紙の本
<ソース、キボンヌ?>というより<思考能力は?>の方が大事!
2009/04/23 13:42
7人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:T.コージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
●バブルの当事者であり立役者の証言
「誰が言った? どこにあった?」と口を尖らせてソースを問う子供みたいに、ネットでは自らの思考能力の無さに応じてソースへのオーダーが強度を増すのかもしれない。問題はソースのデータベースの小ささであり、さらには思考能力の無さがソースへの問いで帳消しになるかのような矮小なネットの倫理かもしれないのに、だ!?
『下流社会』以来ネットの書評では反発されることが多い著者だが、現実のレスポンスではそういった否定的な反応は思ったよりずっと少なかったらしい。
「サーチエンジンで引っ掛かることだけが情報ではない」(『「ひきこもり国家」日本』高城剛)という真っ当で今こそ必要な問題意識のある人には絶対にオススメの一冊が本書。
ここしばらく80年代ものが話題だったりしたが、2次資料のパッチだったり、手堅くまとめてあっても内容的にはコピペだったりする書籍も少なくない。80年代をリアルに知るには、80年代を生きた人間の証言というものがベストなのは異論が無いだろう。
オタクからメジャーあるいは商業路線にのったのが泉麻人であり秋元康だが、他方でオタクをオタクらしいジャンルのまま商業ベースにのせていった現場にいたのが大塚英志だ。
そして一般消費にいちばん影響をあたえた西武・パルコ系統のカルチャーを演出したのが三浦や上野だったのだ。
●バブル経済をバックアップした京都学派!
京都学派が主導しバックアップする事業体があり、上野千鶴子はそこでマーケティングの仕事を請け負いやがて社会学者となったいきさつや、セゾンの堤清二とパルコの増田通二という両雄が高度消費社会の最先端をリードし、浅田彰が読者であったことを表明するパルコ発行のサブカル本?「ビックリハウス」などの、当時の情況と舞台裏が当事者によって語られている必読の資料だ。失われた10年以前のバブル経済前後の仕掛人たちの証言がここにある。研究や調査での資料読みとは違うリアルな記録といえるだろう。
同時期にロックを聴くという最大公約数以外の何も持たずにミニコミ「ロッキンオン」をスタートした渋谷陽一のようなまったく在野の、思想も方法も自由でロックなヤツもいた。
アメリカのカウンターカルチャーを紹介する唯一のメディアだった「宝島」は、やがてその路線の完全な商業化版として「ポパイ」「ホット・ドッグ・プレス」を生んだといえる。いわゆるカタログ雑誌の登場であり、マニュアル本の始まりだった。ここで注意したいのはカタログ本からマニュアル本へのシフトが短期間で起っていることだ。
カタログは消費者が選択するものであり、消費者には選択能力が要求される。
マニュアルはある所作をめぐる物語であり、消費者には物語への没入が要求される。
コスプレが異なる外面や形態による物語への没入であるのと同じで、主体に要求されるのは物語への参入や没入であって自由を前提とした主体的な選択ではない。そこには選択の余裕などひとつも無いのだ。
そして日本人は自由な選択が苦手らしい。得意なのはコスプレに多重人格・・・TPOによって所作を換え、最適化されたパフォーマンスで場をリードし、さらにそれらを形式化して効率よく伝達継承していくことだろう。高度な抽象化と伝播、再構成のテクニックが日本の文化でありあらゆる方面でのポテンシャルなのだ。
簡単にいえば日本人は<自由(に選ぶこと)が不得意>で、与えられたものに<成りきるようなこと>が得意だということだ。
しかし、自由への希求を歴史としてきた欧米をメインとした海外とのコミュニケーション(あらゆる交流、交渉、取り引きなど)が日常的になってきた現在、ホントに日本人必要なのは自由に考え自在に選択することだろう。
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やっぱ「下流社会」も読まなきゃだめかなー。でも思ったより三浦氏好印象。世代別に論じられているとき、他の世代のとこはフーンと読んでたんだけど、自分達のとこになったら「自分が誰かから否定的な評価をされることに対する耐性が低い」(ぎっくう!)みたいなwそれから、身近な格差を感じているときだったのでこたえた。
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姥皮 娘が婆さんの皮を被ることで、女の世界で女が生き延びるスキルの一つ。他人より卓越した美貌や成績を自分の資源として持っている女は、女の世界では笑われキャラを演じなきゃ行けない。 小倉知加子の「結婚の条件」女性の3層化 階層の中で結婚の条件が違う、生存(低) 依存 保存(高) 階層内婚の傾向が強まっている。 下流若者 コミュニケーション力が弱いので海外旅行に行かなくなった。早大の探検部は存亡の危機にある。最近の若い子はノイズの発生をすごくいやがる。「負け犬女」と「下流男」おうちのソファーでまったり。コンビにファミレス世代 打たれ弱い、ストレス耐性が著しく低い。あ
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2007.8.23読了。
格差とか下流とか、けっこう気になるのです。
でも、この本は20代の私が読んでもあまり面白くないかも。もうちょっと上の年代だったり、団塊の世代向けなのかな。為にはなりました。
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>たとえば、親が子どもに"絶対東大出て医者になれ"と押し付けるのはおかしいという。しかし、逆に親が子どもに"自分らしく生きていけばいいじゃないか"というのも、同様に押し付けになる可能性がありますね。
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上野千鶴子さんと「下流社会」の著者・三浦展さんの対談集。上野さんのしゃべり口調が面白いです。結構言葉汚いんですよ。私もそうなのでちょっとウレシい。話の内容は、お互い「え、そうじゃなくてー」と思うことを適当に迎合しないところがイイですね。(もっとも学者たるもの迎合しないか。)
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多少二人の意見がかみ合ってない感じはするけれど、以前からの知り合いだったという二人に、上野千鶴子さんのあらたな魅力発見です
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「私自身が団塊世代だからよくわかりますが、歴史的に言えば、団塊世代は日本経済全体が上げ潮だったから、個人個人が努力しなくても、ひとかたまりの集団として階層が上昇しただけだと思いますね。」「今あるものを失う不安を持っている層の方が、防衛的で保守的になる傾向があります。失うものが何もなくて得るものばかりだと、ノーテンキに革新的になれる。団塊世代は高度成長期に青春期を過ごしたから、時間が経てば世の中は、今よりよくなるだろうという根拠のない信念がある。ところが今の若者は、ものごころついたときから長きに渡る不況期の中で思春期を過ごしてきたから、時間が経てば事態は今より悪くなるという不安を持っています」(上野P20-21)
「『ラク』という記号に加えて、女性のファッションが異性訴求から女性間の同性訴求にシフト→『女子校文化』」(上野P31)
「スカートの下にパンツ(かまやつ女・はにわファッション)→私はこんなに女性性の記号を身にまとっているけど、『ラク』という価値は手放さないし、女であることも捨てないよ。だけど、それはあんたのためじゃねえよ」(上野P35)
「ヴェブレンの『衒示的消費』を待つまでもなく、『消費』は登場したときからパフォーマティブな行為。何者でもない自分が、何かモノを買った、そのときのその一瞬だけ『大衆消費社会の神殿』における女王様。」(上野P51)
北田・大塚について(P83−84)
「団塊世代の4年生大学進学率は男性で22%、全体で約5%、平均して約14%。首都圏かどうかでも大きな違い。しかも学生の間でも全共闘運動に参加したのはシンパも含めて約20%。反全共闘運動も同じく20%。残りの60%は全学封鎖で授業がなくなるとバイトや旅行に出かけたノンポリ学生だったというデータ」(上野P87)
橋爪「消費という行動は貨幣を投票用紙として商品に投票するのと同じ行為だ」(P155)
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上野千鶴子共著ということで新刊を購入。
対談なので読みやすく、わかりやすい。
が、上野千鶴子が「格差社会」をどうとらえているか、
ということを知りたかった私にとっては、
ちょっと期待はずれの感があった。
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いろいろ考えさせられることがいっぱいな本。
団塊の世代は自分が努力して階層が上昇したのではなく、今まさに上昇気流に乗ろうとしている時代の波に乗っかっただけ、という部分にはそうか!と納得させれるところもあり、自分の世代を思うと複雑な気分になった。
自分がワイフワークとして考えていきたかったのは、貧困・階層・女性・家族・結婚についてなんだなと改めて気づいた。
他の関連本もぜひ読んでみなくては。
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時代に乗っかって成長したオトーサン達の勘違いが悲しい。
http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-679.html
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パルコで「アクロス」の編集長をしていた経歴を持つ三浦さんとの対談形式本。団塊、団塊ジュニア世代の消費の仕方から今の僕らの世代の消費動向まで網羅して議論されている。僕らの世代の消費はこれを買ったらいいというような画一的な消費は減ってきていて、ロングテール的な消費に移行しているように思う。だからこそ消費自体が自分の自己定義になることから、他の誰でもない「わたし」に比重が移っていて、マーケティング的にも難しいのかなぁ。
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下流社会がわりと面白そうなので読みたくなった。
団塊の世代とか団塊ジュニアがピンと来ないわたしよりは上の世代向きかも。
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対談によって現代社会風土を社会学的に明らかにする。
お二人の論調が明快で、共感を生む。格差の背景にあるものは、捉え方によって随分と変わってくる。
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三浦さんの『下流社会』がベストセラーになってそうたたない頃に出たのだろう。両者の対談をまとめた本。基本的には同じ方向性の2人なので、特に意見が対立することもなくスイスイ読める。同世代間の格差というより、上げ調子のなかでのうのうと成長をむさぼり経済的にけっこう豊かな団塊の世代と、非正規だったり成長の見込めない状況にある団塊ジュニア世代という、世代間格差を話題にしている。
以前、三浦さんの本を1冊だけ読んだことがあって、そのときは粗製感があってあまりよくないと思ったんだけど、この本の三浦氏はなかなか冴えている感じ。しかし、それを軽く凌駕しているのが10歳年上の対談相手・上野さんだ。どこか論であったり、セオリーであったり、常識に寄り添っている感のある三浦さんに比べ、上野さんはそんなものによらず論を張っている。