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<エロマンガ島でエロ漫画を読んでくる……?およそありえない取材に出向いた編集者たちの、実話をもとにした南国小説。温かくて、おかしくて、なのに切ない二泊三日。表題作ほか、初のSF小説、奇想天外なゴルフ小説、官能小説に珠玉の書き下ろし新作「青色LED」も加えた異色作品集!>
表題作は「オトナファミ通」に連載されていたものだそうで、ゲームファンはにやりとしてしまうネタあり。それが長嶋さんの作品の雰囲気にマッチしていて楽しめた。
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6作品を収めた短編集。
表題作は、エロマンガ島にいってエロ漫画を読む、という雑誌の企画にのった3人の男の物語。タイトル的に「笑える」お話かと思いきや、なんとも情けない悲哀に満ちた物語なのでした。
予約録画を気にする男に象徴されるように、非日常を求めても日常から脱しきれない、さえない男たちの行動はユーモラスであるとともにとても切なくてグッときます。そしてやっぱ笑えます。
だらだらとした日常を描く技量に優れた著者が描く非日常の世界は、日常的な穏やかさに溢れていて、とても生ぬるい心地良さでいっぱい。
ラスト近くで現地の子供たちと歌う「ギャートルズ」のエンディング曲に、なんとも素敵な郷愁を感じてしまいました。これぞ日本人のサウダージ感。
意外に素敵な作品でしたが、他の短編は正直あんまり・・・。
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[エロマンガ島の三人]
H社のテレビゲーム「桃電」に出てくるバヌアツ共和国のエロマンガ島(実在する)へ行ってエロ漫画を読む企画を立てたゲーム雑誌の編集者佐藤。入社1年目の久保田とH社の都合が悪くなって行けなくなった井沢の代理で初顔合わせの日置が同行。エロマンガ島に到着すると日本からの旅行者が珍しく村民が集まってくる。そしてその夜日置が消える・・・。
[女神の石]
破壊された街に人の姿は3人の男と女と子どもの5人のみ。その他人の5人が屋根もなく壁も一部しかないビルで共に生活する。やがて5人の人間関係はゆがみ崩壊していく。
[アルバトロスの夜]
プロゴルファーを父に持つ主人公と暴力団の幹部を父に持つミサトが都内から車で駆け落ちする。地方都市から地方都市へ渡り歩く旅に退屈した二人は深夜に通りがかったゴルフ場へふと立ち寄る。
真っ暗の世界で、プレイしているコースのみに照明があてられ、そこに存在する二人とタオルで顔の見えないキャディー。コースが進むうち怪しげな世界が見え始めてくる。
[ケージ、アンプル、箱]
自分で立ち上げたWeb制作会社が倒産し生気のない生活を送っている津田幹彦のところへ、お久しぶりですとHMのイニシャルでメールが入る。
過去の女性遍歴からHMが誰なのか思い出そうとするが・・・。
[青色LED]
約10年刑務所に服役したHが出所してきた。迎えに来たI はHをラーメン屋へ連れて行く。そこでHは逃亡目的で島へ行った時一緒になったSとKのその後をIに尋ねる。警察へ出頭する決心をさせた島での出来事をHはビールを飲みながら思い返す。
名前はイニシャルになっているが話は[エロマンガ島の三人]の話に繋がっている。
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ひさびさに再読。タイトルがアレだけど、変な本ではないです。表題作は、実在する南の島エロマンガ島にエロマンガを読みにいくゲーム雑誌編集者の物語、とあらすじ書いたらやっぱりアレだけど、それでもやっぱり読んでみれば長嶋有さんらしく、人と人との微妙な距離感を描いた作品となっています。
日本から遠くはなれた南の島にたどり着いた主人公と、日本に残るその恋人の話が交互に展開されますが、二人はそれぞれお互いとの関係について考え直します。それなりに長いことつきあってきてそれなりにうまくやっていけている。それでも現状からの進展も交替もなく、かといって何か危機的な状況に陥っているわけではない。だからこそ、そういう状況がやが本当に危機的な状況になりうると二人ともわかっている。そんなときのエロマンガ島行き。物理的にも精神的にもお互い遠く離れていつもと違う状況の中で二人の関係を見つめ直す。見つめ直すといっても、見つめ直そう、と意志を持って見つめ直すのではなく、状況の中で起こった様々な出来事から、二人の関係のありかたをちょっとづつ見いだしていくというような。そういう微妙なところで感じ入る描写の積み重ねから浮かび上がる、人と人との間(時には人と物、物と物)の距離感が、なんともいえずすばらしい雰囲気です。
ところで、長嶋有さんは自作について”距離感”と表現されることを嫌っているようで、”距離”を書いているとしばしば表現されているけれど、読んだ感覚としてはやはり”距離”よりも”距離感”といったほうがしっくりくるように思います。それは、作中の登場人物たちが常に何かしらとの”距離を感じている”から。人物たちが意識的に”距離を感じる”ということは、それを読む私たちは必然的に「”距離を感じる”ことを感じる」という体験をすることになる。そういう入れ子構造が存在する以上は、読み手が感じるのはまさしく”距離感”ということになると思います(だから、絲山秋子さんは”距離”そのものを描くことに成功していると思います)。だから、長嶋有さんの書き方だと、”距離”へは絶対に到達しないんじゃないかと。とはいえ、その絶対に到達しない”距離感”こそが、長嶋作品のいちばんの魅力だと思います。
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『エロマンガ島の三人』は、異色作品集と銘打たれている通り、SF小説、ゴルフ小説、官能小説など、ジャンル小説のスタイルを基に書かれている。
インパクトあるタイトルの表題作も、「エロマンガ島(実在するらしい)でエロ漫画を読んでくる」という下らない企画を実行するゲーム誌編集者の顛末を描く紀行小説の体をとっている。
特異な設定であっても、「ーク」の部分だけ残る看板は、もともと「ホテルノイエムジーク」か「ホテルっミッキーローク」だったんじゃないかとか、曇ったガラスに逆さ文字でLOVEと書こうとして、Eだけ普通に書いてしまい、LOVヨになったとか、微妙な差異を拾い上げて、小説に書き込んでいく姿勢は変わらない。
まるで日常のカケラのスクラップを、拾い集め埃を払い見違えるように磨き上げ、小説のしかるべき位置に組み立てていくような、そんな魅力がある。
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タイトルにはギョッとさせられるけど、内容はいたって普通。
本当にあるんですね~、エロマンガ島って。
物事をアニメで考えたりゲームに例えたりするの、すごくよくわかる。
「青色LED」がまたつながってて、おもしろかったです。
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エロマンガ島でエロ漫画を読もう!という企画で島に行った三人の話、他。
この三人の中の一人にこんな事情があったなんて…。
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津田ー!
またこういう役…笑
でも、再会できて嬉しかったです。
あと、
最初のと最後のがリンクしてて、
なんだかまとまりもいいし、
気持ちもすっとして、良かったです。
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異色作品集とは、的を得た言葉。長嶋有だなっと思わせるいい小気味良さ…長くなく、短し過ぎず、どこか、情けない。人間味あふれる個性。やっぱり、好きだな、長嶋有。
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何かと話題の長嶋さんの本と言うことで。異色作品 らしい。確かに既刊本とはイメージがかなり違う。いや もともとこの人 女性だと思ってた私のイメージだから当てにはならないけどね。「エロマンガ島の三人」は実話を元にしてるらしいけど、こういうのはアリだな。ゲーム雑誌の編集部っぽいな、ゲーム雑誌読んだ事ないけどさ。まぁ でも既刊本の方が私は好きだな。
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エロマンガ島に行って、エロ漫画を読もう。
そんなふざけた企画が会社で承認され、ゲーム雑誌編集者の佐藤と後輩の久保田、H社の日置は、バヌアツのタフェア州最大の島、ニューヘブリディーズ諸島にあるエロマンガ島に飛んだ。
純粋で屈託のない現地の人たち。
太っていて落ち着きのない久保田、つかみどころのない日置。
日本にいる彼女を思う佐藤。
現実離れした外国で、流れる時間の思う気持ち。
他短編。
エロマンガ島ってイロマンゴ島とも表記されるらしい。
しかも昔は食人文化があったらしく人間狩りとかあったみたい。
こえー。こっえー。話の内容云々よりそっちがこえー。
青色LEDで日置の正体がわかってしまう)^o^(
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いわゆるショートショートと言っていいのか、数編の短編小説が詰め込まれている。最初のお話がタイトルになっているエロマンガ島の三人というお話で、ゲーム制作会社の雑誌企画でエロマンガ島という南半球にある島でエロマンガを読もうという取材に行った三人のお話。
淡々と流れる自然の中での三人のこころの中とその中の一人の婚約者の日本での話がオーバーラップして、なにげに過ぎていった数日のお話。
最後のいっぺんがこの冒頭のお話と繋がっているような締めくくりだったが、それぞれは全く別のお話。
ショートショートとして、読みやすい本ではある。
ちょっとした時間つぶしにはもってこいの一冊か?失礼(^^;)
いろいろある中に一冊挟み込んで読むには気分転換になる本だと思う。
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※エロじゃありませんよ。
題名に惹かれて借りたけれど、題名を他人に見られたらどうしようというパラドクスに捩れました。
誰もが思いついて、でも実行しなかった(であろう)思いつき、「エロマンガ島でエロマンガを読もう!」というゲーム雑誌の企画を遂行する・・・のが筋ですが、そこに生まれる人間関係の物語。
表題作と続編以外のオチがいまいち掴めなくて消化不良。
具体的で細かい描写があるのに、頭と尻尾は全く見えないため、なかなか入り込めませんでした。
マットで乾いた質感。
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ちょっとした企画でエロマンガ島に行くことになった3人の話と、続編、その他短編数話という構成。ああ、これ続編か、と気づいたら面白い一冊だと思った。全体的に淡々としたお話で、盛り上がりも落ちもはっきりしていないけど、それはそれ。