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ナラティヴ・セラピー関係では、おそらくは一番わかりやすいアリス・モーガンの「ナラティヴ・セラピーって何?」に始まる「ダルウィッチ・センター入門書シリーズ」の3冊目。
マイケル・ホワイトの本としては、これが一番わかりやすいかも。。。。まあ、半分くらいはモーガンが書いてるし、ホワイトも第1章以外は、インタビューというのも、読みやすさの一因かな。
テーマが「子ども」となっているのだが、「子ども」以外の場合にも役に立ちそうなことが一杯はいっている。
入門書なので、なにか全く新しいことが書いてあったりするわけではないのだが、ナラティヴ・セラピーは、「子ども」からスタートしたということもあるので、ある意味、とてもピュアな形でのナラティヴ・セラピーの考え方が書かれているようにも思えて、とても腑に落ちるところが多かった。
そうしたなか、特にそうだな〜と共感したのは、「発達理論」との関係のところ。
ホワイトは、「発達理論」が間違っているとは言わないのだが、そういう一つのモデル、規範、理論をセラピストがもち、それをベースに子どもと関わっていくことの危険性を指摘する。
「理論」にもとづいて、「この人は、家庭環境のせいで普通であれば当然経験するだろう子どもの発達段階を十分に体験せずに大人になったから、○○になったんだ」みたいな見方への批判。
「普通」の子どもと違って、早くから「大人的」な役割を果たすことは、必ずしも悪いわけではなく、その経験から得られることもあるはず。そこへの認知・承認が大切で、それは大人になってでなく、子どものときになされているならば良いのに。。。というところになんか心が動いてしまった。
最近、注目される「成人発達理論」は、「子どもの発達理論」よりさらにコントロバーシャルなもので、人のそれぞれの経験が尊重されるべきと思うが、ついつい、そういう理論のフレームで人をみてしまうんだよな〜。
もちろん、「発達理論」を「タイプ論」なり、「ストレングス」なり、「インテグラル理論」なり、その他「○○理論」で置き換えれば、ほんと、いろんなところで、これやってるよな〜。
クライアント中心とか、いろいろ言っていても、ついつい理論やフレームで構造をみてしまうこと。
それが全くダメというわけでもないのだろうけど、一旦、理論を脇に置くということが大事なんだよな〜、と初心に戻った。