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この本は、同値分割・境界値分析のようなテスト技法の話ではなく、ソフトウェアテストの仕事を、10のステージに分けて、それぞれに対しベストプラクティスを紹介すると言うものでした。目次(各ステージ)は、次の通りです。
第1章 要求フェーズ
第2章 テスト計画
第3章 テスト・チーム
第4章 システム・アーキテクチャ
第5章 テストの設計とドキュメンテーション
第6章 単体テスト
第7章 自動的テスト・ツール
第8章 自動的テスト:精選したベスト・プラクティス
第9章 非機能的テスト
第10章 テストの実施を管理する
前著の『自動ソフトウェアテスト』と同様に、非常に実践的で泥臭い話が満載されています。たとえば、「項目12 テスト準備時間と実行時間を見積もる」では、開発者の人数からテスト担当者の人数を決定する「対開発者比率法」を紹介しています。
これは、まぁ、現場では良く使われる方法なのですが、その時に何を考慮しなければならないのかについてきちんと書いてあるものは少ないのではないでしょうか。
また、自動テストについては、専門家だけあって2つの章に分けて、しっかりまとめられています。でも、なりよりも私が一番気に入ったのは第9章の「非機能的テスト」です。非機能要件のテストの勘所が押さえられています。
というように、とても良い本ですし、初心者でも十分に読みこなせると思うのですが、難点が2つあります。
一つは、絵が少ないので本を読みなれている人でないと眠くなってしまうのではというおそれです。すごく初級の話(いや、それも大切なのですが)と、ダスティンならではの視点の深い話が混在しているので眠くなってはハッっと目覚めると言う繰り返しでした。
で、もう一つは、翻訳の質の問題です。「第9章 非機能的テスト」っていう訳一つをとっても「第9章 非機能要件に対するテスト」と書かないと正確に伝わらないだろう……と思います。章のタイトルからしてそれですので、推して知るべしで日本語として変なところがたくさんありますし、句読点の位置も変で読みにくい箇所も多いです。
それが残念でしたが、テスト技術者は頑張って読むべし……と思います。