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「そんかる」の新訳である。私としてははじめて読むが一筋縄では行かない面白さに満ち溢れている。「実存小説」なんていわれているが、なんてことはないボヘミヤ版「好色一代男と女」である。クンデラは「プラハの春」をSEXの自由さで描こうとしている。社会帝国主義に対する造反は、無軌道なSEXを主人公の男女にパフォーマンスさせる事によって実行できるのではないか、少なくともこれだけは検閲させないぞとでも言っているかのように。
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あまりにも完璧過ぎる。これは優れた哲学小説であり、巧妙な歴史小説であり、そして何よりも素晴らしい恋愛小説である。ここから僕は「キッチュ」について深く考えなければならなくなった。
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「プラハの春」(1968年)とその直後のワルシャワ条約機構軍による弾圧の時代を舞台に、妻と恋人の間をゆれ動く医師と、その妻、愛人、愛人の新恋人の四人の葛藤を描く。
政治に関心が無く、愛を求めているだけなのに、どうしても政治に介入される男女の悲劇。
といってもそれほど悲壮でもなく、テンポよく面白く読めるうえ、哲学的な考察も楽しめます。
著者自身が体験した時代を舞台にしているので、共産主義時代のチェコの情景が判ります。
80年代に映画化されましたが、どうも映画の方は原作と違うらしく、不快に感じた著者自身が以後自分の全作品の映像化を拒否したとか!?
自身の作品を度々手直しする著者が、近いうちに出すチェコ語完全版のための最新版テクストの新訳です。
ただし、訳者のあとがきが長すぎるかな?w
ニン、トン♪
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新訳は私には合わなかった。これは翻訳者の違いというよりもオリジナルテキスト(チェコ語版とフランス語版)の違いなのでしょうか?
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もはや哲学書の雰囲気。登場人物たちの思想、行動理由がこまごまと描かれ、描写という感じではない。そこが好き。だけど本当に難しくて、時々字面だけをおっている自分に気がつく。喧騒の気になるところでは読めない。静かに、一人で読みたい本。
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だめだー読んだ直後に感想書かないから…。
「存在の耐えられない軽さ」大学の尊敬する先生にお勧めいただき、かなり時間をあけてから読みました。すごい本だ…あぁ、なんか適当なこと言っちゃいけねぇなって気がする。
プラハの春を背景に、時代に翻弄される男と彼の女たちのお話。それぞれの生き方と過去。ここまで人間とその人生を緻密に、そしてそれらに肉薄した作品を読んだことがない。
私は馬鹿なのでこの本を100%理解なんてできてませんが、この本の持つ圧倒的な力にふれることはできました。頭がよくなって読んだら涙流して喜ぶくらいにこの本はおもしろいだろうなぁ…くっそうそこにたどり着けない自分がくやしい!!この本を読むときだけでいいから頭良くなりたい…と心底感じる。
こんな私でもそう思うんだから本当に、この本はすばらしいのだと思います。あーくそ。感想まで馬鹿っぽいよ。
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こっちもフランスものとして、購入。
それに海外旅行をしたことのない人としては、どれほど街のイメージを持てるのかと思って読んでみたくなった。
歩けよ乙女〜で京都の飲み屋街とか京大を知ってる方が楽しいと思ったけど、
じゃあうちが知らない街の物語は、どれくらい楽しいのかなってこと。
そのあとでまた旅行に行ってみたくなるよね。きっと。
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すごく好きだ。
手元に置いておきたい
私も軽く積極的に生きていたけど、やっぱり苦悩してもトマーシュとテレザのように重く生きたいと今はそう思ってる。
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何年か越しに読みました。
難解だけれど読む価値はありです。
(一読の価値、と書かないのは、一度読んだだけでは理解できないかもしれないから。)
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冷戦下のチェコを背景とした恋愛(?)小説。
トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツといった登場人物がそれぞれの舞台を持って主役になったり脇役になったり、という描かれ方なのですが、それぞれが影響を与えあい、けれど決して理解しあえずにいる様子は、一人の人間の頭から生まれたとは思えないくらいでした。
4人とも違うタイプで、みんなとても魅力的に感じました。友達になりたいと思うかと言えばそうでもないんだけど。
長くて一気に読めない感じの本ですが、味わいながら楽しんで読んでいます。
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素晴らしい文学作品にどっぷり。けれど哲学的で、トマーシュとテレザ、サビナの思考も複雑で、一度読んだだけでは刻まれたテーマを深く理解できない。やっと手にした作品だったけど、これを一度で理解しうる知性と人生経験がないことを知る結果に。結局「愛」とは何か? なぜそこにしがみつかないと生きていけないのか。まだまだ腑に落ちないのは経験のなさのなせる業か…。でも、最後のトマーシュとテレザの会話に救われた。いつか再び読んで、また理解を深めたいと思えた一作。
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「プラハの春」を舞台にした物語。
哲学的で難解な内容ですが
ストーリー展開に引き込まれます。
夢中で読んでしまいました。
何度でも読みたくなるほどです。
人が生きるということは
どういうことなのでしょうか。
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正直に言えば、純粋にストーリーを楽しめたとは言えない。
ダメ男に惹かれる女も、それを呵々大笑して受け入れる女も、そしてその2人に愛される男もタイプとしてははっきりと嫌いな部類だからだ。
ストーリーを追いながら、自分の内面で消化していくタイプの小説なんだろう。
いや、それともこれは小説ではないのかもしれない。ガイドレポートとして存在する文字・・・文章・・・は確かに存在するけれど、そこに作者の明確な意志や表現が現れているとは思えない。
むしろそれを読む事によって喚起されるすごく読者の個人的な領域に入り込んでくるような気すらする。
どうも後味が悪いのは、それで我が身を振り返った時の気まずさからかもしれない。
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千野氏訳版で読んだことのある作品を、クンデラ自身が改訂を加えたフランス語版を原典にしたという新訳で再読。訳文自体が旧訳版より読みやすいということもあるが、時間を経ての久々の再読のためか、内容そのものに初読時より一層強い印象と感動を受けた。政治小説でも歴史小説でも恋愛小説ですらない、もっと軽くてもっと重い、“Einmal ist Keinmal”である人生の物語。一度きりだからこそ軽い、そして、比較も、学習してやり直すこともできない人生の中での選択が、偶然だろうと必然だろうと一度きりの人生への「重い」結果をもたらす。一度しかないということは一度もないと同じこと、一度しか生きられない人間の、耐えられないほどの存在の軽さを、人はどう受け入れて生きていくのか…。旧訳版を所蔵はしているが、新訳版もぜひ手元に置きたいと思った。
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印象に残ったのは「キッチュ」。
人はものごとの醜い部分、汚いところから目を背ける。
そして理想を褒め称える。
そのような姿に陶酔することの醜さ。
私はこの振る舞いから逃れられないだろう。
ただ、存在を認めたくないような、汚い部分を見る努力は出来ると思う。