紙の本
奇妙な旅の数々
2007/06/11 23:53
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
五編の中・短編が収録されている。広い意味で、旅、それもちょっと変わった旅を描いた作品が納められている。
表題作「エロマンガ島の三人」は、エロマンガ島でエロマンガを読む、という企画のために取材旅行に出た三人の様子を描く。「アルバトロスの夜」では、「地方都市から地方都市を渡り歩く旅」(p.122)をしていた男女が、途中で不思議なゴルフ場でプレーをすることになる。また「ケージ、アンプル、箱」の主人公津田幹彦は、一通のメールからこれまでの女性遍歴を思い出し、「女神の石」に至っては、登場人物がなぜその場所にいるのかが分からないまま話が進む。そしてラストの「青色LED」で、「エロマンガ島の三人」のサイドストーリーが描かれ、この本全体がぐるっと旅をしたように終わる。
しかしどの旅も、登場人物はあまり楽しそうではない。「エロマンガ島の三人」の主人公佐藤は、少し前に恋人との旅行を断った矢先に、エロマンガ島旅行の企画が通ってしまい、恋人が見せた珍しい怒りを受けて日本を出てきている。同行した日置も、本来参加するはずだった人間の代理として急遽参加することになった。「アルバトロスの夜」の二人も、事情を抱えての旅である。そして「ケージ、アンプル、箱」の津田は、「修羅場がくるたびに津田は、俺は傷ついていないなあと思った」(p.158)りする。そしてそれに対し「しめしめと思ったことはない。いつでも(いいのかなぁ)というような気持ち」(p.160)でいる。
しかしこのような、なにが起こるか分からないし、時々は居心地が悪いけれど、それでも色々なことが起こっていく部分に、私は旅の現実味を感じた。そしてそういう旅が、いい旅なのかもしれないと思う。だからこそ、読んでいて細かな場面や登場人物の心情が印象に残る。特に、「エロマンガ島の三人」の後半の佐藤と日置の会話や二人が歌う部分、それから「アルバトロスの夜」のラストの不思議なカタルシスに、この本を読むことも、ある種の旅だったのだなあと感慨にふけってしまった。
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俳人が書いた小説なら、短篇集が間違いがないでしょう、と思って購入した一冊。表題の短篇は、まるで馬鹿馬鹿しく、けれども憂いて切なくなる、泣きながら笑うというお話になっている。「青色LED」は「エロマンガ島・・・」の複線になっており、反対側の憂う部分に光をあてている。
「ケージ・アンプル・箱」はどう贔屓目に読んでも官能小説になってないところが笑っちゃう作品だ。
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エロマンガ島でエロ漫画を読んでくる……?
およそありえない取材に出向いた編集者たちの、実話をもとにした南国小説。
温かくて、おかしくて、なのに切ない二泊三日。
表題作ほか、初のSF小説、奇想天外なゴルフ小説、官能小説に珠玉の書き
下ろし新作「青色LED」も加えた異色作品集!
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7/31読了。異色作品集と表題されてるほどの短篇集だけど、それなりに面白かった。
結構読むのに時間がかかったのが誤算だか。
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完全なるタイトル買い。どんだけ、エロなのか、期待したものの・・・。
実際は男三人の珍道中。ちょっと期待を裏切られた感は否めないが、それでも物語自体はそれなりに面白かった。
その他の短編に関しても、それぞれが特徴的な作品が多く、ちょっと空いた時間に読むのにはちょうど良いかも。
最後に、<エロマンガ島でエロマンガを読む。>男のロマンですね。
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副題にもあるとおり異色作品集。
らしくない短編がまとまりの無いように収まってる。
でも、嫌いなんじゃなくて、むしろかなり好き。
ノンフィクションを元にしたフィクションらしいが、たぶんフィクションなんだろうなぁ、ほぼ。
最後の締めは違うよね?おそらくたぶん絶対。
長嶋さんって、男と女っていうフィルターを通してナニか別の物を表現するのが上手いなぁ 。
『パラレル』の津田さん登場はうれしかったけど、全然勃たない官能小説にはマイッた。笑 。
あとは超が付かないようなSF大作とか(っていうかモノリスだけじゃねぇーのか?)
まとまりが無い感じ、だけど、気がつけば全部長嶋色でうれしかった。
いつかエロマンガ島に行ける日はくるのかなぁ
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エロマンガ島でエロマンガを読むためだけにエロマンガ島に向かう表題作を始め、官能小説なのに官能的でない短編など、どれも長嶋さんらしくて面白かった♪
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本を閉じてそこはかとこころにのこる実感(あーなんてとはいえへんけどいいわー)を共感とか読んでいてそれを嫌ってはいるけどそういうことが「ある」ことはみとめる というのはこういう本を読んだとき そういうのが男子っぽいとおもうんやけどなんでやろー エロマンガを読みにエロマンガ島にいく、っていうコンセプトからすでにそうで、あとそのエロマンガ島でのできごとも男子っぽい おおくはかたらないというわけでもないのに ふしぎ
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ゲーム誌やミステリー誌に掲載された作品の短編集。
表題作品は不思議な点がいくつかありますが
巻末にスピンオフ作品がくっついていて「なあるほど」ってことになってます。
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例の如く、図書館で借りました。
受付で本えお渡す時、何だか言い訳したくなったタイトル。
「エロマンガ島でエロマンガを読もう!」という企画で旅に出た三人。さてその結果は?
「やつらの足音のバラード」を歌うシーンがある。
まさにその歌の心境に同化してしまいそうだ。
「何にもない、何にもない、全く何にもない♪」
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異色作
期待に反して、笑えるのは表題作だけだったなー、と思ったけど
よくよく考えたら長嶋有の小説ってもともと笑うようなもんじゃなかった
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異色と謳う必要はなかったという
そんな気もするが、言いたかったのだろうと思うし気持ちも分かる。
そして作者がこのタイトルで出来るのも、このタイミングがベストであるし、あったのだろう。
元々中篇で魅せてきただけに
短編の輝きを放てたかと言うと疑問ではある。
百枚から三百枚が上手い作家の、なんとはなしの設定小説の短編では
存分に旨みを吸えるとは言えない。
という点で、異色と謳うのは
不要であれ失敗ではなかったのだろうな。
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「みんなのレビュー」みてたら・・・息子の読後感想文を発見。星みっつ?私があげた本でしょう!五つにしなさいよ!と叫びたくなる気持ちをぐっとこらえた。私はただ、単純に面白かったよ。
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前に読んだのに、登録しそびれてしまった本。図書館で借りてきて一気に読んだ。
エロマンガ島というところでエろ漫画を読みたいということで、編集者とそれに関わる人たち3人で島に行ってからのストーリーだった。
なんだか、ふしぎと面白かった気がする。
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表題作、面白いです。やっぱりこの人の文体が好き。最後の短編が書き下ろし。読み終えるのが寂しくなるこの人の本。