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これまでのイシグロ作品比べて長さ的にも内容的にも格段に読みにくく、つかみにくかったにもかかわらず、読後は本当にいろいろと考えさせられた。読書会があれば参加して見たいと初めて思った作品だった。不毛なコミュニケーション、過度な要求、ゆがんだ空間と時間、それが最後の電気技師で初めて噛み合う。しかし、ライダーは全然完成されていかない。また、本作は無名の登場人物が象徴的な意味を持っているようだ。
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「私を離さないで」は良かったが、本作はいまいち。
文庫で900ページを超える、冗長で、まるで悪夢を見ているような作品。
このシュールな作品を、どうとらえるかは、ひとそれぞれだが、個人的には時間とお金の無駄。
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カフカとかがお好きな方なら、きっとお気に召すに違いない、良い不条理具合(?)です。
逆に、整合性を求める方には不向きなのかもしれませんが・・・。
939ページもある大作ですが、不思議と、読んでいてイメージが映像化されて浮かびやすいです。
どことなく、グリーナウェイの映画を観ているような印象を受けます。
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2014.8.7 カズオ・イシグロで唯一読めていないこの作品、この度三度目?の挑戦。
2014.8.11夕方 家で読んでるとすぐに寝てしまう。まだ290ページ。あんまり手強いので、基本方針として喫茶店で読むことにした。近所の喫茶店との相性はすこぶるいい感じ。
2014.8.12 自宅安静を言い渡されたため外出できず。そのおかげでちょっとはかどった。P506まで。残り半分きった。ちょっと慣れてきたかも。リズムつかめたかも。一気に読んでしまいたい。
2014.8.14早朝 昨日300Pちょい読んだので、ようやく読了となる。最後まである意味、裏切らない不条理。物語も半分を過ぎたあたりから、整合性のなさや、登場人物・世界観の歪さがかえって面白く感じられるようになった。このへんで覚めるよなあと思っても、最後まで覚めない夢のような話。保坂さんの『未明の闘争』をちょっと思い出す。カフカっぽい感じなのかな。
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「わたしを離さないで」や「日の名残り」路線を期待していた私は思い切り肩透かしを食らいました ^^
巻き込まれ型のスラプスティックなんですよ~!
まー作者にしてみれば同じ路線ばかり期待されるのは
芸域の狭さを言われているようで不本意なのかもしれませんが・・・好きなんですけどー、こういうのも~この路線ならもっと徹底している作家が何人もいるのでイシグロが頑張らなくても・・・
ポール・ラドニックの「これいただくわ」とか、イーヴリン・ウォーの「大転落/ポール・ペニフェザーの冒険」とか、ヴォネガット辺りがお好きな人にオススメです。
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時間も歪み、空間も歪み、常にズレがある世界で起きる出来事は、現実なのか主人公ライダーが見ている長い長い悪夢なのか…
モヤモヤとしたものに包まれているような感覚になりました。
そして、ここまで登場人物達の言動にイラつかされる小説も珍しい。
主人公に次々と利己的な頼みごとや相談を持ちかける人、何か起きても永遠と言い訳するだけの人…
そして何よりライダーの身勝手さ、我儘さにイライラ。
もう、ライダーに関しては最後の方はイラつきを通り越し「またか」という呆れが勝りましたが。
でも、どんなにイラっとさせられても、途中で読むのを止めようとは思わない、むしろ早く続きが読みたいと思う小説でした。
好き嫌いは大きく分かれると思いますが、私は面白かったし読んで良かったです♪
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丁寧な物言いなのに無遠慮な、愚かしい悩みを延々と聞かされる。昔だったらつまらない、と読めなかっただろう。愚かしい悩みが他人事でなくなってくる歳だから読めたと思う。
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カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』が面白いと話題なので読んでみようかと思ったのだが、そう言えば『充たされざる者』が未読だったのを思い出して、読んでみた。
時間も空間も歪んだ世界で、登場人物は何重にも重なり、悪夢のような(というか悪夢そのものの)不条理が延々と続くが、個々のエピソードが魅力的でグイグイと読ませる。大きな話の筋は世界的ピアニストのライダーが「町の命運は音楽藝術の解釈次第にかかっている」と信じられている町に招かれて演奏と講演を行うというストーリー。その枝葉として、やがて彼の義父であることが明らかになるポーターのグスタフとその娘ゾフィーとの不条理な関係、その関係と相似する名指揮者グロツキーとその元妻コリンズの関係、その関係と反比例する平凡な(しかし自己欺瞞の権化のような)ホテル支配人ハフマンとその婦人との関係、ライダーの幼少期と重なるゾフィーの息子ボリス、ライダーの青年期と重なるハフマンの息子シュテファンなどが描かれる。場面転換のたびに「あー、そちらに気を取られて本線を外れてはいけない」と思いながらも、話は枝葉から枝葉へと迷い込んでいく。
長らくカズオ・イシグロで一番好きだったのは『わたしたちが孤児だったころ』だったのだが、『充たされざる者』はそれを上回るかもしれない。願わくば原著で再読してみたいところだが、長いからなぁ…。
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こんな本は今まで読んだことはないし、技巧も文学としてもすごいのだけど、タイトルの通りすぎて、好みで言えば好きとは言えない。。。
とにかく、卵とベーコン、ソーセージ、トマトにコールドミートや熱々のコーヒー、焼きたてのクロワッサンやロールパンと言ったたっぷりの朝ごはん食べよう、と思った。
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不思議と読み進めてしまう
非常に独特で、つかめそうでつかめないような、笑えるような笑っちゃいけないような、ぬるぬるした小説。
これは誰もが見る「夢」の共通言語で描いたというインタビューを見て、その描写のあまりの巧みさに気付いた。
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登場人物の会話が多い。脈絡のない場面転換。移動にも違和感が残る。夕べ見た夢をたくさんつなげて、言葉で表現するとこんな感じになるかも。
ボヤーッとした世界の霧の中をやっと歩み終えた。
チョット疲れた。
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深い動揺と混乱を得た。
夜見る夢をこんなにも緻密に具現化したものは見たことがない。恐ろしい。悪夢である。
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すべてが夢の中の話なのかと思うほど、空中に浮かんだように感じる文庫本900ページを超える作品。それなりに話は展開されていくのであきはしないが、もう一度読み返そうとは思えない。イシグロさんの小説の中では散漫だなと思ってしまう一冊。
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この作家は、読者に霧のなかを歩かせる。名声高いピアニスト、ある街のリサイタルに招かれるが、住民の厄介ごとに巻きこまれ....。テーマは家族愛だろうか。最後救いあるけど、仕事人間のお父さんへのペーソスを感じる。どこの国、時代、家庭にもありそうな不条理。読み終えるのが難渋で、再読はしたくない。
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これまでのイシグロ作品と一線を画す非常に不思議な小説。読んでも読んでもつながらない、なにか少しずつずれていく、現実もしくは非現実。自分の考えの小さなサイクルが帰ってこない、ボールペンの試し書きのような思考と行動。なんでしょう、理解できないものは永遠に平行線になる、といったような不寛容を感じされる、まさに”充たされざる者”の物語。そういう解釈にたどり着くラストになぜかすっと入る読後感。