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ある町の危機を救うために、世界的なピアニストがスピーチと演奏をしにくる話。約950ページの小説はさすがに長かった。かなり分厚い本だったが、わざわざ上下巻にわけるほどの小説ではないというのが個人的な意見。本当に何を伝えたかった作品なんだろう。しっかりとしたオチはないというのがイジグロの特徴なのだろうが、最後の最後にどうしても期待してしまう。しかし、案の定何もなく終わってしまう。まぁ、とにかく、出てくる人物ひとり一人が、ドラクエの敵のように、主人公の行く手を阻むというRPGのような作品だった。
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驚く程に読み進まない小説でした笑。通勤時に進めるものの、時間が出来ても余り手に取りたいとは思えず多分一月位かかって読了。文庫で900ページ越えはシンドい。
私こういうの知ってます。nightmareです。経験あります。今まで何度も見た夢なのだが、就職決まってあとは卒業だけってタイミングで必須教科を取りこぼしてるのに気づくんです。この小説を読んでてこのnightmareを何度も思い出したことか。
たった数日間の話が900ページ強の中で微に至り細に穿ちで綿々と綴られていくのですが、著名(?)なピアニストのライダーがアチコチで街の住人に振り回される様は相当なストレスを読者に与えます、多分それをイシグロさん狙ってましたかね。。。
いやそれでも最後まで読んでしまうのは私がどっぷりとイシグロ沼にハマっているからなのでしょう。イシグロバージンさんは決してこの小説から初めないで頂きたい。私はこれを読み、益々他の作品も読みたくなる沼(笑)。
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最後のなにも解決してないのに知らない下層階級の人に泣きついて朝食を食べるラストが気持ち悪すぎて変な夢を見た。
でも読んだ本に左右されて眠れなくなるほど心に色が付いていない部分があったんだと知って嬉しくなる。ずっと子どものまま小さいものも大きく感じたい。
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こんなにも読みながらイライラした小説は初めてだ。ただイライラするというのは、面白くないということではないのだ。主人公は自分の予定も訪れた街の地理も把握しないままさまよい歩き、出会った人たちからの不躾な頼み事を断ることもできずドタキャンする。自己弁護に満ちた語りが何ページにもわたり、悪夢のような迷宮を通りぬけると、最後にはこっけいな悲劇に転じる。主人公は目的だったリサイタルすらせずに街を去ろうとしている。カズオ・イシグロらしい、皮肉に満ちた人生の迷宮のような作品だ。
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900ページ越えの分厚い物語は、高名なピアニストが演奏のために町に着いたところから始まる。出会った人々から次々と持ち込まれる奇妙な依頼に振り回され続ける物語。ドアを開けると全く別の空間に繋がっていたり、人の記憶が自分の記憶にすり替わっていたり、突然に生み出される過去の重大な記憶など時系列も不安定で、状況を捉えにくい。はじめはとても読みにくかったが、すぐにこれは夢の中なのだと気付き、不穏な空気に溢れる不思議な世界を堪能しました。巻き込まれたできごとの周りでの悪戦苦闘が延々と続き、何かがスッキリと解決する場面は一つもなく、もちろんハッピーエンドとかバットエンドとか単純に括れず、捉え方によっては悪夢とも言えなくはないが、それでもほのかな未来への希望が感じられる小説でした。夢の中も現実の人生も同じようなものなのも。
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カズオ・イシグロの4作目。ハヤカワ文庫で948P(厚いし重い。物理的に読みづらくて手こずった)。
不条理ゆえか、焦燥から喪失、郷愁‥‥いろいろな感情がよぎった。今までにない不思議な読後感。
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230708*読了
900ページ以上の大作。読書好き、カズオ・イシグロファンとしては嬉しい。
冒険ものでもミステリーでもないのに、よくこんなにたっぷりとこのストーリーを書けたものだと思う。
架空の街があり、そこで公演を行うためにやってきた有名ピアニスト、ライダー。
この街にとっても転機となる重要なイベントに招かれ、大役を果たすつもりでいるのに、ホテルの支配人、ポーター、ポーターの娘とその息子、街の議員たち、再起を果たそうとする指揮者、そのかつての妻…とにかくたくさんの人の願望に巻き込まれてしまう。
現実と夢、現在と過去が、ごちゃごちゃと混ぜ合わさっているような、なんとも夢想的な流れに捉われ続けるライダー氏。
いったい何がリアルなのか。リアルなんてものは存在しなくて、全てが夢なのか。分からない。その分からなさがおもしろい。
ともすると、飽きてしまうような展開なのに、早く続きを読みたくなる。この力こそが、カズオ・イシグロさんなのだと強く思う。
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面白かったの一言に尽きる。ページが進めば進むほど引き込まれていった。不思議な雰囲気が癖になる。カズオ・イシグロ作品の中でいちばん好きかも。