紙の本
今年度の江戸川乱歩賞受賞作。このところ連続して読ませる作品を決定してきたが………。
2007/11/06 12:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカに亡命した中国外交官の証言によれば、日本の現職国会議員が機密情報を中国に漏洩している。この新聞報道で中国と朝鮮の事案を担当する警視庁公安部外事第二課は騒然とする………とスタートは快調ある。
「沈底魚=スリーパー。潜伏期間二十年余り。素知らぬ顔で暮し、覚醒の時を待っているーーー。」
スパイ自身が派手な立ち回りを演ずる冒険小説ではない。ガセネタかも知れない沈底魚をあぶりだそうとする公安部現場の捜査官たちの苦闘の物語である。
親分子分関係が現場に残る古参の集団。空威張りの中間管理職。対立する警察庁と警視庁。警察の横暴に圧力をかけようとする永田町。ただしこういう構図には新鮮さがない。登場する人物、主人公も含めて類型的だった。
私はこの作品を読む前にある人の講演を聞いた。なかなか面白かった。彼は中国の脅威によって今世紀には世界戦争が起こるという。その際、日本が生き残るには圧倒的に力のある国についていくことだ。つまりアメリカとの同盟関係の一層の強化。彼は当時の安倍内閣のスタッフとして集団自衛権の確立を実現すべく、有識者会議の組織化に尽力していた。ところが今一歩のところで安倍政権が瓦解してしまったことを切歯扼腕していた。かなりのお歳の方でまた何年後かには機会をとらえ、再チャレンジする執念を壇上で見せていたが本当にくやしそうであった。私はそんなことにならずに良かったとするほうだから、「俺が国家戦略を動かしているのだ」との驕りをなんとなく滑稽に見ていたのだが、一方でそういう人物の存在は異様に思えた。
スパイ、逆スパイ、二重スパイ、そして内部の裏切り者。それらを暴き出すゲーム的ドタバタにとどまった底の浅い作品だった。殺人が起こるような国家機密ってなんだったんだろう。講演会を聴いた直後だったせいもあるだろうが、背景にあるはずの現実の外交戦略にもう少し肉薄すれば深みが出たであろうと思われた。
投稿元:
レビューを見る
第53回江戸川乱歩賞受賞作ですが、どうなんでしょ?コレ。今更公安だ中国だCIAだってのもなんだかなぁ。殺さなくてもいい人を殺しちゃうし、胸のすくエンディングというわけでもない。最近の乱歩賞は元気がないなぁ…
投稿元:
レビューを見る
帯の「最強の公安ミステリー!」に引かれて購入。(´-ω-`)ンーなんか期待した割には( ´_ゝ`)フーンってな感じです。Sとかモグラとか二重スパイとか危険を犯して動いている工作員や公安刑事が居る中主人公は割りとサクッと王爺から情報を得ているのがどうも・・・公安やるなぁ(´∀`*)って話を期待していたので、全体的にシックリこなかった(´・ェ・`)
投稿元:
レビューを見る
中国に情報を流していたとされる現役国会議員の「マクベス」マクベスは本当に存在するのか?存在するのであればそれは誰??
公安外事二課の不破が真相に迫る・・・
江戸川乱歩賞受賞作。
投稿元:
レビューを見る
どんな魚の話かと思えば、公安モノだった。スパイだとか二重スパイだとか面白いね。分厚いハードカバーだけど、余白も多いし、一気に読める感じかな。
不破サン王爺がいてよかったね。
何より著者の曽根圭介さんの「サラリーマンに見せかける私生活」が興味深かったのですが、今後の作品も読んでみたいな。
2007年10月
投稿元:
レビューを見る
第一印象はすごくよかった。文章は硬派だし、センテンスも多くなく少なくもなく、簡素な描写ながらきっちりまとめてある。表面だけをなぞった淡白さは否めないものの、新人とは思えないその落ち着きは、“未熟な横山秀夫”といった感じだろうか。序盤は重量感もあり、どっしり構えていたストーリーだったが、新たな展開が拡がるたびに、少しずつ浮つき始めたように思う。これだけ大きな陰謀が動いているというのに、それに関わる人間が少なすぎる。官僚や政治家といったうるさ型をもう少し登場させてもよかったのでは? ラストで慌てた分だけ、リアリティが損なわれているのが勿体無い。面白い話だと思うが、複雑さを感じる要素が多いので、数日に渡って読むと損するかも。
投稿元:
レビューを見る
スパイゲーム的に訳が分らなくなる。やはり過去の大物スパイでなく、現在の大物スパイを登場させて欲しかった。
投稿元:
レビューを見る
誰がスパイなのか謎が謎を呼ぶのだが、そのままグルグル回って、何がいいたいのかわかせなくなってしまったかのよう。
もう少し1人1人のキャラ設定がしっかりすれば、重い作品になりそうなのにザンネン
投稿元:
レビューを見る
第53回江戸川乱歩賞受賞作。
公安の話。スパイ、二重スパイで後半混乱してきた。中国、公安、日本などのスパイ。先が全くよめなかったが、読み進めるうちにわかっていく。'08.2.16
投稿元:
レビューを見る
2008.02.第53回江戸川乱歩賞受賞作.中国のスパイである沈底魚の捜査をすすめる公安の外事二課の不破刑事.大物政治家の芥川健太郎の秘書で同級生の伊藤真理が殺害さる.公安の中に二重スパイが?スリリングで面白いが、複雑で事件の背景も今ひとつ.終わりかたももうすこしかな.
投稿元:
レビューを見る
ウイスキーと絡めたフェアをやっていまして
(あれって今、なの?あのパブリシティーって
結構前にやってなかったっけ?)
なぜか購入。最近なんかこういう作家多いなあ。
オガタ賞にまったく興味はないんですけど。
まあ、いまさら読んでることから
わかると思うけどさ・・・。
抑えた書き方で、好感は持てました。
最近こういう人少なくないかな?
オガタが読んでないだけか・・・。
ただ、メンズ作品でしたね。
工作員名というか、チャイナの人たちの名前が
まったく覚えられず苦労しました・・。
ラストの評でもいわれてたとおり、
何か「動くもの」が少ないため、
話の動きは物凄く地味。
シーン的には緊迫してたり、文字通り
暴行されてたり、危機的状況っていうのは
かなりあったんだけど、
どうもすべて抑えられていて地味な印象。
つつかなければ、別に書き出せるものでは
ない題材ですからでしょうか・・?
後、話が裏の裏の裏の、と
後半数ページでかなりひっくり返り。
ちょっとついていけませんでした。
投稿元:
レビューを見る
21日読了
第53回江戸川乱歩賞受賞作品
『中国に機密情報漏洩している現職国会議員がいる』という新聞記事が載った。
警察の中はイライラで爆発寸前。
沈底魚スリーパー(何年も一市民と暮らし指示があると工作員として動く)は誰なのか。
身近な仲間まで疑い、展開が何度も変わり、最後まで目が話せませんでした。
投稿元:
レビューを見る
日本と中国のスパイ物
話は二転三転するけど、だれそれがどこそこのスパイで…みたいな話に終始していたように思いました
スパイ物はそういう話だと言えばそれまでなんですがもう少し伏線あっておぉ、お前絡んでたんか!みたいの欲しかったですね
投稿元:
レビューを見る
2008.08
江戸川乱歩賞受賞作、受賞時のコメントが
「ありきたりな人生は嫌だな」・・・なるほど。
投稿元:
レビューを見る
大物の沈底魚が、日本に潜っている。亡命中国外交官による衝撃情報。流出した国家機密。「眠れるスパイ」は実在するのか。公安刑事たちの極秘捜査が始まった!乱歩賞史上、もっともスリリングな公安ミステリー、堂々登場!第53回江戸川乱歩賞受賞作。