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尻P先生の短編集。
尻P先生の作品の中では地味な方かなぁ、と個人的には思います。
その中でも、「沈黙のフライバイ」「大風呂敷と蜘蛛の糸」は、
実にらしい感じだなぁと思う次第です。
個人的にポイントだと感じるのは「轍の先にあるもの」の導入部。
しれっとMUSES-Cが打ち上げられていますが、2001年の作品です。
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『退廃した未来』ではなく、『少し不思議』な世界でもなく。
テクノロジーが発達した先に実現するのではないかと思わせる、正しく『サイエンス・フィクション』な短編集です。
宇宙への憧憬、未知への挑戦、子供のような好奇心に溢れた5編の物語。
にわか宇宙熱な今時の気分にぴったりな一冊でした。
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―――アンドロメダ方面を発信源とする謎の有意信号が発見された。分析の結果、
JAXAの野嶋と弥生は異星人の探査機が地球に向かっていることを確信する―静か
なるファーストコンタクトがもたらした壮大なビジョンを描く表題作、一人の女
子大生の思いつきが大気圏外への道を拓く「大風呂敷と蜘蛛の糸」ほか全5篇を
収録。宇宙開発の現状と真正面から斬り結んだ、野尻宇宙SFの精髄。
初めて手を出した野尻抱介の宇宙SF短篇集。
端的に言って、捨て作品なしの傑作。
収録されている5篇のうち、古いものは15年前に書かれているにも関わらず、そ
のことを全く感じさせない。どころか、未来に向かう光のようなものを感じられる。
描かれているものを理解するために基礎的な地学の知識はいるにしても、ここま
で爽やかに宇宙へのロマンを謳ったSFを俺は知らない。
どの短篇も甲乙つけがたいけれど、「大風呂敷と蜘蛛の糸」が一番掴みやすいス
ケールから始まっていて想像が広がったかな。
「できっこないですか?」
これが爆弾になった。
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やっぱり表題の「沈黙のフライバイ」が好きかなー。
でも「轍の先にあるもの」のワクワク感もいい。はやぶさの動向に盛り上がって一喜一憂してた頃を思い出しました。
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日本SF大会米魂の分科会「SF小説の文章技法」で取り上げられた小説『大風呂敷と蜘蛛の糸』が収録された短編集。表題作、大風呂敷、どれも面白かった。
野尻さんの文章は本当に巧い。難しいのに、読みやすい。とても淡々としていて、するする物語が進むが、時として思わず涙が出てしまうほどに心を揺さぶられる。冗長なだけが文章ではないということを強く考えさせられる。
個人的には『轍の先にあるもの』という短編が強く心に残っている。
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火星の人( アンディ・ウィアー)系。C2G(cradle to grave)とテザーいいね、楽しいね。
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これぞ本当のSFという気がした。
伊藤計劃さんのような淡々とした作風も好き。
この中で一番好きなのが「轍の先にあるもの」。
フィリップ・K・ディックの「シビュラの目」に近い作品。
主人公にとっては偶然見つけた轍のようなものが一生を決めたといっても過言ではないと思った。
彼が作家として活躍しても、轍のようなものに対する情熱は衰えず、彼にとっては人生と轍のようなものはイコールで結んでもいいようなものなのではないのか。
私にとってはそれが本に当たるのか?
「自然は容易に正体を明かさないし、回答は新たな問いを添えるものだ。この峠を越せば、きっと新たな峠が現れる。あの小さな轍の先にあるもの――それは無限の深淵だ。」
という考え方は、ある意味正しいような気がしてきた。
私たち(黄色星人=人類)がおしゃべり好きというのには何だか納得した。
何かあったらすぐにTwitterにあげたり、何もなくてもTwitterに書き込んだり、私たちは無言とか何も情報がないことに耐えられないのではないのかと思った。
生命体のいる星があると分かれば、宗教を作ったり、政府そのものも軌道上に巨大なネオンサインを掲げたり、人類の血塗られた歴史をどう伝えるかで悩んだり…。
本当に火星に移住できたら、別に帰ってこなくてもいいのではないかと考えさせられたのは「片道切符」から。
確かに二度と行く機会はないし、これで火星行きプロジェクトは最後になるんだから(←作中描写より)、子供と永久に離れ離れになろうとも永住したいと思う気持ちはわかる。
だからと言って、爆弾犯の動機としてはまずいのではないかと思うのだが…。
最後のオチは、やっぱり人間ってこんな感じだよね、それは地球でも稼いでも変わらないよね、と謎の安心があった。
「ゆりかごから墓場まで」この話は、時代も環境も異なる三人の主観で語られる。
一人目の養殖エビ業を営むタイ人男性の発想はすごいと思った。
彼本当は頭がいいのではないだろうか。
企業ができる友人を持っているだけでも、運が良かったと思う。
二人目の脱サラした日本人男性は確かに当初の目的の使われ方でスーツを使っていると思う。
でも、確かに決定的なことを忘れていたと思う。
三人目の火星に移住したインド人男性のエピソードが一番好き。
まさかタイ人男性の思い付きが火星移住にまで発展するとは思わなかった。
発想が変えるといえば「大風呂敷と蜘蛛の糸」もそれに当たると思う。
だからと言って生身で宇宙は危険だと思うのだが…。
それから、「南極点のピアピア動画」での蜘蛛の巣のエピソードとは関係がない。
最近、人工知能が小説を書いたり、囲碁に勝ったりと、SFの世界がだんだん現実になっていくような気がしている。
「2045年問題」も「2030年問題」に変わったりして…。
私の就職先は何になるのだろうか?まさか、就職氷河期が来てニートとかにならないだろうか。
でも、政府の手厚い支援のおかげで栗本薫さんの「レダ」みたいな生活ができるようになるのか…。
と、ふと考え��みたり。
ちなみに、イギリスの福祉スローガンだった、「ゆりかごから墓場まで」は英語だと「cradle to grave」らしいが、何かものすごいかっこいい。
↑ヘタリア知識で申し訳ないが。
長文駄文失礼しました。
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専門用語の多いハードSFは頭の固い中年には読むのもハード。スケール大きく、どちらかといえば長編向きでは。
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今自分が生きている現在。それと地続きになっているかのような空想。そこの境界線がふわっとしているSFってたまらないです。「轍の先にあるもの」がまさにそれ。たぶん、作者自身のわくわくが止まらなくて、これ書いたんだと思う。
いや、フィクションだと気づくときは、早々に訪れるんだけどもそこまでがね。
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短編集。SF。ハードSF。
難しめの内容で地味な印象も受けたが、読み進めていくと、どの作品にも大きな希望に溢れたビジョンがある。
既読の『南極点のピアピア動画』『ふわふわの泉』も含め、著者の作品の特徴は”明るい未来”か。
特に好きな作品は以下2作品。
「片道切符」火星探査。帰ってくる必要はあるのか、というテーマらしい。解説にある通り、楽観的な決断が清々しい。好き。
「ゆりかごから墓場まで」タイの池で始まり、火星まで。閉鎖生態系をつくるスーツ。終盤はプチ『火星の人』ぽいかも。良作。
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いやー、良いですね!端正で引き締まった無駄のなさ、それでいて躍動感溢れる、まさに正調ハードSF。
リアルに現在進行形で研究されている科学技術をベースに想像力の翼を広げた、「SF」という言葉を聞いて喚起されるイメージそのままの短編集。シンプルな文体の行間から立ち現れるビジョンの鮮烈さがハンパないです。
ビジョンの喚起力を優先させた故か、物語としては尻切れトンボな話が、正直多いです。「えっ、そこで終わり?」というところでブツッと終わる感じ、起承転結の「転」で放り出されます。が、その放り出され方が、心底ポジティブなその先の展開を暗示させる形で、とても心地良いヽ( ´ー`)ノラノベ風であまり深みのない人物描写も含めて(※鴨注:決して貶しているわけでなく、それ以外の要素で十分勝負できるのがSFという文学ジャンルの強みです)、実に王道ハードSF。アイディア一本勝負、余計な装飾は必要ないタイプの作品群ですね。SF者として、非常にスッキリと読了できました。
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159:アマゾンでお勧めされていたので購入。思っていたよりずっとずっと面白かったです。陳腐な言い方をすればリアルなSF、ということになるのでしょう。作中に登場するアイテムは、どれも実現可能に思えるものばかり。つまり、物語をぐっと身近に感じられるというわけで。表題作、フライバイのシーンを想像するだけでうっとり。
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もしかすると近い将来にはファンタジーでなくなるかもしれない宇宙関連の短編集5篇。
宇宙関連の開発にも、宇宙飛行士になることもものすごい労力が必要なんだろうけども、
そういった気負いは一切感じることなく気軽に読める作品でした。
【沈黙のフライバイ】
宇宙人との交信を目指していたら、相手も同じことを考えていたようで、向こうからやってきたお話。
【轍の先にあるもの】
エロスという星の写真に写った"砂上にある蛇行した溝"に魅せられた作家が実物をその目で見るまでの話。
実際の白黒写真付き。
ラストの「自家用宇宙船を買うために探検記を書いてベストセラーにする」というのが好き。
【片道切符】
火星探査のための4人の宇宙飛行士が、火星を諦めるか否かを決断するお話。
「いけいけやっちまえ!」
【ゆりかごから墓場まで】
着れば太陽光をもとに循環してそれだけで生きていけるようになる宇宙服の話。
【大風呂敷と蜘蛛の糸】
宇宙に到達するために下駄を履かせる発想を実現する話。
凧を使ってギリギリまで上空まで上がって、そこから打ち上げるという発想が面白かった。
現実には今の所存在しない軽くて丈夫な素材を使っている点がファンタジーなのかな?
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少しだけ先の未来や現代の宇宙開発をテーマにしたSF短編が5つ入っています。最後の「大風呂敷と蜘蛛の糸」は、女子大生が宇宙凧で成層圏に行くお話ですが、野尻作品ならではの感じで好きです。?
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嫌な気持ちにならず読めていいです。
収録作品一覧:
沈黙のフライバイ
轍の先にあるもの
片道切符
ゆりかごから墓場まで
大風呂敷と蜘蛛の糸