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あちこちに伏線ちりばめーの、時系列前後しーので伊坂幸太郎を思わせる仕掛けが満載の「多重人格成長物語」。ただし、伊坂作品の全体を貫くイメージを正とすれば、こちらはそこはかとなく負が香ります。とは言え見事な仕事です。最後の最後にちょっと無理を感じたので★四つとしましたが、「三年坂 火の夢」のレビューで書いた「将来が期待される作家であることは間違いない」に間違いはなかったようです(笑。
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【母親に結婚を報告しようとした稲村サトシは、隠れていたもう一つの人格「サトシ・プラス」が目覚めた事を知る。プラスとマイナス、そして全てを握るある人物。多重人格成長物語】
状況が呑み込めないまま話が進んでいくので、はじめのうちは話に入り込みにくい。でも、徐々に二つの人格や過去の出来事が分かっていくと、ストーリーにどんどん引き込まれていく。
ただ、最終章がダラダラしている感が否めない。ラストはスパッと解決しても良いのではないかな。と思った部分マイナス。
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サイトがどこかで説明読んで買った。
ストーリ的にはテンポよく進んで行くが少し恐い。
自分の中の一部分を違う自分として意識してしまうのは逃げかもしれない、でも苦しさや哀しさをやわらげる(?)ことができるかもしれない。人って複雑なんだな。ヒロインのカレンはとても強い。
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ミステリといえばミステリだけど、「多重人格小説」と呼ぶのがぴったりかな。それなりの謎解きはあるけれど、驚愕の真相!というのはなく。興味深く読まされて、純粋に感心してしまうストーリーでした。なるほどね。
だけどこういう形の「多重人格」ともいえる傾向は、何も特別なことではないのかもしれないなあ。「プラス」「マイナス」などの棲み分けって、ここまで極端でなくとも、誰でも多少はあることなんじゃ。そう思うと、余計に人間ってのが怖いような悲しいような。実に複雑なものですね。
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気弱な大学生の『サトシ』は結婚の報告をしようと母親の帰りを待っているうちに眠ってしまう。目覚めると一緒に来ていた婚約者は姿を消しており、ポケットには不可解なメモが残されていた。
-俺たちは不完全だ-
もう一人の自分が目覚めたのだ。
少年時代のサトシをプラスとマイナスに分けた人格分割リストを回収するため、自らの過去を辿りなおす多重人格成長ミステリー。
-人間はきれいな枝ぶりを見せる一本の木などではなく、もじゃもじゃと枝も根もからまった藪のようなものである-
特に思春期なんてそうでしょうね。いろいろなものの間で揺れ動く相反する心。確かに悩んだり、苛立ったり、苦しかったりするけれど、それを乗り越えて成長するんです、たぶん。
この主人公のサトシは、家を出た父親の死後ぐらぐらが激しくなり、やはり不安定な母親の命令でかかった精神科の話を元に自分を二つの人格に分けてしまう。誰だって親の前と友達の前とでは態度が違うことはよくあるでしょう。今でこそ人は多面性を持っているのが普通なんだと思えるけど、学生のころは本当の自分っていったいどんな性格?これって偽り??なんて考えることもあったしね。んで、サトシは過去のトラウマなんかと向かい合って自己を統合していくという単純な展開だけど、いろいろな人物との絡み合いとか、仕掛けだとかがあって最後まで飽きずに読みました。婚約者の『カレン』はイマイチ理解できなくて好きじゃないけれど、ITで成功したおたくっぽい友達の『オカベ』はお気に入りです。
ただ、重要な語句なんだろうけどところどころ太字にしてあることとか、文章自体はあまり好みではないかな。
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母親に結婚と仕事を辞めて美術大学に入り直すことを言いに行く主人公サトシ。間違いなく猛烈な反対にあうことは想像に難くないため、くよくよと悩みながら家路につく。帰宅したら母はいなかったため恋人と帰りを待っていたら突然の睡魔に襲われ・・・・目を覚ますと謎の書き置きとともに恋人は姿を消していた。
幼いころに別れた父親とその死から二つの自分をわけて考えることを覚えたサトシの「自分探し」の顛末とは。。。
二重人格もの、というカテゴリーでくくっていいものか微妙な作品。なんていうか非常におもしろい雰囲気を持った作品ですね。結構大変なことになってるのに、登場人物がみんな飄々としていて見ていて面白い。反面、いまいち緊迫感は感じないところもありましたが。感情移入は難しいというか。
でもあんまりがつがつしていると読んでる方も疲れちゃいますしね。完全に好みの話ですが、自分はこういうの好きです。
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作品通しての謎である父親の死の真相もいまいち、 断絶する記憶の先にあるものにもそれほどの驚きを感じなかった。だから駄作でつまらなかったと片付けることを躊躇わせる何かがある。IT長者の友人の男気や一つ年上の婚約者のドケチぶりなど、魅力的な人格は多数登場する。この辺を書き込めば、主人公ももう少しシンプルでも楽しめたのではないか。個人的に古本を105円で買う方法が気になって仕方ない。簡単な手口だけに模倣犯がでないことを切に願う。
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決まっている就職先を蹴って,カレンと結婚して美大受験に挑戦しようとするサトシは,
メモを見つける。それは封印したはずのもう一人の自分「サトシ・プラス」の書いたものだ。
前半はかったるい印象だったが,だんだん話が進んでくると楽しくなる。