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何気なくタイトルに惹かれて手にした本だったのだけれど、予想以上に深く面白い小説だった。
中島京子という人も初めて知ったのだけれど他にも幾つか書いているようなので是非読んでみたい。
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面白かったです。
自分の中で、こういう小説をどう分類すればいいのかはわかりませんが。分類する必要もないけどね。
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日本現代史でタイトルとか名前は誰でも聞いたことあり、と思われる田山花袋の『蒲団』を研究するアメリカ人文学者デイブ・マッコーリー(息子ありのバツいちのアメリカ人)、デイブの教え子で愛人の日系アメリカ人エミ・クラカワ、エミの母親の親族で東京鶉町で戦後から蕎麦屋をやっていた明治生まれの老人ウメキチ、ウメキチの息子で蕎麦屋を外資系サンドイッチチェーン店に商売換えした二代目タツゾウ、画家を目指しつつ絵では喰えないので介護ヘルパーとしてウメキチのところに通ってくるイズミ、イズミが一緒に暮らしているケンちゃんことハナエ、などなどの人物が、アメリカと日本、花袋やウメキチの時代と現代を行きつ戻りつしながら、とても簡単には説明できないのですが、なんとなく遠巻きに絡まりあってつながって円を描いているような、そんな独特なお話でした。
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田山花袋『蒲団』の打ち直し作品。物語と、デイブマッコリーによる『蒲団』の打ち直しが綺麗にリンクしていて面白い。一気に読める。誰の声も聞こうとしなかった竹中時雄とは違い、様々な人物の声に耳を傾ける(傾けられる様になった)デイブ。登場人物の名がカタカナな事や、人物設定に込められた謎も気になる。
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田山花袋の「蒲団」を、現代版にした話。
デイブがキュートな女性たちに翻弄されますw
女性に苛まれる男性って、可愛いですね♪
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なんとも近代的な名前をつけてもらったものだ。
美穂。
美しい、実り。
原作では名前さえ与えられなかった女性が本作では主人公の座を射止め、物語を語りはじめた。
田山花袋の『蒲団』を題材にとって瑞々しい女たちの姿が動き始める。
自分の夫が奔放な女弟子に翻弄される姿を悔しい思いで見つめつつ
生活が荒れないようにあたりに目を配る主婦の目。
華やかな女弟子の姿に母としての日常に追われ「女」を捨てている、と目が覚める瞬間。
その気づきが豊かな実りをもたらすのだろう。
「女」なだけでは身につけられない母の豊かさ。
永遠の男の子である夫の目には気づかれないかもしれないが、女は何食わぬ顔でと変化を遂げるのだ。
女弟子には到達できない豊かさであるかもしれない。
ふてぶてしさと豊穣。
明治の女の強さと平成の女の肝の太さ。
男は幻惑させられる。
なぜなら彼は女の一面しか見ないから。
一面にしか執着できないから。
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家族のペースメーカー埋め込み手術の日に、病院の売店で見つけた。どこかで作者名と書評を読んだ気がしたのだが、何をどう書いてあったかさっぱり覚えていなかった。ただ、田山花袋の「布団」といえば、日本文学を専攻した人間には常識。一応、元の小説も図書館で読んだこともあった。本当のことを言うと、高1のときの国語の先生の「出て行った女の弟子の布団の残り香を嗅ぐ」という、先生自身も「え?」と思った話が印象に残っていたのだけど・・。
で、最終的に、手術の待ち時間に読む気になったのは、冒頭に出てくる蕎麦屋のじいさんが「ペースメーカーで思いがけず長生きをした」とかいう部分を読んだから・・。親戚に蕎麦屋がいることも縁を感じた。
ただ、慣れるまではちょっと読みづらかった。映画のプロローグのように・・。それが、終盤は走るようにして読み終えた。あまりにいろいろなものがはめ込まれていたもので、何度か前のページをめくって確認したほどだ。
この作家の作品、我が家にもう一冊ある。読むのが楽しみだ。
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タイトルからもおわかりのように、田山花袋の〝蒲団〟を本歌取りした長編小説です。
感想を簡潔に述べるとすれば〝おもしろかったぁぁぁ〟のひと言に尽きます。
主人公はアメリカの大学で教鞭をふるう日本文学研究者。女性を巡る彼の私生活と、彼が〝蒲団の打ち直し〟と題して、女性視点で焼き直して書き上げた小説。そして、東京の下町に暮す百歳になろうとする老人とその周辺の人々・・・これら3つの物語が交錯しながら、ストーリーは展開していきます。
ただ面白いというのではなく、人が生きていく上で背負わなければならない重荷、その過程で深く刻み込まれる心の傷痕などもしっかり描かれていて、断片的に語られる老人の過去などは、胸に突き刺さるものがありますよ。
日本文学史に残る花袋の〝蒲団〟ですが、そのタイトルだけ知っていて読んだことないという人でも、中島京子さんの〝FUTON〟には、すんなり入り込めると思います。また、花袋の〝蒲団〟を理解する上でも、〝蒲団の打ち直し〟は、良いサブテキストになるのではないでしょうか?
デビュー作とは思えぬほどの面白さでしたぁ。
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田山花袋の『蒲団』を下敷きにした小説。元の話が情けない男の話だっただけに、女性が咀嚼してくれると面白いだろうなと思って読んで、やっぱり面白かった。
ただ、デイブはあんまり情けなくないし、女性の成長とかにもスポットが当たってるから味付けはかなり違う。露悪的な要素はあまりないし。
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”中年の小説家が女弟子の蒲団に顔をうずめて泣く”田山花袋の
「蒲団」を奥さん目線で打ち直しつつ、現代版の「FUTON」を描いたところが、ナイスアイディア。
全く、男ってのは若い女のカラダに弱い。
特に中年男が若い女に翻弄されてオロオロするのは、
全時代、全世界共通らしい。
若い女はソコに付けこみ、世渡りしていく。
結局、人生は”若気の至り”の延長線にあり、
大人や他人がどうこう言うだけ、ヤボなんだな。
登場人物の中では画家志望のイズミが好き。
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日系の女学生エミに翻弄される中年のアメリカ人教授デイブの葛藤を軸に、挿入される作中作『蒲団の打ち直し』、そこにエミの曾祖父ウメキチの回想も入り、どのひとつをとってもひとつの小説でいけそうな物語。
『蒲団の打ち直し』は田山花袋の『蒲団』のremixで、細君の視点から描かれている。デイブとエミの話はデイブ側からの視点なので、この異なった視点の当て方が物語に深みを与えている。
すごい面白い。
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打ち直しの部分はおもしろいけど、現代の部分が私には刺さりませんでした。特に登場人物の多くその人たちの言動に無駄が多い気分。
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これがデビュー作ってすご過ぎます。パラレルで進行する二つの話も面白いし、絶妙に対比しているし、素晴らしい出来栄えだと思います。
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田山花袋って名前は知っていたけど、「何者?」と思っていました。
この本には田山花袋の「蒲団」を研究しているデーブのレジュメが各所に登場し、それが物語りの下地でもあります。
田山花袋の「蒲団」はこの本に出会わなくては一生読まなかったと思うし、いいきっかけになったと思う。
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田山花袋を研究しているデイブは
学会を理由に年下の恋人エミを追って日本まで来てしまった。
しかしエミにはユウキという同年代の恋人もいた。
一方エミの曽祖父であるウメキチはヘルパーのイズミに助けてもらいつつ
戦時中一緒に逃げたツタ子を思い出してやまない。
「布団の打ち直し」に沿って描かれた三角関係たち。
カバー装画:武藤良子 カバーデザイン:藤田知子
恋愛矢印がいろいろな方向を向いていて結構複雑な関係なのに
すんなりと人物図が掴めます。
キャラとしてはイズミが一番好きかなぁ。
ざっくりしているようでちゃんと考えているところとか。
解説にもあったけれど本当に女が強い物語です。
『布団』を読んだらもっと楽しめるのかも。