧によるアシストで宇宙に達する方法』という提案書を基に大学レベルの取り組みで宇宙を目指す話。大宇宙を駆ける蜘蛛の糸が夢を運ぶ。 2012年06月28日
第4話『ゆりかごから墓場まで』。排泄物や汗、吐息までを完全リサイクルする閉鎖生態系型気密服。必要なのは電力だけで、それも太陽発電で補う。このC2Gスーツを着て火星上でミッションを遂行する男と女。隕石落下の影響で遭難しかけるが、そこで偉大なる先蹤者と出会う。数十億年の時を経た再会。 2012年06月28日
第3話『片道切符』。コロンブス時代の航海に掛かる費用及び船員の死亡率と比べると有人火星探査計は遥かに安価かつ安全らしい。漂泊と定住。どちらが正しいと言う問題ではない。パイオニアが多過ぎれば社会は安定を欠き少なければ滅びる。火星行片道切符を目の前に差し出された時あなたならどうする? 2012年06月26日
第2話『轍の先にあるもの』ラストは川端裕人『夏のロケット』を思わす。但、火星有人探査と言う壮大な夢ではなく実在の小惑星エロスの蛇行模様の謎を探ると言うマニアックかつ地味目な著者の夢。ほぼ事実に即して書かれたもので2011~22年までの部分が所謂SF。軌道エレベータの話が出てくる。 2012年06月26日
第1話、表題作。ララバイ(子守唄)だと思っていたがフライバイ(接近通過)だった。氏の代表作『太陽の簒奪者』の読後コメントで「最後に異星人とのコンタクトが描かれるが個人的には最後まで理解も意思疎通も不能な存在のまま太陽系の彼方に去ってほしかった」と書いたが本作はまさに望み通りの展開。 2012年06月24日
http://booklog.jp/users/ntashima/archives/1/4150307873
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野尻 抱介 『沈黙のフライバイ』
(2007年2月・早川文庫)
「沈黙のフライバイ」
十光年離れた赤色矮星から送られてきた無数の探査機群が太陽系を通過するイベントを描く。
探査機を操る電波を解析し「赤い小人」の生態や彼らが住む星の環境を推測する場面に胸が踊る。
最後の1ページには夢が詰まっている。
「轍の先にあるもの」
2001年に小惑星探査機から送られてきた画像に触発されて書かれた作品。
実際に生まれた疑問にフィクションをつなげて20年後の解決に導く。
作者なりの解答には説得力あり。
「片道切符」
有人火星飛行計画の宇宙船の飛行士である2組の夫婦の話。
地球から打ち上げられた後、一緒に火星まで持っていくはずの帰還船が爆破される。
片道切符しかない状態でさぁどうする?って話。
宇宙旅行中の性行為に言及した文章を初めて読んだ。
映画でも無重力下では見たことないなぁ。
「ゆりかごから墓場まで」
個々が一つの閉鎖生態系を構成するC2Gスーツ。
太陽光から電力さえ得れば完全自給自足ができる寸法である。
その発想の発端からスーツの進化を描くが、最後には太陽系の生命の起源に目が向く。
C2Gスーツ、流行らない、と思う。
「大風呂敷と蜘蛛の糸」
女子大生の広げた大風呂敷は、ホントの大風呂敷だった、って話。
でかいパラグライダーで高度80キロの中間圏界面まで行ってしまおう、という計画。
この話も最後のオチが上手い。主人公が女子大生の、超前向きなハードSF。
この作品集から伝わってくるのは、野尻抱介氏の、宇宙への果てしない憧憬と、来るべき未来への確信である。
野尻さんが見据える未来は、まさに現実化するべくして、待っていてくれているのだろう。
そう思わざるをえない作品群であった。
90点(100点満点)。
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内容(「BOOK」データベースより)
アンドロメダ方面を発信源とする謎の有意信号が発見された。分析の結果、JAXAの野嶋と弥生はそれが恒星間測位システムの信号であり、異星人の探査機が地球に向かっていることを確信する―静かなるファーストコンタクトがもたらした壮大なビジョンを描く表題作、一人の女子大生の思いつきが大気圏外への道を拓く「大風呂敷と蜘蛛の糸」ほか全5篇を収録。宇宙開発の現状と真正面から斬り結んだ、野尻宇宙SFの精髄。
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野尻宇宙SFの真骨頂。短編5編。
「沈黙のフライバイ」はハードというか、実にリアルなファーストコンタクトもの。『太陽の簒奪者』の前半を思わせる、どうしようもなく彼我の文明差の大きいファーストコンタクトもの。
「轍の先にあるもの」 これまたリアルというか、まるで私小説のようなSF。作者本人も登場?
「片道切符」 火星入植について、ちょっとななめ上から観た小説。続きが読みたくなるw
「ゆりかごから墓場まで」 タイの湖から火星まで。”あるく閉鎖環境”を徹底的に駆使したあたらしい冒険譚。
「大風呂敷と蜘蛛の糸」 ふわふわの泉の泉を連想させる、明るく度胸の据わった女子大学生のユニーク過ぎる冒険。気球を使って宇宙に行く、という奇想天外なアイデアがどんどん膨らんで現実的になっていく。。。その熱いうねりのドライブ感じ。『ふわふわの泉』のノリが好きな人はきっと気に入ると思う。
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ふわふわの泉、ぴあぴあ動画の直後に。
やはり、すがすがしい夢があった。何よりも宇宙への純粋な夢であろう。
とても気分が良く、軽く、すんなり読めた。
SFは人間をシュールに描く側面があると思っているが、この人の作品はそれを気持ちよく笑い飛ばせる点が楽しいと思う。
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ハヤカワJAの40周年フェアから拾ってきた初めての野尻作品。夢とアイデアを科学技術と静かな執念で形にしていく登場人物達。また今度他の本も読んでみるべし。
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短編5編を収めた短編集です。
個人的には「ゆりかごから墓場まで」が一番楽しめました。宇宙服みたいなスーツの中で全てがまかなわれることで、究極のリサイクルが実現するってことですが、もし出来てもわたしゃご免です。人生つまんなさそうだし。