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どこをきっても黄金期の本格ミステリの要素しか出てこない。が、残念と言うべきか、本作品はクリスティへのオマージュ的内容になっているため、その出来栄えよりも雰囲気を楽しんだ方が読後感はずっと楽になると思う。スタートは好感が持てるし、事件へのアプローチ方法も段階を踏まえているのでごくごく自然。面白い作品だとは思うが、全体的に奥行きが浅いので、このネタで長編を支えるにはかなり苦しいかもしれない。元警部の到着後、なぜかストーリーが停滞する。クリスティを意識しすぎたのか、容疑者との駆け引きが空回りしてるように見え、冗舌なキャラにも飽きがくる。これを見越したように新たな局面を作る手腕は巧いと思うが、やはり型にはまりすぎているのが物足りないのだ。一番評価できるのはタイトルだろうか。
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クリスティの長編全66冊読んで、67冊目の本を書いてみたかったということで、「アクロイド殺し」をもじった本書を書いたそうな。
評論家の三橋さんは「本格ミステリとして、本年の収穫のひとつと断言する」と5点をつけてるし、ハヤカワの紹介には「ミステリの枠を打ち破る超ミステリ」と書いている。
ここまで言われると読みたくなろうというものですが、ありふれた本格ものでとりたててどうということはありませんでした。ポケミス読むのはずいぶん久しぶり、本格ものもずいぶんひさしぶりという中でこうした「普通」なものだったというのはずいぶんとがっかりです。
オマージュということで、クリスティをはじめ、ディクスン・カー、ブラウン神父といった名前が何度か出てきますが、それだけで嬉しいってことにはなりませんね。
(以下 ネタバレ。犯人を書いているので要注意)
雪に閉ざされたフォークス大佐の屋敷の中での殺人。被害者は、全員が殺意を抱いてるゴシップ専門コラムニスト。尋問をしているうちに持ち主の大佐が銃で狙われる。幸いケガですむ。殺人現場は屋根裏部屋で密室。
犯人の狙いは皆から嫌われてるコラムニストではなく、大佐のほうにあった。というのがこの小説のメインのミス・ディレクション。しかしよくある手法ではある。過去にひどいめにあったことのある復讐。
現場に第三者が入ってきたときくりぬいた椅子の中にいた。そんなことができるのは内部の者。犯人は執事。当然全室の合鍵をもっていて、密室もどうということはない。
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1935年、イギリス、ダートムア。吹雪のため、ロジャー・フォークス大佐の屋敷に閉じこめられた人々。そんな中、密室状態の部屋で人々のスキャンダルを握る記者が殺害された。そこで捜査にかり出されたのは、元スコットランド・ヤードの警部だったトラブショウであった。著者が狙っていると思われる作家の作品をあまり読んでいないので、その辺りの面白さはよく分かりませんでした。ミステリとしては普通。